ISSUE☆おすすめの連載! a Piece of Social Innovation

4 years ago - 2012.03.14

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身近な人をもっと大切にするキッカケづくり。プレゼントやサプライズでみんなの幸せを循環させる「サンタのよめ」

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特集「a Piece of Social Innovation」は、日本中の”ソーシャルイノベーションのカケラたち”をご紹介するNPO法人ミラツクとの共同企画です。

旅立ち前、空港に行ってみると……仲間が次々にお揃いのTシャツで登場!

この写真は、この日に誕生日を迎えた方のために、親しい友人のみなさんが仕掛けたサプライズ企画の様子。空港内で、謎の古文書と地図が渡されるなど手の混んだ演出で、盛大にお祝いしました。

普通にプレゼントを受け取るのももちろんうれしいけれど、仲間たちが考えてくれたサプライズ企画は、一生記憶に残る、大切な思い出になりますよね。そして仕掛けた側にとっても、それはとても楽しい体験です。

プレゼントやサプライズで、みんなをもっと幸せにしたい。そんな想いから始まったマイプロジェクト「サンタのよめ」をご紹介します。

「サンタのよめ」とは?

「サンタのよめ」http://santanoyome.com/
「サンタのよめ」のウェブサイトは、ドットインストール@fkojiさんが手がけています

サンタのよめ」は、プレゼントを考えたい人、サプライズをしかけたい人と一緒にアイデアを考え、実行をサポートするプロジェクト。「両親の記念日をお祝いしたい」「友達の誕生日にサプライズを仕掛けたい」など、どんな個人的な相談でもOK。相手をよく知る依頼主にしかできない心のこもったプレゼント企画をお手伝いして、贈る方にも贈られる方にも幸せを届けています。

例えば、会社の前までリムジンでお迎えして特別な日をお祝いしたり、突然浴衣に着替えてもらい湯河原の花火大会まで連れ去ってしまったり、母親が主人公のオリジナルの紙芝居をつくって感謝の気持ちを伝えたり。ときにはNPO法人ミラツクの設立記念パーティで、ロゴをイメージした羊羹をサプライズで振舞ったこともありました。

「サンタのよめ」のサプライズの現場は、いつもとびきりの笑顔とやさしい涙であふれています。その様子の一部を、まずはこちらの動画で感じてみてください。

「サンタのよめ」の活動がユニークなのは、プレゼントやサプライズの対象が、限定した「誰か」や、特別な「記念日」だけには留まらないこと。例えば、こちらは動画にも登場した「図書館サンタ」という企画の様子。

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サンタの姿で図書館に集まり、今一番調べたいテーマについてじっくり調べモノをします。手にとった本の中から特にピンと来た一文をカードにメモし、こっそり本に挟んで戻しました。いわば、次に手にとった人へ「言葉のプレゼント」です。「サンタのよめ」ウェブサイトより)

このように、不特定多数の誰かに向けてのサプライズ企画や、プレゼントに喜ばれる手紙を書く会「文会(ふみらひ)」(毎月1回開催)などのイベントも行っています。「お祝いしたい」という気持ちを持っている人のみならず、みんなが誰かのことを想い、身近な人を大切にするきっかけをつくること。これが、「サンタのよめ」の仕事です。

「サンタのよめ会議」の様子

「サンタのよめ会議」の様子

ウェブサイトには、これまでプロジェクトで仕掛けたサプライズの紹介の他、みんながやったサプライズを投稿できる仕組みもあり、サプライズのデータベースとして、プレゼントに迷ったときの参考になりそうです。また、先ほどご紹介した「文会」の他、みんなでプレゼントのアイデアを考える「サンタのよめ会議」も実施。共感した人がいつでも参加できるオープンなプロジェクトとして、活動を続けています。

きっかけは、まっさらな心で描いた「夢」

「サンタのよめ」プロジェクトは、ひとりの女性の純粋な「夢」から始まりました。私たちが「夢」を語るとき、それは職業だったり、生活の糧だったり、自分が現実的に生きていくために必要な「お金」のことをどうしても考えてしまいますよね。

でも、子どもの頃はそうではなかったはず。「お姫様」とか「ヒーロー」とか、それこそ「シマウマ」とか(?)。すべてのオトナ的思考を取っ払って考えたとき、あなたなら、どんな夢を思い浮かべますか?

