youtube動画には、インタラクティブな仕掛けを付け加えることができる「アノテーション機能」というものがあります。見ている人がリンク先に飛んだりストーリーを選べたりする機能としていままでいろいろな広告に使われてきました。
社会的な広告ではイギリスの警察署が実施した“Chooose a different ending”が成果をあげています。
今日ご紹介するのは、“Chooose a different ending”のような壮大なドラマ仕立てのものではなく、見た目はとてもシンプルで、予算もおそらくチープだと思われる動画広告です。
広告主はセーブ・ザ・チルドレン。
貧困や虐待から子どもたちを守るために活動をしているNGOです。まずはアノテーション機能を使ったこちらの動画をご覧ください。
“Sadness(悲しみ)”や”Dark(暗い)”といった子どもたちの悩みを象徴する言葉を×マークをクリックして消していくと、”Happiness(喜び)”、”Lighit(光)”といった希望の言葉があらわれるようになっています。そして最後は、”Death(死)”から”Life(命)”へ。
たったひとつのクリックが、子どもをめぐる世界を変えるきっかけになることを伝え、寄付に誘うという流れになっています。シンプルなデザインですが、次々と現れる言葉を消す行為はゲームのようでついつい夢中になってクリックしてしまいます。そして、こんなに簡単な行為で子どもが助かるなら、と思わせるんですね。
実はこれは実際に使われた広告ではなく、カンヌ国際広告祭の一環として、若いクリエイターを対象に行なわれるコンペでつくられたものなんです。限られた時間と限られた道具しか与えられないなかでの表現からは、鮮やかなアイデアの力が感じられます。
カンヌは広告に関心のある人だけが注目するイベントだと思うのですが、ヤングコンペなどからは、予算も時間もないNGO、NPOの方が見て参考になるアイデアがあるかも知れません。
カンヌ広告祭は今年から「カンヌ・クリエイティブ・フェスティバル」になるので、6月の開催が楽しみですね。