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限界と兆しは感じ取ってる。グローバリゼーションからローカリゼーションへ乗り換えだ! わたしたちの暮らしで促せる変化とは?

greenz playlist」は、読者のみなさまの「毎日見れないから、いいとこどりしたい!」「過去の記事からも、なにか面白いものを見つけ出したい!」という声に応えて、ライフスタイルやテーマに合わせて過去の記事をリスト化していく企画です。

突然ですが、あなたは「グローバリゼーション」という言葉からどんなことを連想しますか?

ヒト・モノ・お金の国境を超えた絶え間ない交流。
多国籍企業の進出。
技術や文化の革新の世界同時多発、同時進行状態。
ヒトや企業の国際競争力がKPIとして重要視された社会。

いろいろと浮かぶことも、人によって多種多様かもしれませんね。わたしたちは技術革新や国際物流による安価な商品の入手など、「グローバリゼーション」によるメリットを数多く享受してきた一方で、企業中心の消費先行型の社会モデルは限界に近づいているという声が多くあがっています。限界として表出しているのが、気候変動や貧富の差の拡大などです。

そんな「グローバリゼーション」から、よりわたしたちの幸せに着眼したモデルへの転換はできないか。世界各地でさまざまな仮説・アイデアが浮かび上がっていますが、そのひとつとして突出しているのが「ローカリゼーション」というムーブメント。地域内で資源とつながりの循環をどう起こしていくか。その解を見つけて、経済をアップデートすることで、住民の幸せを最重要指標に設定した社会へ転換していこうというのです。

このたび、NPO法人グリーンズ・鈴木菜央と、ナマケモノ倶楽部・辻信一さん、NPO法人GEN-Japan・片山弘子さんの3人がホストとなって、ローカリゼーションを考え実践に移すオンラインフォーラム「World Localization Day」の日本開催が決定しました!

世界各都市でも同時に開催されるこのイベントにのぞむべく、「ローカリゼーション」の予習をしておきたいところですね。「World Localization Day」のイベントページには、こうあります。

ローカリゼーションとは、人々のつながりと多様性という土台の上で繁栄する、わたしたちの「新しい物語」です。

共に食べ物を地域で育てて食べる。子どもたちをつながりの中で育てる。一人ひとりと私たちを育んでくれる自然を大切にする。お金が地域でまわり、安定的雇用を生み出し、みんなが誇りに思える地域経済。そのような、人も自然も再生していく(再生的 / Regenerative)暮らしと社会のあり方を模索する世界的なムーブメントです。

とのこと・・・。うーん、分かったような分からないような(笑)

そこで今回は、過去greenz.jpに掲載されてきた記事を読みながら、一緒に「ローカリゼーション」の予習をしましょう。短くまとまった動画、各地で実践する人びとの声、呼びかけ人のヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんと辻信一さんの示唆をまとめました!

2分で分かる、ローカルが生み出す”懐かしくて幸せな未来”


ローカルで行こう!〜地域からはじまる好循環

コミカルなイラストとナレーションで、たった2分の間に「なぜローカリゼーションが幸せな経済・美しい未来を切り開くのか」を理解できます!

世界の商品が気軽に安価で手に入るグローバル経済。
でも僕らが本当にほしいものって?
僕らが幸せになるために本当に必要なものって?

さまざまな問いを投げかけてくれるこのビデオを友だちと観て、会話のネタにしてみてはいかが?

地域通貨をきっかけに、地域経済の重要性に気づいてもらう

元ブリストル市長のジョージ・ファーガソンさん。建築家、環境活動家及び社会実業家としての経歴を経て、市長選に無所属で立候補し選出されたイギリス初の市長です。さまざまなことに取り組んできましたが、その一つとして大きな成果を上げたのが、地域通貨です。地域通貨をうまく使えば、地域経済を守ることができます。日本でも各地で取り組みが行われている地域通貨を、どうすればうまく活用し広めていくことができるのでしょうか。

ファーガソン氏 ブリストルポンド(ブリストルの地域通貨)を始めたのは地域のアクティビストで、その目的は地域の中での買い物を促進するためでした。私はその主旨に賛同して、市長選挙の際に、給与を100%ブリストルポンドでもらうことを公約にしました。