このプロジェクトの発起人・まきさんにとって、それはまさに“サンタのよめ”でした。

子どもの頃から本当にただ、プレゼントをするのが好きだったんです。「誕生日にプレゼントをもらうのはうれしいことだ」っていう確信みたいなものがあって、贈る自分もうれしかった。記念日だから、普段ふざけあっている友達にも手紙で「ありがとう」と言えたり、そういうきっかけがあるのがうれしくて。

それに、プレゼントをもらった瞬間って、自分がすごく重要に感じられるんですよね。存在を認められ、祝福されたというか。だからこそ、そんな瞬間が増えてほしいし、みんなにもそれを感じてほしいなと思いました。

それで、プレゼントと言えばサンタだな、と。サンタは世界中の子どもたちにプレゼントをあげる人なので、イヴにプレゼントを配って、次の日は休むとしても、363日はプレゼントのことを考えなきゃいけないはず。じゃあ、「サンタのよめ」になったら、プレゼントを考えるのが仕事になるんじゃないかな、って思ったんです。

「サンタのよめ」代表のまきさん

「サンタのよめ」代表のまきさん

そんな想いをまきさんがブログ(全文はこちら)に書いたのは、2010年のこと。当時、社会のために役に立ちたい、と思いながらも、何から始めたらいいか悩んでいたというまきさんは、社会的課題に関する本を読むたびに理想と現実の格差に落ち込み、「生きづらい」とさえ感じていたと言います。でもその数ヶ月後、知人の勧めで参加した「xyz Action ワークショップ」で、その気持ちに変化が訪れます。

ワークショップで対話を初めて経験して、私は問題ばかり見ていて、自分の目の前にいる人や可能性を見ることを忘れてしまっていたな、と気付いたんです。そのとき目の前にいた人たちは何か課題を抱えていたとしてもすごくキラキラしていて、人の中に希望を見た、というか。そういった明るい方向に目を向けて、もっとワクワクしたり、自分が喜べることに意識を向けようって思いました。

「あなたの成功体験を教えてください」と聞かれたときに、迷いなく思いついたのが両親へのプレゼント(※)だったので、ワークショップ後半の発表の場で、「サンタのよめになりたい」って話してみました。

(※)2007年にまきさんが兄弟と3人でご両親の結婚30周年を祝ったサプライズ企画。詳細はウェブサイト内「両親へのプレゼント」に掲載されています。

勇気を出して、想いを口にしてみた、まきさん。すると、共感してくれた人たちが声をかけてくれて、意見や自分の経験を話してくれる人も現れました。そんな人々の意見を参考にしながら、「サンタのよめ」プロジェクトを立ち上げたのです。

幸せの循環を生み出すプレゼントの力

まきさんは、プレゼントを一緒に考えることによって、幸せの循環が生まれると言います。

プレゼントって、何をあげればいいか迷うし、実際もらっても困ることもありますよね。でも誰かと一緒に考えれば、考える人も楽しくなるし、しっかり考えて送られたプレゼントは、受け取った人も「自分はこんなに愛されているんだ」って実感できるし、「自分も誰かにしてあげたい」と思う。たくさん祝福してもらうと、自分の中に愛が溜まって他の人にも渡せるような感覚。そうやって、どんどん幸せの循環が生まれるんです。

以前こちらの記事でご紹介した「恩送り」にも似た、幸せの循環。とはいえ、いつもと違うことを「やろう」と言い出すにはそれなりに勇気がいることです。この活動が、「やってみたい」という一言が言えるきっかけになれば、と、まきさんは言います。

そういう人が増えて幸せの循環が生まれれば、社会にあるいろいろな問題も、違う方向から解決できたりするんじゃないかと思うんです。例えば、日本は自殺率が高いと言われていますし、毎日のように気が滅入るような事件が報道されます。その原因はおそらく「自分は別に重要な存在じゃない」って思ってしまうことから始まっていることもあると思うんです。私も自分が弱ると、自己否定してしまうこともあったので、そういう気持ちもわかります。

でも本当は、いろいろな思いを抱えながらも、一生懸命生きているってことは、もうそれだけで素晴らしいこと。この活動の根底には、その人が何をやっているか、よりもどんなふうに生きているかということや、存在自体を大切にしたいという思いがあります。プレゼントで愛をいっぱいもらう体験をして、「ただ、今の自分で素晴らしいんだ」「自分は尊い存在なんだ」という気持ちをみんなにもっと感じてもらいたいです。

