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ローカルベンチャーが育つ鍵は「関係性のデザイン」にある。「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」がコミュニティマネージャーを募集する理由とは #求人あり

グリーンズ 求人での募集期間は3/25-5/7です。募集状況は記事末をご覧ください。オンライン説明会も申し込み受付中!

東日本大震災から8年がすぎ、復興が進んでいる岩手県釜石市では、「関係性のデザイン」に焦点をあてたまちづくりに取り組んでいます。そのプロジェクトが「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」です。

釜石ローカルベンチャーコミュニティは2017年にスタートした、自分らしい働き方を実践する個人と地域・企業が共創するプラットフォーム。地域の活用されていない資源に価値を見出し、新たな経済や暮らしの豊かさを育むローカルベンチャーを創出しています。

スタートから2年が経ち、釜石にはユニークなローカルベンチャーの担い手が集まってきました。現在、9名の起業家が集い、「海辺の地域づくり×ブランド推進」、「観光×サイクリング」、「リノベーションまちづくり」など、多種多様な事業が進められています。

今、こうしたメンバー同士や地域内外の人、企業や行政との関係性のデザインをさらに推進することで、地域でローカルベンチャーが生まれ、育つ流れを促進する「コミュニティマネージャー」を募集しています。

なぜ、地域で「関係性のデザイン」が重要なのか。そしてその担い手となる「コミュニティマネージャー」とはどのような仕事なのかを知るために、釜石を訪ねました。

「自分」の追求が「地域」の未来につながる働き方

釜石市は近代製鉄の発祥地であり、工業と水産業を基幹産業として発展してきました。2019年9月にはラグビーワールドカップ™が開催される予定で、注目が集まっています。

岩手県の沿岸地域にあるため、東日本大震災時には津波が市の中心部にまで達したほど、大きな被害を受けた釜石市。以後、支援活動で通算10万人以上もの人が訪れ、多様な人材を受け入れることで困難を克服してきました。さらに、復興支援を通して、他行政・企業からの出向職員や大学、団体との連携した事業が増えるなど、「オープンシティ釜石」を合言葉に、「変化に開かれたまち」として多様な企業や人材が協働するまちづくりのプロジェクトが次々と生まれ始めています。

釜石ローカルベンチャーコミュニティは、2015年から釜石市内に本社を置く「株式会社パソナ東北創生(以下、パソナ東北創生)」が事務局を務め、釜石ローカルベンチャーコミュニティのメンバーとして地域で新規事業に取り組む方を全国から募集(地域おこし協力隊の制度を活用)。集まったメンバーと共に取組を進めるプラットフォームとして、地域団体や行政、大学など様々な人や組織を巻き込みながら活動しています。

釜石ローカルベンチャーコミュニティのメンバー

これからの生き方を主体的に考え動いていく先に、地域の未来がつくられていく。こういった考え方に基づき、それぞれが、地域の仲間と挑戦していける仕組みづくりに取組んでいるのが大きな特徴です。

その結果、地域に新しい価値が生まれ、課題が解決されていく…という循環が生まれ始めています。

なぜ釜石では、こうした「関係性のデザイン」を通じたローカルベンチャーの推進に取り組んでいるのでしょう。震災復興ボランティアを機に、社内起業制度を活用して「パソナ東北創生」を立ち上げた戸塚絵梨子さんは次のように語ります。

戸塚さん 釜石では地域内外の人びとが連携しながらまちづくりを進めてきた歴史があります。震災復興期に地域住民を中心に多くのとりくみが行われ、共感する支援者や移住者が増えていきました。その流れを受け継ぎ、地域にある資源を生かした新しい事業を生み出すことや、地域でのトライ(挑戦)の連鎖を生み出す仕組みづくりを通して持続的なまちづくりを目指していこう、と始まったのが「釜石ローカルベンチャーコミュニティ」です。

戸塚さん 2018年度から2期目に入って、ようやく事業の成果が見え始めてきているなと感じています。例えば、市内にある仲見世商店街では民泊がオープンしたり、エリアリノベーションを推進するためのクラウドファンディングが立ち上がったりしています。メンバーがこれまで挑戦してきたことや築き上げてきたネットワークが積み上がってきていますね。

