長い棒にまるっこい持ち手、この独特なフォルム、何だと思いますか?
実はこれ、おじいちゃんおばあちゃん御用達の杖なんです!
今春、ミラノの展覧会で発表された「Together Canes」は、3種類の杖シリーズ。それぞれ従来の歩行を助ける役目だけでなく、新たな機能が加えられています。
T-cane (中央)
コーヒーを運ぶならこれにおまかせ!「こぼすかも…」なんて心配無用。
U-cane(右)
好きな本、雑誌はここへどうぞ!もちろん編み物セットなど用途は様々。
I-cane(左)
なんとiPadをセット出来る!ソファーに座りながら楽々使えるすぐれもの。
「杖のデザインはもっと可能性がある」という思いから生まれたこのデザインの背景には、二つの視点がありました。
おばあちゃんが思い通りに移動できなくなってから、おじいちゃんに毎日のコーヒーを運んであげられなくなった。そのことが、すごく彼女を悲しませていたんです。それを何とかしたいと思って。
というのは、デザインを担当したLanzavecchia+Waiのランザヴェッツィアさん。「どうしたら、おばあちゃんがおじいちゃんにコーヒーを運び続けることができるんだろう?」そんな身近な人への想いから、T-caneが生まれました。
そして、もうひとつのポイントが、「自分たちがおじいちゃんになったとき、どんなものが欲しいだろう?」と自分目線で発想していること。そのコンセプトを彼らは”Elderly 2.0″と呼んでいますが、遅かれ早かれ、わたしたちもいつかはこの杖を使うような状況に直面するからこそ、”いつか”を想像することが新しいアイデアのヒントになるんですね。
彼らはその後も「No country for Old Men」というコレクションを発表し、おじいちゃんおばあちゃん向けのオシャレで便利なものを次々と生み出しています。
例えば上の「The assunta chair」という椅子は、筋力が衰えた方でも傾けることで自分の体重に助けられ、立ち上がりやすいデザインになっています。
こちらの「Monolight」はLEDライトと拡大機能に加え、十二方形の土台で角度も自由自在なので読書やお裁縫、毎朝の新聞を読むにも便利です。
「身近な人が、どうしたら喜んでくれるだろう?」という視点と「自分だったらどうしたい?」という視点。「Together Cane」のデザインアプローチは、高齢者に限らずさまざまな分野で応用できそうですね。
[via : CoDesign]
(Text : 鳥居真樹)
「No country for Old Men」について調べてみよう。
おじいちゃんおばあちゃんのための新しいデザイン!