難しく社会のことを考える前に、まずは自分自身を愛すること。まきさんが自分自身の体験から辿りついたこの想いは、今、「サンタのよめ」の様々な活動を通して誰かの心に届けられています。

クリスマスには、街なかにサプライズプレゼントを仕掛けて遊ぶ「ふるまい for the X'mas」も開催しました。

クリスマスには、街なかにサプライズプレゼントを仕掛けて遊ぶ「ふるまい for the X'mas」も開催しました。

大切なのは身近な人を大切にすること

「サンタのよめ」は今、まきさんを中心に、4人のメンバーで運営しています。今後は、プレゼントやサプライズ企画が苦手な人のためにそのスキルやヒントを学べるワークショップ「サンタとサンタのよめ修行」を開催したり、サプライズで使う道具をみんなで共有できる「みんなの道具箱」をつくったり、と、さらに活動を広げていく予定とのこと。

最後に、まきさんがこの活動で一番大切にしていることを聞きました。

「身近なところから」ということです。必ずしも「社会を変えなければ」なんて思う必要はなくて、変えるべきなのは自分自身の姿勢や見方。自分がすごくキラキラして笑顔でいれば、それは自然に周りの人にも広がっていくはず。自分の幸せを溢れさせて身近な人たちを大切にできたり、愛情を伝えたり、そういうことができれば十分だ、と思っています。

「社会のために」と大きく構えるのではなく、「自分自身」へと視点を変えたまきさん。その活動が今、光源となって周りの人を照らし始めています。等身大の自分で考えているからこそ「“マイ”プロジェクト」であり、その人にしか語れないストーリーだからこそ共感を呼ぶことができる。「サンタのよめ」は、改めてそんなことを実感させてくれる活動です。

きっかけは自分ごとから。日常で気付いたちょっとしたことを誰かに話してみると、意外な展開が待っているかも。そして、それは明日、あなたに起こることなのかもしれません。

greenz.jp編集長YOSHの誕生日もサプライズでお祝いしました!

実はgreenz.jp編集長YOSHの誕生日もサプライズでお祝いしました!

冒頭の空港サプライズ、予告編動画はこちら!

五井平和財団の西園寺由佳さんのお祝いサプライズ!ブラストビートの松浦さん、オトナノセナカのめぐさん、Nosignerの太刀川さん、TEDxTokyo の井口さんたちも仕掛け人として参加しました。

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きっかけは“自分ごと”。あなたもマイプロジェクト、始めてみる?

writer ライターリスト

池田 美砂子

池田 美砂子

greenz シニアエディター/シニアライター 神奈川県茅ヶ崎市在住、ひとりの娘のお母さん。 電機メーカーSE、気象コンテンツプロデュースなどを経て、2008年にグリーンズと出会いました。以来、人の話をありのままに聞くインタビューをライフワークとしています。 ビジョンは、「ありのまま、そのままの自分を肯定できる人を増やす」こと。多様な個があふれ、互いにそれを認め合い、一人ひとりが、大切にしたいものを大切にできる社会を実現するための土台となる“心の持続可能性”をテーマに、暮らしの中で、編集・執筆を通して、日々マイ・プロジェクトを実践中。一人ひとりの心が持続可能であることが、持続可能な社会をつくると信じています。 Facebook: http://www.facebook.com/ikedamisako

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ミラツク

ミラツクは、対話を通じて、異なるセクター、異なる地域、異なるステークホルダーの間に協力を生み出し、より良い社会に向けたイノベーションを生み出すことに取り組むNPOです。 ミラツクが応援するのは、未だあまり知られていない社会を良くする取り組みとそこにいる”人”たちです。1人の人が生み出す未来の可能性を世の中に伝えていくことで、また新しい次の未来の種が生まれる。そんな未来をつくるサイクルを共につくっていければと思います。 ⇒ 特集「a Piece of Social Innovation」ミラツク×グリーンズ対談!Facebookページ

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サンタのよめ

もしも願いがかなうなら、毎日誰かへのプレゼントのことを考えて生きていたい。プレゼント配りに忙しいサンタのよめになれば、その願いが叶うのでは…そんな思いから、勝手に「サンタのよめ」を名乗らせてもらっています。 http://santanoyome.com/

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