NPO法人「日本入れ歯リサイクル協会」が、入れ歯をリサイクルして得た収益で途上国の子どもたちを支援する活動を進めているそうです。
リサイクルの現状
協会によれば、部分入れ歯は年間約360万個も作られていますが、不要になれば大半は捨てられているとのこと。しかし、部分入れ歯には金や銀など、1個あたり平均約2500円もの貴金属(レアメタル)が含まれているんだとか。
そこで、協会は全国の市区町村や歯科医院など200カ所以上に回収ボックスを設置し、不要となった入れ歯を回収。金具に含まれる貴金属を集め、リサイクルして得た収益をユニセフなどに寄付しているというわけです。これまでに、金約9kg、銀約6kgなどをリサイクルし、ユニセフに計約1300万円、自治体などに計約150万円を寄付したとのこと。
日本には、入れ歯の金具として存在している金や銀のほか、家電製品の部品としても、とても多くの金や銀が存在しています。その量は金の埋蔵量がもっとも多い南アフリカや、銀の埋蔵量がもっとも多いペルーよりも多いと言われていますが、現在はまだあまりリサイクルが進んでいないのが現状です。
金をリサイクルすると環境負荷は300分の1に
これらをリサイクルすることは、資源の有効利用だけではなく、環境負荷の低減という点でも大きな効果があります。なぜなら、レアメタルの生産にはとても多くの生態系破壊や汚染、エネルギー消費がともなうからです。
ある製品を作る際に、どれだけ物質が使われたかを重さとして表すことで、環境への負荷の程度を示す「エコリュックサック」という指標を用いると、1kgの金のエコリュックサックは1100tと、実に110万倍もの鉱石やエネルギーを消費していることになります。一方、リサイクルの金のエコリュックサックは3.7tと、通常の金の約300分の1です。
一石四、五鳥!
さらに、レアメタルの産地では児童労働が行われていたり、鉱石の収入の一部が武装勢力に流れ、武器の購入に使われたりといったことが指摘されています。つまり、日本入れ歯リサイクル協会のこの取り組みは、途上国の子どもたちの支援と、資源の有効利用と、環境負荷の低減だけでなく、児童労働や紛争に間接的に加担するのを避けることもできる、一石四、五鳥の取り組みなのです。これからもっともっと広まって、リサイクルされずに捨てられる入れ歯がなくなればいいですね。
今回のnext actionには参考になりそうなサイトをいっぱい載せたので、不要な部分入れ歯に心当たりがない方も、よかったらぜひチェックしてみてください。