「誰かが何かをしてくれる」という受け身な状態ではなく、主体的に生きる一人ひとりの実践がまちをつくる。そんな釜石ローカルベンチャーコミュニティを支える哲学は、立ち上げから2年が経つなかで、少しずつかたちになってきているようです。

地域の新しい経済の種を育てる

釜石ローカルベンチャーコミュニティの具体的なミッションは、地域で様々なチャレンジをする人を増やし、育てること。現在、全国各地で起業家を育成する取り組みが行われていますが、釜石での取り組みは文字通り「コミュニティ」に焦点を当てていることが特徴です。

戸塚さん 「個」の想いを起点にするとはいえ、ひとりで事業を実践するわけではありません。地域で共に活動する方をパートナーとして探しマッチングを行ったり、地域内外の人とつながる場をコーディネートしたりと、様々な活動をしてきました。

ただ現状では、釜石ローカルベンチャーコミュニティのメンバーをはじめ、地域の人々、地域外で釜石に関心を持つ人々、企業や行政など、リソースやスキルを持つ人や組織が集まっているものの、その関係性の質を高め、相互作用によって起きる可能性をまだ生かしきれていないという課題があります。

戸塚さん 正直なところ、私たち事務局スタッフはコミュニティづくりの経験もなく、これまでは「コミュニティマネージャー」という立場の人はいませんでした。それでもつながりは自然発生的にできていたのですが、そうしたつながりを能動的につくっていく人がいれば、さらに面白いイノベーションが地域で起きるのではないかなと考えているんです。

2年間の活動を経て、改めてこの取り組みは地域や人と人との「関係性」から広がっていくものだと思っていて、このタイミングでコミュニティを一緒に深め、さらに広げていく仲間を増やしていきたいと思っています。

では、「コミュニティマネージャー」になった人は具体的にどんな活動を行うことになるのでしょう。「パソナ東北創生」の石倉佳那子さんは次のように語ります。

石倉さん メインの活動としては、「コーディネート」と「広報活動」です。

コーディネートという点では、コミュニティをもっと地域に広げチャレンジの連鎖をつくるために、起業に向けて挑戦しているメンバーと、地域の方や事業者の方をつないでいくイベントの実施や、地域を知る学びの場を企画したり、関係性をデザインしつないでいく役割を担っていただきます。

「広報活動」はSNSやオフラインの場を活用しながら、自分たちの活動を沢山の人に知っていただき、正しく楽しく伝えていくことです。ただ発信するだけでなく地域内外の情報を「受信」してコミュニティ内に伝えていくことも大事だと思います。他にも都内のイベントに参加してくれた方たちとの関係を保ちつづける仕組みづくりを一緒にできたらと考えています。

戸塚さん そういった機会づくりを楽しんで仕掛けられる人だといいですよね。つながりが生まれることを通じて、「こういう化学反応が起きたらおもしろいんじゃないか」みたいなことにワクワクできる人。たとえばみんなに「鍋やらない?」と声をかけて、自然に人と人をつなげられるといいですよね。そういうことが得意な方と一緒に動けるとおもしろそうだなと思います。

コミュニティマネージャーには、企画を考えるプロデューサー的な役割や情報を魅力的に発信する編集者的な役割、人のつながりを生み出すコーディネーター的な役割など、想定される活動は多岐に渡りますが、「特にいま足りていないのは、アンテナをはって情報を受発信する役割を担う人」とのこと。

とはいえ、具体的な業務内容が定められているわけではないので、新しく仲間となる方は得意分野ややりたい事をもとに、戸塚さんや石倉さんと共に戦略を練って実施していくことになります。

釜石で生まれているローカルベンチャーの種

今回コミュニティマネージャーとなる方も、釜石ローカルベンチャーコミュニティのメンバーとして活動することになります。では、他のメンバーはいったいどんな方々なのでしょう。今回は「森林資源の利活用プロジェクト」に取り組む境悠作さんと、商店街で民泊を営む東谷いずみさんにお話を伺いました。

