砂漠の祭典「バーニングマン」(3)

ついに到着!「バーニングマン」レポート第3弾!!
砂漠の中で1週間に渡り開催されるイベント「バーニングマン」。ここに集まる人々はみんな最高にフレンドリーでエキサイティングだ。それは、No Spectator(傍観者になるな)のスローガンのため?厳しい自然環境のため?金銭使用禁止のため?砂漠の生活と東京の生活。どっちが理想的で、どっちがあるべき姿なんだろう?バーニングマン連載レポート、第3弾!!

暑い暑い暑い!僕は目覚めるなり寝袋から飛び出し、着ているものをすべて剥ぎ取ってテントのジッパーを上げた。一瞬だけ外の空気が冷たく感じられる。ふー、今日もまた暑い一日が始まった……。

reporteditright_1950

砂漠の温度変化はとにかく極端すぎる。夜、寒さに耐えられず完全防寒で寝てしまうと、今度は強烈な暑さで目覚めることになる。日の出後にテントで寝るのはほとんど自殺行為だ。思えば僕はもう何年もこんなことを繰り返している。寒さで寝て、暑さで目覚める。そんなとき思うのは、屋根ってすばらしいなーということ。建築ってすばらしいなーということ。そう、人はナイロン製のテントの下に生きるにあらず。しっかりとした屋根の下にこそ生きられる存在なのだと思う。

宿泊施設は一切存在せず、すべて自前で用意する必要のあるバーニングマンにおいて、暑さ・寒さ対策は生き残るための重要なポイントだ。今年僕はとっておきの秘密兵器を持ってきていた。それは園芸用の日よけネット。野外園芸をしている方ならご存知かもしれないが、植物への強すぎる日差しを防ぐために畑の上にかける大きな黒い幕のようなものだ。パッケージには遮光率80%と書かれている。これをテントの上にかけたり、ポールで固定してタープのようにして使ってみようと思い、日本で事前に買っておいたのだ。

さっそく設置してみたところ効果絶大!直射日光下にも関わらず、ネットのおかげでしっかりとテント内は日陰になっている。もう7回もバーニングマンに来ているけど、こんなに快適なのは初めてだ。人間の英知に乾杯である。この日よけネット、日本の野外フェスやビーチリゾートでもきっと役に立つと思うので、夏にはぜひチェックしてみて欲しい。これがあれば屋根がなくても生きていけるかもしれないぞ。

砂漠は日差し以外にもさまざまな困難が存在する。乾燥から皮膚を守るために保湿クリームは大量に必須。砂嵐から目や呼吸を保護するためのゴーグルやマスクも用意すべきだ。そしてなにより、水。どこかへ出かける際には必ず水を持ち歩き、四六時中飲んでおかないと確実に熱射病でやられてしまう。オフィシャルガイドブックでは1人1日あたり1.5ガロン(1ガロンは約3.8リットル)は必要と案内している。7日間続くイベントだから、水だけでもかなりの荷物になる。

もちろん会場内に公共の入浴施設などは作られない。シャワーを浴びたいときは貴重な水を使うか、散水車に飛び込むしかない。そう、バーニングマンでは砂埃を少しでも防ぐために、定期的に散水車が水をまき散らしながら会場内を巡回している。

その後ろにピッタリと引っ付いて、まき散らされる水で豪快に水浴びをするのである。いつやって来るか分からない散水車。とにかく見かけたら全裸になって飛び込むことをオススメしたい。あ、でも環境にダメージを与えないように、あくまでNO SOAPで水浴びのみするようにね。

バーニングマンではこんな調子で「日々の生活のアレコレ」に多くの時間を費やすことになる。暑さで目覚めてコーラを飲みつつウェットティッシュで体を拭いて、ベーグルとピクルスの朝食を食べてたら散水車が来たんで水浴びして、保湿クリームと日焼けローション塗ってコンタクト入れてテントを整理してたら、あっという間に昼になってしまう。一番暑い昼間に動き回るのもキツイんで、日陰でコーラを飲みながら友人と昨夜の盛り上がりを喋り合いつつビーフジャーキーを食べてると見知らぬアメリカ人がやって来て、PSYCHO!とかデタラメな日本語と英語で遊んでいたらあっという間に日没である。

