資料提供:建築研究所(国土地理院5mメッシュ、50mメッシュ標高データおよび東京都GISデータを使用)
ヒートアイランド現象により年々、気温が上昇しているといわれる東京23区、確かに暑いという感覚はあるけれど、どこがどのくらい暑いのか、この減少に歯止めをかけるにはどこを冷やせばいいのか、それはよくわからない。埼玉が暑いのは本当に東京の都市部の熱が伝わっているからなのか、そんなことも知りたいところだ。それがひと目でわかるマップがこのたび完成した。
独立行政法人建築研究所が作ったこの「東京ヒートマップ」は2005年7月31日午後2時の東京23区の地上2mの気温状況がひと目で見られる巨大なマップ(たたむとA4サイズ、広げるとA0サイズのミウラ折り)である。画像があまりに大きいのでウェブ上に公開することも難しく、ここでも部分的にしか紹介できないのが残念だが、実物を見ると、街路という街路が35度以上を示す赤に塗られ、しかも北へ行くほどその割合が高まっていくのがわかる。
しかも、南から北へは熱の移動を示す帯がいくつも延び、西部では環状七号線や環状八号線といった南北に走る幹線道路が熱の通り道になっているのがわかる。
中野区付近、中央左を南北に走っているのが環七。
南風によって熱が運ばれる北部では全体がもう真っ赤で、さらに荒川を渡って埼玉県へと運ばれて行っている。
北区と足立区が埼玉県と接する地域、斜めに走る帯は荒川。
この現象は文字通りのアイランドである東京湾の人工島でも同様で、島で発生した熱が海へと流れ出て行っていることもわかる。
江東区新木場付近。
このマップはスーパーコンピュータで東京23区を50億ものグリッドに分け、地形や建物配置、排熱、上空の気象条件をシミュレートして作成された非常に信頼性の高いものだ。それはつまり東京のヒートアイランド現象がのっぴきならない状況になっているということを間違いなく証明してしまったということでもある。
皇居や明治神宮といった緑豊かな土地もそこだけ見れば周囲より気温が低いが、都会が発する膨大な熱の前では無力である。この現象を防ぐには大胆な緑化と熱の通り道をどこかで遮断することが必要なのは間違いがない。
たとえば東西に伸びる中央高速や東名高速といった高速道路を地下化し地上を緑化するとか、都内に水路を張り巡らせるとか、道路の舗装を遮熱性のもの変えるとか… この地図を見ると何をやっても無駄なような気がしてしまうのだが、何もしないよりはしたほうがいい。
この事実の深刻さを広く伝えるためにもこの東京ヒートマップ、簡略化したバージョンなんかがあれば意識喚起にかなり役立つと思うのだが…
どうしても見てみたいという方は独立行政法人建築研究所企画部企画調査課まで直接お問い合わせください。
独立行政法人建築研究所 企画部企画調査課
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