釜石市に移住する前、境さんは東京都に、東谷さんは宮城県石巻市に住んでいました。ふたりが釜石ローカルベンチャーコミュニティを知ったのは、当時住んでいた地域で開催された募集イベントに参加したことがきっかけだったそう。

このイベントで釜石市の現状と地域課題を知り、どちらも自身の抱いていた思いが釜石市の抱えていた社会課題を解決することにつながるのではないかと考えて応募を決意しました。

境さんは2018年10月に、東谷さんは2018年5月に移住し、釜石ローカルベンチャーコミュニティメンバーに着任。その後、境さんはプロダクトデザイナーとして森林資源を活用したものづくりに従事し、東谷さんは仲見世商店街に民泊「あずまや」を構え、活動しています。

境さん 着任前から、「ものをつくって、使って、捨てる」という直線的ではない、エネルギー循環と経済循環が両立するものづくりがしたいと思っていました。

森林組合では森林の管理や間伐材の販売などを行なうだけでなく、建材以外のオリジナル商品開発を以前から積極的に取り組んでいました。ただ地域性を活かしたオリジナリティの高い商品開発のノウハウや釜石産材のブランディング展開でお悩みを聞きまして。そこで自分の抱いていた思いと、プロダクトデザイナーとしての職能を活かして、付加価値を持った製品を循環するものづくりによって実現することで課題を解決できるのではないかと思い、応募したんです。

境さんは現在3つの戦略を立てて、事業を進めています。

境さん ひとつは間伐材を使ったお皿づくり。もうひとつは、釜石市内で木材加工をつくるための拠点づくり。三つ目は釜石市の森林組合への商品提案です。どれも「釜石の建材が地域で愛されるように」というゴールを設定し、そのゴールに向けた仕組みの実現に向けて取り組んでいます。

一方、東谷さんは釜石市の隣町である大槌町で生まれ育ち、「自分の地元の近くでこんな取り組みが行われていることに衝撃を受けました」と話します。

東谷さん わたしが「人と人、地域をつなぐ場づくり」を目指していたのは、私自身が被災していた経験が大きいです。震災が起きてからこれまでたくさんの人と人のつながりに助けられてきたので、今度は私が自分の空間をつくることで、人のつながりが生まれる場を提供したいと思っていました。

そこで考えていたのがゲストハウスをつくること。仲見世商店街で店舗を開くプロジェクトを募集していることを聞いて、「ここでチャレンジしたい」と応募しました。

そのチャレンジは少しずつ実現に向かっています。

東谷さん いまふたつの業務を軸として活動しています。ひとつはゲストハウスの前段階として取り組んでいる民泊事業。もうひとつは仲見世商店街のリノベーションプロジェクト。仲見世商店街でのイベントを企画したり、カフェのオープンに向けたクラウドファンディングにも挑戦しています。ここにこうして場ができ始めていることで、今まで釜石に目を向けなかったであろう人たちが訪れてくれているのかもしれないと思うと嬉しいですね。

仲見世商店街リノベーションプロジェクトのイベントのひとつとして開催された、巨大流しそうめんの様子。(写真提供:釜石ローカルベンチャー事務局)

ふたりとも着任してからの期間は短いものの、これまでの活動が着実に成果としてあらわれ始めています。そうして活動できるのは、コミュニティのサポート体制がしっかり整えられているからこそだと境さんは話します。

境さん 「こんなことをやりたい」と具体的なアクションプランを提示すると、事務局がこれまで築いてきたネットワークを使っていろんな人をつないでくれるんですよね。そうしたプラットフォームとしての機能に価値があるなと感じています。

人と人の関係性をデザインする仕事

ここからは、どのような人がコミュニティマネージャーの活動に向いていると考えているのか、座談会形式でお話いただきました。

参加していただいたのは、先ほどの4人に加えて「パソナ東北創生」の林光人さん城守理佳子さん、コミュニティのメンバーとして地域の特産品である「甲子柿」の「6次産業化プロジェクト」に取り組む松浦朋子さんです。

戸塚さん 結構、その人自身が釜石のコミュニティを主体的に「改革する」っていう意思が必要だと思います。受け身でメンバーの活動をサポートするという気持ちでいるとしんどくなってしまうんじゃないかな。