そして市長になって、地方税をブリストルポンドで収められるようにしました。それから、電気やガス料金も払えるようにして、地域のバス会社や鉄道会社を説得して、ブリストルポンドを受け取るようにさせて、食料品店やレストラン、マーケットなどでも使えるようにしました。大きかったのは税金と地元のエネルギー会社で使えるようになったことでした。

重要なのは、お金の使い方が重要だというシグナルを市民に出すこと。お金はブリストルの中で循環させる。この重要性をわかってもらうことなんです。(⇒続きは、こちら

あなた自身が買い支えれば、気づけることがある

フランクリン・ヴァカさんは、エクアドルの小さな農村でフェアトレード珈琲を生産しながら、持続可能な農村を目指し小水力発電プロジェクトや水質保全活動などを実践するプロジェクトリーダーです。自然を壊して得る発展ではなく、経済や消費のその先をいく発展を。そんな持続可能な社会を目指す小さな物語を、インタグ地方の素敵な風景とともにゆっくりと感じてみてください。

ヴァカ氏 今、まさにローカリゼーションの時代だと思っています。自分たちの暮らし、未来に残すべきものは自分たちのコミュニティで守る。私たちはグローバルな発展、いわゆる経済的な発展とは違う方向へ発展していると信じています。

(大切なのは)消費主義から離れてみることです。消費を減らす。買う必要があるのであれば、オルタナティブ、責任を持ってつくっている企業の製品を選ぶこと。大企業、多国籍企業といった「グローバル」の支配から脱することが重要です。

自分がほしいものを考えたときに「この人がつくっているから」「こういう気持ちでつくってるから」、そんな視点で選んでいくと、自ずとつながりの中での消費活動になりますよね。それは、顔が見えている関係だったり、お金ではなくて地域通過や物々交換みたいなものにもなっていくかもしれません。小さなつながりの中で、あなた自身が買い支えることは、あなたも生産者の一部であることに気づくことができるはずです。(⇒続きは、こちら

地域内でお金をいかに循環させるか。漏れ穴をふさごう!

「持続可能な地域社会総合研究所」の藤山浩さんの話をもとに、地域経済の取り戻しを進めている北海道の下川町の事例をご紹介します。これまで地域活性といえば、企業誘致や観光・産業など、“外から稼ぐ”ばかりに注力され、「域内に入ったお金がどう使われるか」には、ほとんど着目されてきませんでした。藤山さんの研究所では、地域外から稼いできたお金がどれくらい、どんな分野で外へ流出してしまっているか? を調査しています。

藤山さん 観光や物品販売などでお金を稼いでも、すぐに地域から出て行ってしまったら、漏れバケツに懸命に水を注いでいるようなもので、地域はいっこうに豊かになりません。大切なのはそのお金を域内でいかに循環させて経済活動を生むか。そのためには、まず漏れ穴を知って、ふさぐことです。

小さな地域単位で経済循環をつくり直してお金のめぐりをよくすること。その一つ一つを生態系のようにつなげていくことが、もう一度足腰の強い経済をつくるための方法だと思います。(⇒続きは、こちら

ローカリゼーションに移行する5つのキーポイントとは

都市集中の時代から、ローカルの時代へ。ローカルの重要性を以前から訴え、ローカリゼーションのオピニオンリーダーの1人ともなっているのが、ドキュメンタリー映画『幸せの経済学』監督であり、『ラダック 懐かしい未来』の著者でもある、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん。「World Localization Day」を世界各地で開催するよう呼びかけている発起人です。

ヘレナさん ローカリゼーションのプロセスとは、生産者と消費者の距離、そして生産者と資源の距離、全体として原料調達から消費までの距離を縮めることです。

第二次大戦以降のグローバル経済は、ローカルレベルで衣食住という基本的な要求を満たすことができないような仕組みにまで私たちを追い込んできました。それから脱却するために必要なのがローカリゼーションなのです。

キーポイントは5つあります。1つはつながりを持つこと。自分の身近なところ、職場でもいいしご近所さんでもいいし、そこで同じような考えを持つ仲間を持つこと。

2つ目は、教育。自分自身が学ぶことでもあるし、他者に対して学ぶ機会を提供することでもあるんですけど、できる限り多くの人が全体像を把握できるような学びの場をつくる必要があります。数多くのポジティブな活動が世界中で展開されていることに目を向け、それらの活動について学ぶことを忘れてはいけません。

