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駅が新しい木になったら、森のことも気になった!?持続可能な街と森を目指す「木になるリニューアル」が気づかせてくれたこと

[sponsored by 東急電鉄株式会社]

サステナブルな取り組みに興味があるけど、どう行動すればいいんだろう?

そんな方に、私たちからお出かけのご提案。といっても、観光地をめぐる旅じゃありません。駅、商業施設、公園……普段のなにげないお出かけが、ちょっと視点を変えるだけで、サステナブルなアクションになるのです。

東急線沿線は、そんな行動のきっかけがたくさんある街。サステナブルな暮らしがある街へ、私たちと一緒に出かけてみましょう!

「っくしょん、はっくしょん!!」というくしゃみの音が聞こえてくる季節。

今や国民の4割が花粉症といわれていますが、春に向かうこの時期は、花粉症の人にとってはつらい季節です。人それぞれではありますが、花粉症のおもな原因はスギやヒノキ。実はそこには、人工林や放置林の問題が関わっていることを知っていますか?

植樹から30〜50年頃にピークをむかえ、その後は横ばいとも言われているスギの花粉量。今、戦後に植えられたスギがちょうど花粉を飛ばすピークを迎えていることと、花粉症に悩まされる人が増えていることは無関係ではありません。戦後の大規模なスギの植林ののち、国産木材の需要が低迷。林業の衰退により、人工林の手入れができなくなってしまっているのです。

ですが、担い手の高齢化や社会の変化、安価な外国産材などの影響で進んだ国内の林業の衰退と、それに伴う人工林や放置林問題の解決は、簡単ではありません。

そんななか東急電鉄が取り組んでいるのが、「木になるリニューアル」

東京都多摩産の木材を使った駅舎で、木のあたたかみや気持ちよさを知ってほしい。それをきっかけに、環境問題にも目を向けてもらえたら!

と話すプロジェクト担当の秋武実里(あきたけ・みさと)さんと横山瑞子(よこやま・たまこ)さんに、「木になるリニューアル」のことを聞いてみました。

写真左が秋武実里さん。右が、横山瑞子さん

「ただいま」と言いたくなる街であるために

2015年に東急電鉄が開始した「木になるリニューアル」。東京都多摩産の木材を使って、老朽化が進む東急池上線の駅舎の改修に取り組むプロジェクトです。戸越銀座駅に始まり、2019年に旗の台駅、2021年には長原駅が改修されています。

国立競技場のように、木を使う大規模建築も増えている近年。その背景には、建築技術や木材の加工・製材技術の向上、木造建築を推進する法整備が進んだという最近の社会の変化があります。

ですが、当初東急電鉄が老朽化した池上線の駅舎の「木になるリニューアル」を始めた理由は、そうした社会背景とは別のところにあったといいます。

大きな理由は、池上線の特性。1922年、大田区池上にある池上本門寺への参詣客の輸送を目的に、蒲田~池上間で開業した池上線は、現在では五反田〜蒲田間を結んでいます。そんな池上線の全長は10.9キロで、車両は3両編成。駅舎の規模も小さいため、より人々の生活と近い、いわば「ローカル線」といったような特徴があるのです。

木が組まれている、旗の台駅の美しい屋根

横山さん 老朽化した木造の駅舎のリニューアルにあたっては、鉄骨造もふくめ、さまざまな案が検討されました。

ですが、我々は池上線の特徴に合ったリニューアルを行なうべきであると考えました。実際にお客さまの声を集めると、「木造の駅舎に愛着があるので、改修も木を使ったものにしてほしい」「駅に設置されているレトロな木のベンチを残してほしい」といった声をいくつもいただいたのです。

そのため、木のぬくもりをいかした駅舎にしたほうが、お客さまにより愛着を持って使っていただけるのではないか、と考えて始まったのが「木になるリニューアル」です。

戸越銀座駅のリニューアルにあたって寄せられた声を集めたメッセージボード


「I♡戸越銀座☻」「運転手さんがよく手を振ってくれるので、こどもがいつも喜んでいます」「リニューアル楽しみにしています!」など、池上線が親しまれていることが伝わってきます

現在では複数の路線を乗り入れて運行する相互直通運転化が進んでいますが、池上線は今でも五反田駅と蒲田駅という終端駅(その駅から先には線路がない)同士をつないでおり、沿線の生活と密接につながったスケール感を持っています。そういった点でも、「人々の生活と近い」という特徴を、古くから残してきた路線なのです。

