こんにちは、greenzの小野です。
greenzでは震災直後から震災関連の記事を配信し、また、3月19日には、「わたしたちにできること」として「green drinks for TOHOKU」を開催しました。さらに現在、兄弟サービスであるBlabo!では「Gulliver TAG PROJECT」を実施。できる限りの支援を行っています。しかしながら、やはり1度現地を訪れようということで先日、個人的にもサポートをしているCoffret Projectの向田麻衣さんと、彼女の親戚の家がある宮城県石巻市に伺ってきました。今日はそのレポートをお伝えできればと思います。
今回、現地では、Coffret Projectのメインプロジェクトである化粧品(今回は基礎化粧品を中心に)の配布と、今後、継続的な支援を行っていくためのネットワークづくりを行いました。
4月12日(火)の早朝、化粧品メーカーから寄付された大量の化粧品を車に満載し、都内を出発。平日ということもあってか、東北道は目立った混雑もなく(途中、地震による速度規制や道路の隆起、陥没がありますので、今後、支援などに向かわれる方はご注意ください)、また、懸念していたガソリンスタンドの給油待ちの列や給油制限に遭遇することもなく、5時間ほどで仙台に到着しました。
そこから、1時間ほど車を走らせると石巻に到着します。今回の震災で大きな被害をもたらしたのは地震の揺れではなくやはり津波。それを物語るによう、何事もなかったかのような街並みの先に突然、津波で押し流された車が普通では考えられないような場所に止まっていたり、ボランティアのみなさんの手によって家からかき出された泥や瓦礫が山積みになっていたりという状況。さらに先へ、海沿いへと向かうと、そこには家屋の基礎部分だけが残された瓦礫だけのエリアが目の前に広がります。
向田さん曰く「3週間前に来たときよりだいぶ片付いている」とのことでしたが、大きな漁船が町中に打ち上げられたままだったり、ガソリンスタンドのなかに民家が押し流されたまままだ手がつけられていなかったりと、津波の脅威を計り知るだけに十分な光景があの日のままに残っていました。そんな光景を前にすると、「すごい」も「こわい」も「かわいそう」といったどんな言葉も、いま心の中にある感情を的確にはとらえておらず、ただただ「あぁ」という言葉にもならない言葉をため息混じりに吐くことしかできませんでした。
震災からちょうど1ヶ月を迎えた石巻は、日中の最高気温が10度と、まだまだポケットに手を突っ込みたくなるような肌寒い天気。そんな状況のなか、亡くなった方のこと、被災された方のことを想うと、思わずその手をポケットから出し、背筋をピンと張りたくなる。そんな独特の空気が流れていました。
向田さんの親戚のご自宅は、もっとも被害の大きかった海沿いの港地区から少し内側に入った地区で、それでも家の1階部分には2メートル近く泥がたまっていたとのことでした。現在では、自衛隊やピースボートなどNGOの活躍もあって、車道の脇や歩道にはまだ瓦礫が山積みになっているものの、数日前まで泥に埋め尽くされていたことが分からないほど片付いていました。
基礎化粧品の配布をはじめると、物資の到着を待っていてくださった方が早速、化粧品を手に取り、持って行ってくださいました。公な告知はCoffret ProjectのウェブサイトとTwitterでしか行っていませんでしたが、たくさんの方にいらっしゃっていただくことができ、配りはじめて2時間後にはかなりの部分がはけていました。
この日持って行ったのは、ハンドクリームや化粧水など。水道の復旧していないこの地域では、まだ水を使わない化粧品しか配ることができません。ですが、さいわい石巻ではちょうど基礎化粧品のニーズが出てきたとのことで、とても喜んでいただくことができました。
水仕事などで荒れたみなさんの手と疲れた心を、そっと癒してくれることを祈っています。
今回、物資を配布させていただいた「アンの部屋」、もともとは洋服店で震災後は私設の配給所として機能しています。石巻ではこんな風に自然発生的なコミュニティがいたるところで生まれてきているようで、物資の配布や炊き出しの当番を決めて名簿をつくり、それを小学校の当番表のように壁に貼って、みんながそれぞれできることを持ち寄って生活をしていました。
また、電気が復旧していた向田さんの親戚のご自宅は、地域のみなさんが使える、PCを6台ほど設置したインターネットスペースを設置されていました。(すごい!)
翌日は仙台市内の「つなプロ」の事務所を訪れました。ここは、仙台エリアを中心に避難所のニーズの聞き取り調査と集約を行っていて、企業やNPOなどの支援団体に情報提供を行っています。Coffret Projectも今後、継続的な支援を行うことができるよう、化粧品のニーズヒアリングをしていただくお願いをしてきました。
今回の訪問で一番印象的だったのは、なによりも被災地で生活されている方の笑顔。みなさん、きっと自分の大切なものをなにかしか失っているはずなのに、それを感じさせないぐらいに明るく、そして前を見て、力強く生活されていることに、逆に勇気づけられる思いでした。
最後に、以上はすべて4/12(火)、13(水)に現地を訪れた時点での情報です。被災地の状況は日々刻々と変わっていて、また、地域が少し違うだけで状況がまったく違うことをご理解いただき、それぞれが自分のできるかたちでの支援をしていただければと願っています。
All photos by yanopic.
Coffret Projectの被災地支援