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「大は小を兼ねる」は、もう古い?!「小水力」に秘められた大きな力!

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by AHMED…

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丸紅が小規模水力発電、大手企業で初、5年以内に10ヵ所

この見出しの記事が日本経済新聞の朝刊に掲載されたのは、2009年3月20日のことだ。また、2009年1月21日の日経産業新聞によれば、川崎重工の子会社、カワサキプラントシステムズが小規模水力発電事業への参入を発表した。富士電機グループの中核会社である富士電機システムズや、東芝グループの東芝プラントシステムも、小規模水力発電を手掛けている。

商社やプラント会社、重電メーカーなど、重厚長大なものを取り扱うイメージのある大企業が取り扱う小規模水力発電とは?そして、今このように注目を集めている理由は何か?

小規模水力発電」は、「マイクロ水力発電」や「ミニ水力発電」という言葉でも知られている。

水力発電は大規模なダム建設を伴うのが「常識」とされてきた。そのため、水力発電と聞くと、周辺の自然環境への影響や、土建行政の利権など、何かとネガティブなイメージを多くの人は連想してしまうのではないかと思う。だが、水力は、以下のような特徴を持った優れたエネルギー源なのだ(出典はいずれもこちらのP5、P6)。

  • クリーンエネルギー:発電時にCO2や廃棄物を出さない。
  • 純国産エネルギー
  • 再生可能エネルギー
  • 変換効率の高いエネルギー:水力の電力への変換効率は80~90%程度と、火力発電の40~50%と比べておよそ2倍も高い効率性を誇っている。

このように優れた特徴を有する水力を、大規模なダムを造ることなく活かすのが、「小規模水力発電」が注目されている理由だ。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「マイクロ水力発電ガイドブック」では、水力発電が、出力規模に応じて次のように分類されている(同ガイドブックP13)。

  • 大水力(large hydropower) : 100,000kW 以上
  • 中水力(medium hydropower) : 10,000kW ~ 100,000kW
  • 小水力(smal l hydropower) : 1,000kW ~ 10,000kW
  • ミニ水力(mini hydropower) : 100kW ~ 1,000kW
  • マイクロ水力(micro hydropower) : 100kW以下

また、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネ法)「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)では、出力が1,000kW以下の小規模水力発電を「新エネルギー」の一つとして認定し、導入や利用の促進を図っている。こうした制度のおかげで、太陽光発電と同様に電力会社に電力を販売することも可能になっている。

資源エネルギー庁の調査によると、日本の包蔵水力(エネルギーとして利用可能な水資源のこと)は、開発済み、未開発のものをあわせて4,618万kW、うち未開発のものは1,904万kWとなっている。そのうち、NEDOの定義で言う小水力以下の規模のものを合計すると677万kWの潜在能力が未開発のままであり、原子力発電数基分の潜在力を秘めている(※)。

※該当データは、こちらから「データベース」–>「日本の水力エネルギー量」を辿ったところにある。原子力発電の出力は、1基100万kWが目安とされている。ちなみに、新潟地震以来の発電再開が報じられている新潟県の柏崎刈羽原子力発電所は、7基で821.2万kWと、世界最大の原発だ。

環境省の「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策についての提言では、1,000kW未満の小規模水力発電の出力が、2005年の11万キロワットから2020年には163万キロワット、2030年には302万キロワットへと大幅に増えると見込んでいる(※)。

※データは、こちらから「概要」のリンクを開き、PDFファイルのP32(文書のページでP14)にある。なお、この数字は、資源エネルギー庁の包蔵水力の試算データではなくて、「全国小水力利用推進協議会」という任意団体の調査データに基づいているとのことだ。

インターネットが小型分散コンピューティングで普及したように、エネルギーもこれからは小型分散の時代に突入していくのではないだろうか。

大は小を兼ねる」とばかりに巨大なものを作るのではなく、小さく作って無駄なく活かしていく発想が、21世紀の環境意識にはしっくりくる。その結果、小が大を凌駕するようなことになれば、小気味がいい。これからは、小さな力も結集すれば強くなる、「雨垂れ石を穿つ」時代ですね。