秋武さん たとえば戸越銀座駅は、木を使ったホームの屋根のほか、にぎやかな商店街とフラットにつながっている三角屋根の駅舎が特徴的です。駅だけでも、商店街だけでもなく、その両方が街の雰囲気をつくっていると思います。

駅が懐かしさを感じるような場所であり続けることで、いつか街を離れることがあっても「またここに戻ってきたい」と思ってもらえるような街になっていくはず。池上線のリニューアルでは、進化しつつも昔からの特徴を残す「街の持続性」がとても大切でした。

三角屋根がシンボルマークにもなっている戸越銀座駅

改修にあたっては、「戸越銀座駅からの手紙」としてのメッセージも公開されました(提供:東急電鉄)

「木になる」をきっかけに、「気になる」が生まれる

「なにげない日々が、未来をうごかす」をコンセプトに掲げ、「誰もが環境貢献しやすいまちづくり」を目指している東急電鉄。これまでもこの連載で、再エネ100%での電車の運行や、駅に設置したプラスチック回収ボックスの取り組みなどを紹介してきました。

東急線のなかでも池上線は、地域の方の生活に密着している路線だからこそ、「生活している中で、いつの間にか環境にいいことに関わっている」という仕組みをつくりやすいのではないかと、秋武さんは話します。

秋武さん 環境貢献というと、「我慢してエコな取り組みをしなきゃいけない」というイメージを持つ方もいるかと思います。

だからこそ、日常のなかで「気持ちいいな」とか「楽しいな」といったプラスの感情を持っていただくことを通して、「なんでこういう取り組みをしているのかな?」と、背景にある環境問題に関心を持つきっかけをつくっていきたいなと。

そんなふうに、知らず知らずのうちに環境貢献できる機会をつくることも、私たち東急電鉄の役割。「木になるリニューアル」は、そんな取り組みのひとつです。

「木になるリニューアル」によってこれまで削減できたCO 2の量は、戸越銀座駅が約170トン、旗の台駅約320トン、長原駅が約1トンとなっているそう。

さらに国内の木材を利用することは、「使う・植える・育てる」という森林資源の循環をうながし、森林・環境保全にもつながっていきます。

つまり、利用者が何か特別なアクションをしなくても、池上線の電車に乗るだけで、森林・環境保全の取り組みを応援することになり、環境貢献できる仕組みになっているのです。

さらにそこから一歩踏み込み、戸越銀座駅のリニューアル時には、「駅で使われた木材がどこから来たもので、どんな環境問題が背景にあるのか」といったことを学ぶ機会として、原産地ツアーも開催。計2回の開催で、59名の方が参加したそうです。

「多摩の森とつながるツアー」の様子。参加者は、子ども連れの家族や地域の商店街の方々など幅広い層が集まりました。普段は見えづらい林業のプロセスを実感してもらい、「木の一生がわかった」という声もあったそう。林業が根付くような山が東京にもあるということを知ってもらうきっかけにもなったようです(提供:東急電鉄)

「木を伐採する=自然破壊」というイメージもありますが、人工林は人の手を入れて整備していくことが欠かせません。

日本は、森林面積の約18%に当たる441万ヘクタールが、スギの人工林。間伐されずに放置された人工林は、土壌を弱めて土砂災害を引き起こしたり、生態系を保てなくなったりするといった環境問題につながります。

「木になるリニューアル」は、そういった知識を得る入り口にもなっています。「木になるリニューアル」は、新しい駅舎が「木になる」ことをきっかけに、環境問題が「気になる」、という変化を生み出す取り組みなのです。

駅の改修で出た古材も循環させる

さらに池上線では、駅舎の改修だけでなく、改修された駅で使用していた古材を駅や沿線で使用していく「みんなのえきもくプロジェクト」という取り組みも行っています。

「ReBuilding Center JAPAN」の協力のもと開催した駅の古材を活用したベンチづくりなどのワークショップや、古材を新たな駅施設にいかす取り組みなど、これまで使われてきた木材に価値を付け加え、新たな役割を生み出しています。

ワークショップなど、古材を活用したさまざまな取り組みを行っている「みんなのえきもくプロジェクト」。写真は、池上駅で使用していた古材を活用し、池上駅に設置されていたベンチをリデザインして制作するワークショップの様子(提供:東急電鉄)

さらに最近では、古材日和グループ(代表:塚田木材株式会社)とともに、よりいろいろな方に循環の取り組みを身近に感じてもらえるように、古材や古材をリメイクしたインテリア雑貨の実験販売も始めています。