現代の暮らしでは生活のアレコレはとことん便利になっていて、ガスも水道も、屋根と壁のある家もコンビニも風俗店も、僕らのやりたいことは本当に手早く簡単にできるようになった。でも、おかげで知らない人たちと助け合いながら生きる必要はなくなってしまった。

バーニングマンという共通のキーワードがあるためか、過酷な自然環境のためか、バーナー(バーニングマン参加者)たちはとてもフレンドリーで、助け合いの精神がある。通りを通る人たちみんなに手を振って、ヨソのメシでもガンガンご馳走になって、サンダーストームが襲いかかってきたら全員でテントを押さえる。知らない人だらけだけど、知らない人はいないような気になってしまう。

そして自由奔放なアート、エンターテイメントがバーナーたちの手によって無数に作られ、毎日さまざまなイベントが行われる。巨大なオブジェ、ライブペイント、トークショウ、上り下りがかなり危険な展望台、落差のありすぎるシーソー、定期的に水を発射するハリボテのチンコ、リアルに恐怖を感じる火炎放射器、一級のサウンドシステム、VJ……。広大な会場と相まって、いくら見ても見終わらないほどだ。

僕も地の果てに作られたお寺・Temple of Hopeへクリスタルボウルを運び込み、ライブ演奏をやってみた(バーニングマンではまわりに迷惑にならない限りは、案外どんなところでもパフォーマンスやライブを行うことができる)。遠くに沈みゆく夕日、砂埃と乾燥で真っ白になった体、地平線……。

初めて参加したのは1998年。会場到着二日目で左手を骨折し、往復6時間かけて救急病院まで行った。日本に帰ってきて改めて医者に診せると、「なんでこれ手術しなかったの!」と怒られた。おかげで左手は今もうまく動かない。自転車を三日三晩こぎ続けてやって来たこともあった。ナチュラル・ハイ全開で、砂漠の山々が巨大なドラゴンに見えて怖くてたまらなかった。キャンピング・カーで来たときは楽だった。出世したなー俺、と思った。

砂漠の生活と東京の生活。どっちが理想的で、どっちがあるべき姿なんだろう?僕はなぜ、命と人生をかけて(バーニングマンのおかげで何度仕事を辞めたことか!)ここに戻ってきてるのだろう。なぜみんな最高にフレンドリーでエキサイティングなんだろう。この感覚を日々の生活に、東京の暮らしに持ち帰るにはどうしたらいいんだろう……。

そんなことを考えながら演奏していたら、すっかり日が暮れてしまった。そろそろ帰って厚着をしないと、寒い夜はすぐにやってくる。探した答えは見つけられないまま、ボウルをしまってキャンプサイトに帰ることにした。

そして、夜。あちこちでネオンが輝き始め、火炎放射器を積んだアートカーが走り回っている。頭上には星座を書ききれないほどの星空。真っ暗な夜道で危険がないようにルミカも大量に装着した。懐中電灯も持った。東京では生命維持装置の携帯と財布とiPodはここでは必要ないや。タイミングよく飛び乗れそうなアートカーがやって来てくれないかな。今夜もしっかり、遊びますか!!

(つづく)

top,4nd,6th,7th=RAGE http://fotologue.jp/heliographie/
1st,2nd,3rd,5th=マガリ http://www.magarisugi.net

サンターキーに行ってみよう!

ここでちょっと告知です。12月23日(土)、お昼12時に渋谷ハチ公前集合で今年も「サンターキー」のイベントを行います。これはサンタの格好をして町の中で勝手に遊んでしまおう!というもので、東京でやるのは今年で4回目です。雰囲気、内容、目的など、非常にバーニングマンに近いものがあると思ってます。サンタであれば誰でも参加できるんで、皆様ぜひよろしくお願いいたします。モアインフォはhttp://www.magarisugi.net/をご覧ください。

『バーニングマン』過去の記事はこちら!→
第1回目 「砂漠の祭典 バーニングマン(1)」
第2回目 「砂漠の祭典 バーニングマン(2)」