松浦さん うん、そう思う。きっと私たち起業型メンバーのような若手移住者だったらコミュニケーションは取りやすいだろうけど、それをさらに広げて、地域内外の人と関わりを作っていくためには主体性が重要だと思う。

石倉さんも、「たしかに主体性がある方がこの活動と合っていそう」と続けます。

石倉さん コミュニティマネージャーの方の募集は他のメンバーと違って、「事業をつくる」ということではないけど、主体的に活動することは一緒だと思っています。「こんなコミュニティをつくりたい」「こんな関係性を築いていきたい」と意欲を持って活動できる人がいいですね。

メンバーが企画している観光モニターツアーの様子(写真提供:釜石ローカルベンチャー事務局)

主体性がある方であれば、地域でのコミュニケーションの潤滑油のような役割になることもできそうです。

境さん コミュニティマネージャーになる方が地域の情報を集約して、「◯◯さんこんなことしてるらしいよ」って世間話ベースで、情報を伝えてもらえたら嬉しいですね。そうしたちょっとした関わりから、地域内での活動がつながって新しい事業が生まれていくんじゃないのかな。

戸塚さん メンバーはきっとそれぞれ異なるプロジェクトに取り組んでいるので、孤独感や悩みを抱いていると思うんですよね。それをうまく解消できるように、地域の中で、活動している人たちを応援しようとする雰囲気とか、地域外の人たちが遠隔に関わりを持って、負担を分け合うとか、そういう関係性をコミュニティマネージャーの方とつくっていけたらいいなと想像しています。

自分たちの生き方を、地域とともに作っていく

今回の取材は、仲見世商店街にあるコワーキングスペース・シェアオフィス「co-ba KAMAISHI MARUDAI」で行いました。「co-ba KAMAISHI MARUDAI」は起業型メンバーの方たちがデスクワークをする時や会議を行う際に利用するなど、活動の拠点のひとつとなっているようです。この日もメンバーの方たちが多く集まって、活動について情報交換をしたり、議論しているような場面が見受けられました。

石倉さん メンバーは一人ひとり異なるテーマでプロジェクトに取り組んでいるので、協力者や連携先など仲間が必要。地域で事業を行うので、なおさら一人ではできないことだらけです。

そういった事業を推進していく仲間との出会いを生み出すことや、活動している人たちを応援しようとする地域内の雰囲気づくりとか、地域外の人たちでも遠隔で関わりを持って、一部何かを担うとか、そういう関係性をコミュニティマネージャーの方とつくっていけたらいいなと想像しています。

「自分たちの生き方を自分たちでつくる」人たちが集まって、釜石市で事業を創造するために意見をぶつけ合う。釜石ローカルベンチャーコミュニティの取り組みを通して、地域内外に広げようとしている「チャレンジしようとする空気」は、そんな様子からも伝わってきます。

8年前、震災で大きな被害を受けた釜石市で、今どういった取り組みが生まれているのかイメージのつかない方も多いかもしれません。でも、ぜひ一度このまちを訪れて、「自分たちの生き方を自分たちでつくる」人に触れてみてください。釜石市からそういった取り組みをさらに地域へ、全国へと広めていくことができるのではないか、という希望を持つことができるかもしれません。

そしてもし、コミュニティや関係性のデザインに関わる仕事に興味があるなら、その希望を現実にする活動に、釜石のみなさんと一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。

(Text: 宮本拓海(COKAGESTUDIO))
(Photo: 菅原結衣(COKAGESTUDIO)

(トップ写真の提供:釜石ローカルベンチャー事務局)

オンライン説明会と個別説明会のお知らせ

今回ご紹介した仕事に関心がある方向けに、オンライン説明会と個別説明会を開催しています。エントリーに興味を持った方は、ぜひご参加ください。

オンライン説明会
・日時:2019年4月22日(月) 19:30-22:00
・場所:オンライン

イベントの詳細はこちら

個別説明会
・場所は東京、釜石、オンラインのいずれか。日時はご希望に合わせて調整します。

申し込みはこちら

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