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「本の読める店」という新しい業態をゼロからつくった「fuzkue」の阿久津隆さん。本屋「B&B」内沼晋太郎さんとの対話から見えてきた、体験から生まれる価値のつくりかた

最近、ゆっくりと読書する時間を過ごせていますか?

この問いに「どきっ」としたあなたは、「fuzkue(フヅクエ)」に行くことをおすすめします。
fuzkueは本を読みたいと思う人のためにつくられた特別な場所だから。

2014年、東京・初台に店舗をオープンしてから本好きを虜にし続けて6年。店主の阿久津隆さんが次の店舗を出す場所として選んだのが、2020年4月に誕生した下北沢のBONUS TRACKでした。

今回は、このBONUS TRACKを運営する散歩社の共同代表であるグリーンズのビジネスアドバイザー・小野裕之と本屋B&B/numabooksの内沼晋太郎さんとの鼎談です。内沼さんは、阿久津さんの著書である『読書の日記』と『読書の日記 本づくり/スープとパン/重力の虹』(どちらもNUMABOOKS)の編集も担当しています。

「本」を中心に3人の話題は経営、新型コロナウイルス感染症、BONUS TRACKの未来についてとどんどん広がっていきました。

試行錯誤の末に導き出した料金設定と「or more」

小野 まずは、fuzkueを知らない方のためにどのようなお店なのか教えてください。

阿久津さん fuzkueはゆっくり本と向き合いたい方に向けた本を読むための店です。そのことを僕は「本の読める店」と表現しています。2014年10月に東京・初台でオープンし、今年の4月に2号店をBONUS TRACK内にオープンしました。約束された静けさのなかで、誰にも気兼ねすることなくゆっくりと読書をしてもらえる時間と空間を提供しています。

fuzkue2号店

内沼さん コーヒーやフードもあるけれどfuzkueはカフェではなく「本の読める店」。その前提を保つためにお客さんにはfuzkueについての説明や過ごし方の決まりごとが書かれた案内をまず読んでもらうんですよね。

阿久津さん メニューと一緒に読んでもらうようにしています。バージョンにもよりますが、だいだい45ページくらいありますね。

「お連れさんどうしの会話は厳密にご遠慮いただいております」「パソコンはほとんど使えません」といったご協力をお願いしたいこととその理由が書いてあります。これまでに何度もアップデートを繰り返して現在のかたちに落ち着きました。2号店では、内容を精査して一枚の紙にまとめたものをQ&Aチラシにして店の外に置いています。

読み応えのある案内書きとメニューは、ついに一冊の本に。店で販売している。

内沼さん この案内書き以外に、阿久津さんはお客さんからいただく料金の設定を何度か変えていますよね。

阿久津さん そうなんです。オープンしたばかりの頃は、店内にもメニューにも一切値段を載せていませんでした。つまり、完全にお客さんの「言い値」だったんです。

fuzkueでは、お客さんに「本を読む時間」を提供していると思っています。だからその時間に対して自分で値付けしてもらう形にしました。たとえば同じ2時間でも人によって時間の値段が変わるんだろうなあって。

内沼さん 言い値とはいっても当然お店を運営していくために、阿久津さんのなかでこのくらいはほしいという金額があるんですよね。それで実際に伝票集計して平均したら、期待値に近い金額なっていた。その話を聞いたときにおもしろいなと思いました。

阿久津さん そうでしたね。客単価で見るとやっぱり足りなかったのですが、コーヒーだったら700円、フードだったら1,000円という心中密かに設定していた基準価格と同じくらいのお金をお支払いいただいていました。

内沼さん 言い値なのに不思議ですよね。でも阿久津さんはそのあと、お客さんに心的負担があるんじゃないかと感じて言い値制を辞めたんですよね。

阿久津さん たとえば、店として2,000円くらいだなと思っていたオーダーに対して3,000円を払ってくれた人がいたとします。そのときに3,000円払ってくれたお客さんが、あの金額で果たしてよかったのかなって、あとでモヤモヤを抱えてしまうかもしれない。そのことに気がついて続けちゃいけないなと思いました。

小野 そのあとはどうしたんですか?

阿久津さん メニューに値段を付けて、その値段と過ごした時間に対してもっと払いたいと思う分をお支払いいただく形にしました。この「お客さんが追加して払いたいと思う金額」のことを「or more(オアモア)」と呼んでいます。

ただそれも中途半端に感じたので、そのあとにさらに1,000円を最低限いただくお金として設定する形を採用し、最終的には現在の変則的な席料制に落ち着きました。

現在の料金の一例。何をオーダーしても、2,000円前後になるように設定されている。

阿久津さん これはオーダーや滞在時間によって席料が変わっていく仕組みになっています。ドリンク1杯のオーダーでは900円の席料が2杯だと300円になったり、滞在が4時間を越えると席料が追加されたりするものです。「or more」についてはいまも続けていますよ。

体験した価値に対するスマートなお金の払い方

小野 お客さんが望めば支払える「or more」を実際に支払っている方はどのくらいいますか?

