「風車」というと、どんなものを想像しますか?
3本のプロペラが回転する白い塔や、オランダの伝統的な建物を思い浮かべる人もいるかもしれません。Wikipediaによると風車の歴史は古く、なんとピラミッドが造られた時代から使われていたという説もあるほど。
そして時はめぐり2012年、ついに空飛ぶ風車が誕生しました!
この空中風力発電機「Airborne Wind Turbine」(以下、AWT)の仕組は簡単。
ドーナツ型の風船とイメージすると分かりやすいかもしれません。風船の中にはヘリウムガスが入っています。ヘリウムは空気よりも軽く、気球や飛行船にも利用されています。このドーナツの穴にタービンを入れ、ヘリウムガスで浮かせているのです。
地上には移動できる発電所を置き、タービンが作った電力は伝導ロープを通してこの発電所に送られます。
なぜ空中に浮かしているのかというと、上空の方がより強く、安定した風を得られるからです。
実際にアメリカ・メイン州で行なわれた試験運転では、自動運転で地上からおよそ100mの高さに浮かせ、発電し、そして降下させることに成功しました。興味深いのは、プレスリリースによれば、一般的な風車の2倍の電力を生むことに成功したそうです。これは推測ですが、おそらくタービンのまわりにドーナツがあることで、風がタービンに圧縮されて吹き込むからかもしれません。
AWTを開発したのはマサチューセッツ工科大学 と ハーバード大学の卒業生によって2010年に設立された「Altaeros Energies」。CEOのBen Glassによると「風車は数百フィートの高さに持ち上げるためクレーンと巨大なタワーが必要だったが、AWTは簡単に上空へ上げられる」ことが最大の利点のようです。
さらには、AWTは上空に上げられるため騒音が少なく、地上に降ろしてメンテナンスを行えるため、タワー型の風車に比べてもメンテナンスも容易なんだとか。
上空の方が風力が強いからといって、風車そのものを飛ばしてしまうなんて画期的なアイデアですね。日本でも、飛行船のように風車がぷかぷかと浮いているのを見る日は近いかもしれません。
(Text:木村絵里)
[via inhabitat]
地域ごとに発電所が作れるかも!?