秋武さん 池上線で改修したような戦前から残る木造の駅舎は、なかなか現存していない貴重な存在。それを「新しい木を使って駅舎をきれいにするために、古い木は全部廃棄しました」というのではなく、改修の過程で出る木材も無駄にせず、循環させる可能性を責任を持って探っていければと思っています。

旧池上駅で使われていた古材「ステーションウッド」を加工したインテリアボード。古材それぞれの個性のある素材感が残った仕上げがおしゃれです。「ステーションウッド」についてはこちらをご覧ください

古材の活用は、加工できるように釘を取り除くなど手間のかかる工程もあります。そういった制作工程の手間と、実際にどんな人にどれくらいニーズがあるのかという需要を探っていくのが、これからの挑戦だといいます。

横山さん 池上線をあまり知らない人でも、古材を活用した雑貨を「雰囲気が素敵だから」と手に取ってくれることがあるといいな、と思っています。

それをきっかけに、背景にある林業の課題に関心を持っていただいたり、商品を手に取ることが環境貢献につながっているということを知ってくださったりすると嬉しいです。

「きになる」が、もっと広がる

池上線では、木材を活用した駅舎のリニューアルや古材の活用以外にも、「きになる電車」の運行も行っています。

「きになる電車」は、内装に木を取り入れた特別なデザインの列車。ただ目的の場所に行くための手段としてだけでなく、「面白い電車が来た!」「中も木が取り入れられていて、あったかい雰囲気がある!」と感じてもらったり、「あの電車に乗りたい」と思ってもらうなど、乗ること自体が楽しみになり、愛着が湧くような電車を走らせられればと企画されました。

1車両のみ運行している「きになる電車」。昭和20年代に旧目蒲線と池上線を走っていた車両をモデルにつくられました

内装は木目調。車内では木になるリニューアルの情報や池上線沿線に関する広告のみを掲示している、池上線ならではの電車です(提供:東急電鉄)

こうした「きになる電車」や「木になるリニューアル」は、あくまでも入り口のひとつ。東急電鉄は、駅舎や電車など、生活に関わるところで「なんだろう?」という環境への興味を持ってもらうきっかけをつくり、今後はもっとさまざまな環境問題にも目を向けてもらえるようにしていきたいと考えているそう。

そこで、木と同様に「循環型社会という文脈で、沿線の方々に興味を持って参加してもらえるものはないか?」と考え、「きになるフードロス」というイベントも開催しました。

協力店舗から、閉店後の各店舗から販売しきれなかった消費期限内の商品を集荷し、池上線の長原駅前で販売した「きになるフードロス」では、商品の運搬に電車を使うなど、販売までのプロセスでも二酸化炭素をなるべく出さないように工夫したそうです。(くわしくは、こちらのページで紹介されています)

「きになるフードロス」の仕組みは、利用者にお得に商品を購入できるというメリットを感じてもらいながら、社会背景についても知ってもらえる機会になるようにと考えられました(提供:東急電鉄)

横山さん 「きになるフードロス」のような取り組みに興味を持ってもらうだけでも、行動がひとつ変わるはず。そういうきっかけをこれからもつくっていきたいです。

秋武さん 駅は、その街で生活している方の目に自然と触れる場所なので、ひとつのメディアとしても機能するのではないでしょうか。だからこそ、「いいな」と感じてもらえる場所になりうると思っているので、これからもなにげない日々のなかで環境貢献できるようになるきっかけをつくっていきたいです。

取材の最後に、戸越銀座駅の三角屋根ポーズで撮影。池上線に対するお客さまの想いや声を大事にしながら取り組んでいきたい、と話す横山さんと秋武さん。「木になるリニューアル」自体が沿線の方の声からつくられたように、みなさんの声が反映されて始まる取り組みもあるかもしれません

取材を経て、ちょっと意識してみると、木は、机や椅子、扉、お皿など、普段から私たちの暮らしに溶け込んでいることに気づかされました。

だからこそ、一度「きになる」スイッチが入ると、いろんなところに目が向くようになり、そこから背景にある環境問題にも関心を持つようになりそうです。

あなたも「木になるリニューアル」にふれるために、池上線を訪れてみませんか?

連載「Ticket to Sustainable Town〜サステナブルな暮らしがある街へ、でかけよう〜」の他の記事は、こちらをご覧ください。

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(編集・撮影:山中散歩)

– INFORMATION –

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