阿久津さん 全体の数パーセントの割合でいらっしゃいます。「or more」のことを以前から公表していたこともあり、とくにBONUS TRACKに2号店がオープンしたばかりのときはご祝儀的にいただくことが多かったですね。

お金を払う行為って気持ちがいいことだと思うんです。だからお金を払いたくなったら払える仕組みを促すことができれば喜んでくれる人って結構いるんじゃないかなと感じています。fuzkueの実店舗やオンライン上はもちろん、そういった環境はこれからも用意していきたいなと思っていますね。

小野 海外だとチップがあるけど、なかなかいまの日本にはないですよね。値段が設定されたものに対してただお金を払うのと、設定金額より上回った体験をしたからさらに払う行為は、同じ「お金を払う」ものなのに感覚はかなり違ってきます。逆もまたしかりですが。阿久津さんが値段の付け方や支払うことに対して、こだわるようになったきっかけは何かあるのでしょうか。

阿久津さん fuzkueをつくる前、ゆっくりと本を読む場所がこの世にあまり存在しないなと感じていました。だから喫茶店やカフェに行って本を読んでいたのですが、すごくいい時間だったな、と思っても、注文したものへの値段しか払えないことにもどかしさを感じたことがあったんです。

頼んだのはコーヒー1杯だけだけど、もっと払えたらいいのになと。もっと払うための方法がもう1杯コーヒーを飲むしかないというのはよくよく考えたら不自然なことだよなと思いました。コーヒーを2杯飲みたいわけではないですから。

内沼さん ようはコーヒー1杯で3時間いることもできてしまうわけですよね。それって、コーヒーというモノの値段でしかない。

実際に過ごしている時間と体験に対して、たとえば2,000円の価値があると思ったから払いたいけどそのままお店の人に払うわけにもいかない……これまでの形だと払う側も受け取る側も困ってしまう。だけどメニューに「or more」と書いてあれば払いやすくなりますよね。みんなやればいいのに。

阿久津さん そうなんです。好きな作家がいて、好きなアーティストがいるけれど、本やCDといったモノを買うことでしかその人に還元できない。そのことに対するじれったさは感じていましたね。モノではなく、応援したい気持ちや受け取った喜びに対してお金を払える方法がもっとあるといいのにとずっと心のなかで思っていました。

小野 「or more」のような習慣をBONUS TRACKとしても、もっと積極的に発信していきたいですね。感謝の気持ちの行き交いを個人商店全体で、さらには下北沢の地域に広げていけたら。

阿久津さん それはすごくいいですね。

阿久津さんはゼロから業態をつくった

小野 阿久津さんと内沼さんは、だいぶ長い付き合いですよね。そもそもふたりはどこで出会ったのですか?

阿久津さん 横浜の「BUKATSUDO」で内沼さんが講師をしている「これからの本屋講座」です。ちょうど初台のfuzkueをつくっている時期で1期生として受講しました。

その前年くらいに内沼さんの著書である『本の逆襲』(朝日出版社)を読んで、すごく感銘を受けました。本についてこんなに風通しよく、明るく書いてくれる人はいなかったなって。そのころの僕は内沼さんのことをほとんど知らなかったんですが、この人おもしろいなと思っていたところに講座があることがわかった。

内沼さん 出会ってから話したり、一緒に本をつくったりしていくなかでだんだん阿久津さんがしたいことがわかってきたんですよね。たとえば、阿久津さんはfuzkueについて「本の読める店」と表現していますが、最初はもっと長い言葉でしたよね。

阿久津さん 「本の読める店」となったのは2年目からですね。最初は「ひとりの時間をゆっくり過ごしてもらうための店」と言っていました。

内沼さん そこから「本の読める店」になって金額設定もどんどん洗練されていく、そういう過程は間近で見ていておもしろかったですね。

阿久津さんもよく言っているんですけど、映画館に行くときってある種のぜいたくな2時間の体験をするぞ、と思っていくわけです。でも本の場合は、いまから本を読むぞと思ってもどこも、誰も、約束はしてくれない。

そのいままでになかった約束してくれる場所をつくったのが阿久津さんなんです。つまりゼロから業態を立ち上げた人なんですよね。それだけで100パーセントリスペクトしています。本は「読むこと」が一番中心にあるできごとのはずなのに、それについて真剣にやっている人ってあんまりいなかったわけです。

ちなみに、いま僕が話したことはすべて阿久津さんの著書(※)に書かれていますよ。

(※)阿久津さんの最新著書『本の読める場所を求めて』(朝日出版社)のこと。

小野 阿久津さんは「本屋B&B」をどんなふうに見ていますか?

