誰もがみな、その存在には気づいているのに、つい目をそらしたり、無視してしまいがちな、ホームレス問題。なんとなく、自分とは関係ないこととして、遠ざけてしまう傾向にありませんか?ホームレスの生活をバーチャル体験することによって、彼らの日々の苦しみや思いを感じることができるオンラインゲームがあるそうです。
米広告代理店McKinneyは、ノースカロライナ州のNPO・Urban Ministries of Durham(UMD)と提携し、30日間、ホームレス生活をバーチャル体験するオンラインゲーム「SPENT」を製作しました。
このゲームは、仕事を失い、貯金が底をつき、家も追われ、残りの全財産は1,000ドル、という設定からスタート。当座の仕事選びや、住居の確保、子どもの教育など、様々な日常のシチュエーションにおいて、複数の選択肢の中から自分の意思を選び、ゲームを進行させるという仕組みとなっています。
このオンラインゲームの狙いは、ホームレスの立場になったとき、自分がどんな意思決定をし、そのとき、どのような感情が湧くか?を疑似体験させること。たとえば、本来、加入すべき健康保険が、自分にとって高価なものだとしたら、どうするか?なけなしのお金で加入することを決断すれば、自分の今後の生活にいっそうの不安をもたらすかもしれない一方、加入しないとしても、万一病気になったときの不安や、若干の後ろめたさなどを感じるかもしれません。
日々、生活費がどんどん減っていく状態を常に気にしながら、最善の選択をし続けることは、精神的にも大きな苦痛が…。このオンラインゲームをやってみると、過酷な状況のもと、日々生活しているホームレスの人々の微妙な感情のゆれや動きを、少し感じることができ、それゆえに、より深く、この問題を捉えることができます。
また、「SPENT」はフェイスブックと連動しているのも特徴。どの選択肢を選ぶべきか迷うときは、実際の友人にアドバイスを求められるようになっています。これによって、ホームレスという社会的な課題を、より多くの人々に啓発し、自分の身に置き換えて、この問題を考えるきっかけにしようとしています。
このオンラインゲーム「SPENT」は、平均10分程度(英語を母国語にしている人の場合)で一通り楽しめます。比較的平易な英語なので、ご関心のある方は、ぜひトライしてみてください。
[via Mashable]
オンラインゲーム「SPENT」をやってみよう。