発展途上国の人々に安全な飲料水を届けたい! 水不足の無い未来を実現する、”飲める本”「Drinkable Book」

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突然ですが、みなさんはのどが渇いて水がほしいとき、どうしますか? 日本は、水資源に恵まれた国。蛇口をひねって水道水を飲むことも、すぐそばにある自動販売機などでミネラルウォーターを買うこともできます。

その一方で、実は世界の多くの国では、安全な飲み水の確保が大きな課題になっていることをご存知ですか? 発展途上国では、バクテリアやウイルスなどの病原菌に汚染された川や池などの水しか手に入らず、年間340万人がなくなっているそうです。(出典元

そこで今回は、そんな「飲み水が手に入りにくい人たちに、安全な水を届けたい!」という思いから生まれた「Drinkable Book」をご紹介します。

「Drinkable Book」は、その名の通り、一冊の本。安全な飲み水が手に入らない発展途上国の多くでは、水が汚染されている環境はもちろんのこと、衛生に関する知識が乏しいことが、水を原因とした病気の発症を引き起こしているのだそう。

そこで、汚染された水で病気を発症する人々を減らすために、「Drinkable Book」は英語と現地の言葉の2か国語で、水と衛生の正しい知識を紹介しています。
 
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上が英語、下が現地の言葉で書かれた本

でも実は、「Drinkable Book」の機能は、これだけではありません。なんと、「Drinkable Book」の1ページ、1ページが、殺菌作用のある銀と銅のナノ粒子を含んだ紙でつくられているため、汚水のろ過装置として機能することができるのです!
 
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あなたの村の生活用水には、病原菌が潜んでいる可能性があります。でも、この本に使われている紙でろ過をすれば、安全な飲料水をつくることができます

その秘密は、本のページ紙に含まれた銀や銅のナノ粒子。汚水をこのページ紙にそそぐと、水が銀や銅を吸収することで、水に潜むバクテリア99%以上殺菌し、飲み水になります。「Drinkable Book」を使ってろ過された水は、銀や銅の溶解率があがりますが、いずれもWHOの基準を大きく下回る数値なので問題ないのだそう。

でも、本を使って汚水をろ過するなんで、なかなか想像がつきませんよね? でも、この「Drinkable Book」を使って浄水する方法は、とてもシンプルなんです。まず、本の1ページを破り、プラスチックの容器にセット。そこに、川や池などから汲んできた汚水をそそげば、水がろ過され、安全な飲み水のできあがりです。
 
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本のページを切り取ります。

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切り取ったページをプラスチック容器にセット

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セットしたページの上から、水を注ぎます

セラミック濾過や、紫外線殺菌など、飲み水をつくる方法は他にも色々ありますが、それらの方法と比べ、紙1枚で数十円前後と、格段にコストが低く、手軽なのも「Drinkable Book」の魅力。

現在、南アフリカやガーナ、バングラデシュなど、25以上の地域で「Drinkable Book」実用化のための実験を重ねていて、実験を行ったどの地域でも、水中のバクテリアを99%以上除去することに成功したのだとか! 現在は、2015年内の「Drinkable Book」実用化を目指し、開発を進めているといいます。

自分の研究を発展途上国の人々のために役立てたい!

「Drinkable Book」を生みだしたのは、カーネギー大学の研究者である、Theresa Dankovichさん(以下、テレーザさん)。

もともとテレーザさんは、環境にやさしい浄水方法を研究していたのですが、世界中の多くの人々が安全な飲み水を手に入れられない現状を知るにつれ、自身の研究を発展途上国の人々のために応用することを思いついたそう。

テレーザさんは、自身の開発についてこう語ります。

この本のいいところは、ライフスタイルの大きな変化を必要とすることなく、日常の生活に浄水の技術を取り入れることができるため、人々の間に普及しやすいということです。

私は、この本が多くの人のもとに届き、いつか世界中の何万という人々の命を救うことに少しでもつながることを願っています。

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「Drinkable Book」を手にしたテレーザさん

「Drinkable Book」は、発展途上国での利用はもちろんのこと、災害時やアウトドアでの飲み水の確保などにも活用の幅は広がっていきそう。

水資源が豊かだと言われる日本ですが、その資源は決して無限ではありません。未来の世代に綺麗で美味しい水を継いでいくためには、私たち一人ひとりが水の大切さを心にとめることが大事なのかもしれませんね。

[via treehugger, Scienticfic American,BBC, pAge Drinking Paper, Smithsonian.com, BRIAN GARTSIDE]

(Text: 水野淳美)