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包む、蒸す、持ち歩く。食べものをおいしくするヒミツは竹林にあり。「竹皮」のつくり方

昔話や時代劇などで、旅人や町人たちが何かに包まれた食べ物を広げる場面を見たことはありませんか?

おにぎりなどを包んでいるあの「竹の皮」、過去のものや特別なものにしてしまうのはもったいない。今でもさまざまな用途に使える、実に素晴らしい素材の竹皮をつくってみましょう。

竹皮とは

タケノコが出回った後、竹は枝葉を伸ばしながらグングンと成長する時期に入り、その時、表面の皮が自然と剥がれ落ちていきます。時期は竹の種類によって少し異なりますが、大まかに梅雨の前後といったところ。また、皮は竹の節ごとになっているため、淡竹(はちく)や孟宗竹(もうそうちく)なら30〜40センチ、真竹(まだけ)なら60センチ前後と長めの竹皮が取れます。

淡竹や孟宗竹は真竹に比べると短めだが、幅広で用途によっては使いやすい。剥がそうとするときれいに取れないため、自然に剥がれかけているのを取るか、すでに落ちている皮を拾う

長さのある真竹の皮だと、食べものを両側からたっぷりと包みやすくお弁当などに便利

びっくりするほど高機能性素材

竹の皮にはフラボノイドという抗菌作用の高い色素成分や、葉緑素、脂肪酸という抗菌性、脱臭性のある成分が含まれていて、食材を守るのにぴったりの素材です。また、蝋質性の物質が含まれていることで撥水性が高く、その反面、余分な水分を防ぐ吸湿性も優れています。

例えばおにぎりを包んだ場合、時間の経過で乾燥しても、その水分を還元しながら湿度を保ち、皮の気孔から適度に風を通して防腐効果も作用するので、しっとりおいしい状態が保ちやすくなるのです。竹皮、ものすごく高機能ですよね。

包むだけじゃない、さまざまな用途

竹皮は包んで持ち運べる以外にも色んな使い方ができます。

水分に強い性質を活かして蒸し器の下敷きにしたり、あるいは、煮物料理の鍋底に敷くと、沸騰の気泡が直接当たらないため魚や野菜の煮崩れを防げます。また料理の盛りつけに竹皮を使えばテーブルに風情を添えることも。お茶菓子の盛り付けなら小さいサイズの竹皮も活かせます。

竹皮のつくり方

まずは前述した適期に、竹林などで竹皮を集めてきます。できればあまり汚れや傷みがないものを選びましょう。丸まっている外側を広げながら、清潔なタワシなどでこすり洗いして、外側の毛羽も落とします。濡れているうちに平らに広げて、軽目の重しなどで広げながら乾燥させれば完成です。

風通しのいいところでしっかりと乾燥させて保存

使い方はいろいろ

使う時は水を張ったボウルなどに30分くらい浸けておきます。柔らかくすることで扱いやすくなりますので、食べものを準備する前に、まずは竹皮を水に浸すことをお忘れなく。

コップなどで抑えながら、少しずつ全体を浸水させる

十分に柔らかくなったら、ふきんなどで表面の水分を拭いて使います。また、食べものを包んだ後に留めるための「ひも」もこの時につくると便利です。つまようじか竹串などを使い、竹皮のサイドを細く切り取ればOK。あとはおにぎりなどを包む、あるいは、蒸し料理などに活かしてみましょう。

ひもは細すぎず太すぎず、結びやすいものをイメージしながら切り出す

竹皮で包む定番と言えばおにぎり。竹皮の内側はまるで蝋引き加工したように滑らかでご飯もくっつかない

お米と具材を味付けして、折りたたんだ竹皮に入れて包み、20〜25分ほど蒸したら「ちまき」の完成

竹のいい香りが食欲を刺激します。見た目以上に簡単につくれるので、少し目線を変えたい気分の時などに。冷めたちまきを加熱したい時は蒸し直すか、竹皮のまま電子レンジでも温められます

こちらは栗蒸しようかん。緩めたこしあんに片栗粉を混ぜて、栗の甘露煮を入れながら竹皮に包んで蒸し器で30分。ポットラックに持って行ったら、カットしてそのまま出すだけで喜ばれます

プラスチックフリーでサステナブル

竹皮は使い終わったら、洗って干して繰り返し使うことができます。最後は小さく切ってコンポストか可燃ゴミかと思いますが、切れたり痛んだりするまで想像以上に丈夫で長持ちします。

鎌倉時代にはもう食品を包むために使われていたと言われている竹皮。一体どんな人が何を包みたくて竹から皮を剥がしてみたのでしょうか。想像すると先人たちに親しみがこみ上げてきます。便利なものに慣れた現代ではひと手間に感じることでもありますが、自然素材を活かした豊かな気持ちになる体験をぜひ試してみてください。