そして、実際にアクションする場合には、2つのことを認識しないといけません。これが3つ目と4つ目で、1つは「抵抗すること(Resist)」、もう1つは「新たに生み出すこと(Renew)」です。もちろん抵抗するのはさらなるグローバル化に対してで、何を新たに生み出すかと言えばコミュニティでありローカル経済です。

5つ目はお祝いをすること(Celebrate)。 生きていること、命というものについて祝う気持ちを忘れてはいけません。 この命に対する祝福の気持ちを持つことは1つ目のつながりを持つことにも関係するのですが、関係をつくるというのは人間同士の関係だけでなくて、人間以外の動物や自然というものとのつながりも含むのです。(⇒続きは、こちら

小さなローカルの集合体こそ、本当のグローバリゼーション

文化人類学者で環境活動家、スローライフや生き方についての著書も数多く著している辻信一さん。今回の「ローカリゼーションデイ日本」をホストするひとりです。都市で長く生活している人たちの多くは、地域に根ざすための根っこをグローバリゼーションに切られてしまい、どこに根っこを張ればいいのかわからなくなってしまっています。そういう感覚を持つ人たちは、いったい何を始めたらいいのか聞きました。

辻さん グローバリゼーションが終焉する兆しが、今あちこちに見え始めています。そんな中なので、「せっかくこの世に生まれてきたのに、この生き方しかないのか」と思う人は当然増えると思うんです。

そうして、自分の一生をどう生きようかと考えた時に、農的な暮らしに向かう人が増えている。それは、自分の時間を売るのとは違う生き方が、農林水産にはまだ息づいているからです。

先進国、特に欧米の人たちはそのような生き方のことをすでに忘れてしまっていて、だからヒッピーの運動などによって意識の中に取り戻していくっていう葛藤を何十年かけてやってきた。それが、今ようやく違う次元に飛び立とうとしてる、僕はそう感じてるんです。

ローカルにいると、どうしても孤独感を味わされるんですよ。田舎でも都会の片隅でも、誰も注目してくれないからやってもしょうがないと思ってしまう。

でも、その人たちがつながることがじつは世界史的にとても重要なことで、それでいいんだっていう意識を持ってもらえる。全世界を見たらすごい勢いでローカリゼーションが進んでいることに気づいてもらいたい。ありとあらゆる場所の小さなローカルが世界中で意識としてつながる、兄弟の意識、連帯の意識を持ってつながる。僕はこれが本当のグローバリゼーションだと思っているんです。(⇒続きは、こちら

(プレイリストここまで)

 
無数のローカルがたくさんつながっていく、色彩豊かで多様性あふれる世界への転換。「ローカルに行こう!」という考え方をひとつ持つことで、わたしたちの暮らしがどうやら楽しく美しいものになりそうだと感じた方はいらっしゃるかもしれませんね。

とはいえ、ひと通り「ローカリゼーション」について知ったところで、もっとこの考えに共鳴している人びととつながってみたい。何が自分にできるのか探る時間がほしい。そんな声も聞こえてくるように思います。

グリーンズでは「ローカリゼーションデイ日本」の開催を記念して、そんな声を辻信一さん・鈴木菜央にぶつける記事を準備中です。それらも読んでいただきつつ、ぜひ6月12日(土)の祭典にお越しください。グローバリゼーションからローカリゼーションへ。「新しい物語」の始まる瞬間に立ち会いませんか?

(Text / Curator: スズキコウタ+「ローカリゼーションデイ日本」実行委員会)

– INFORMATION –

「ローカリゼーションデイ日本(World Localization Day)」

日時:2021年6月12日(土) 10:00〜20:00
会場:オンライン(Zoom)
参加費:無料
ホスト:辻信一(ナマケモノ倶楽部)、鈴木菜央(NPO法人グリーンズ)、片山弘子(NPO法人GEN-Japan)
ゲスト:たいら由以子(ローカルフードサイクリング)、古村伸宏(ワーカーズコープ連合会)、平野馨生里(石徹白洋品店)、小野寺愛(そっか)、山口愛(イマジン盆踊り部)、その他多数!
申し込み:https://peraichi.com/landing_pages/view/localizationdayjapan