2012年のソーシャル・グッドなカンヌ受賞広告、今回はプロモーション部門「プロモライオン」からご紹介します。いままでは5、6個の事例ずつご紹介していましたが、これからは2、3個にして読みやすくしました。
●Declare
日本のショッピングセンター「ラゾーナ川崎」で実施された施策です。ラゾーナでは東日本大震災の被災地へのチャリティをこれまで実施してきました。ところが3.11から2か月を過ぎると、寄付が集まりにくくなっていました。
そこで設置されたのが、コインでこすると文字が書ける特殊な紙を使ったメッセージボード。メッセージを書いたあとそのお金を寄付する、という仕組みをつくったのです。ただ寄付の箱があるだけでなく、たくさんの人に書かれるメッセージがディスプレイになり、雪だるま式に多くの人がこのアクションに参加。たくさんの寄付を集めることに成功したそうです。
●Hope From Ground Zero
東日本大震災が起こったあと、日本は重苦しい空気に包まれていました。特に東北の人たちは、喪に服する思いが強く、罪悪感から生活を楽しむことをためらいがちでした。そんな東北の人たちを励まし、そして日本に元気を取り戻すために実施されたのが、「東北六魂祭」です。
これは、東北地区の6つの都市の6つの祭を融合させ、東北で最大の祭りをつくる、という取り組みでした。開催地として選ばれたのは、6つの都市で最も大きく、そして震源地にも近い仙台。震源地を希望の地に変えるという決意のもと行われたこの祭りは、たった二日で予想の3倍となる36万人もの人を集めることに成功。その後、日本全国から多くの人が東北を訪れるきっかけとなり、大きな経済効果をもたらし、たくさんの人に勇気を与えました。
●Prank Calls Campaign 065
メキシコシティでは、赤十字の緊急電話番号「065」にかけられる電話のうち10回中、7回がイタズラ電話でした。イタズラ電話への応答で、たくさんのお金と命が犠牲になります。イタズラ電話を減らすために赤十字は、人びとの良心に訴えるある施策を考えました。
メキシコで多くの人が注目するシンボルのひとつに「十字架」があります。死亡事故が起きたところに、どういう人が亡くなったかを記した十字架をつくり、設置したのです。たとえば、こんなメッセージとともに。
ロベルト・ゴメスさんは命を落とした。私たち赤十字がイタズラ電話の対応にかかっている間に。10回のうち7回がイタズラ電話だ。065をもてあそぶな。
この訴えを続けた結果、イタズラ電話は2か月で35%減り、多くの命が救われました。
次回は、プロモライオンの続きをご紹介します。
※これまでに紹介したものと重複するものは省いてあります。
(翻訳協力:畑山真穂)