阿久津 いい本屋さんですよね。納得の行く売り場をつくることをあきらめないための仕組みを真面目につくろうとし続けている。感染症の影響でB&Bで予定していたイベントがすべてオンラインに移行することになったときも、そこでどうやって本を届けていくのか真剣に向き合っているように見えました。

内沼さん 本だけを売り続けて経営を成り立たせるのはかなり難しいので、本の周辺にあることで収益を上げながらいかに本を売ることを成り立たせるか、ということを考えています。

それに本だけを売ってやっていこうとすると、どうしても「売れる本」を売りたくなります。経営を成り立たせるためには、自分たちが売りたいと思えるものではない本も扱わなければいけないかもしれない。それでも成り立たないのがいまの出版業界なんです。

僕らは、自分たちが売りたい本だけを扱いたいからこそ、イベントをはじめほかのことでも利益を上げて、トータルで成り立つ形でやっています。イベントの内容にしても本の連動性というか、中身がちゃんとつながっていることを意識してつくっています。

fuzkueの2号店をBONUS TRACKで開いた理由

小野 阿久津さんがfuzkueを開業したとき、当然最初はお店に立ちすべて自分で完結していたと思うのですが、初台のお店も軌道に乗って2号店ができて……となると人を増やしてチームをつくっていかなければならないですよね。

阿久津さん 初台で開業して2,3年目から僕とスタッフが1人の状態ができはじめ、辞めたり入ったりしながらも、1店舗だけだったら2人でやっていけるなと思っていました。でも、一昨年の暮れ頃にBONUS TRACKの話が出てきたので、2019年4月に求人を始めました。長期にわたって採用を行い、いまはアルバイトスタッフが5人と僕の6人で2店舗をぐるぐるまわしています。

小野 採用で来た人が職場としてのfuzkueに合うかどうかは何を基準に判断していますか?

阿久津さん 最初のエントリーフォームですごく絞られますね。その時点でちゃんとラブレターを書けているかを見ています。読む相手のことを想像できている人はいいなと思いますね。あとは、普通に話ができる人。しゃべり方って結構大事かもしれません。会った瞬間に決まっちゃうことが多いです。緊張している中でも素の感じが垣間見えるような、自然体に振る舞える人でしょうか。接客にも同じものを求めています。

小野 僕たちもいま採用を行っているのでわかります。その人にフィットしていないのに、こちらにあわせてがんばってしゃべっている感じは最初から伝わってくる。面接でもお互い自然に会話が成立するかどうかは大事ですよね。

さきほど2019年4月、つまり開業の1年前に募集をはじめたとおしゃっていましたが、14区画あるBONUS TRACKのなかでもかなり早い段階での求人です。最初は内沼さんから声をかけたのですか?

内沼さん 僕から声をかけたというか、そのとき本をつくっていて打ち合わせでよく会っていたこともあり、BONUS TRACKの話とB&Bがそこに入るかもという話をしたんだと思います。

僕は、阿久津さんがここに入ってくれたらおもしろいなと思う気持ちと、fuzkueは静かな場所だからBONUS TRACKで店を開いて大丈夫かなという不安の両方があったので、「ぜひ」ではなく「どうですか」と、様子を見ていた感じでしたね。

阿久津さん そのころちょうど2店舗目のことを考えはじめていたんです。さらに書店の近くで、ある種寄生するような形でfuzkueをやったらどうなるんだろうなとも考えていて。たとえばB&Bの近くだったら、とか妄想していました。内沼さんから聞いたのがまさにその話だったわけです。その日のうちにやりたいと思いました。

内沼さん たしかに初台の近辺に大きな本屋はないですよね。

阿久津さん 本を読みたい気持ちの最高潮は、本屋さんで本を買うときじゃないですか。その気持ちに直結する場所があったら、本を読む人にとってもおもしろい体験になるんじゃないかなって。僕自身、その光景を見てみたいと思いました。

それに加えてBONUS TRACKのような人があふれる地域にある商業施設に入ることにも興味がありました。それって初台のfuzkueとはまったく異なるもので、もっと言うと避けていた環境なんです。路面店ではなく、2階以上の場所で目立たないようにやるぞと思って始めたので。

2014年10月、初台にオープンしたfuzkue1号店。雑居ビルの2階にあり、広い窓に面したカウンターのうしろに一人掛けのソファ席が並ぶ。

阿久津さん でもだからこそ、BONUS TRACKの環境でやってみたくなりました。この場所でやったらどんなことが起きて、どんなふうに乗り越えていくのか。これからいろいろなまちでつくることができたらと思っているfuzkueを鍛えるためにはうってつけの環境で、これはやらない理由はないと思いました。

B&BはBONUS TRACKの集客源になる予定だった

内沼さん 阿久津さんがBONUS TRACKに2号店を出すと言ってくれて僕も楽しくなりました。でも感染症の影響が大きくて……。

BONUS TRACKにB&Bが移転する前の話になりますが、2020年2月にほぼ毎日開催していたイベントを、すべてオンラインに切り替える決断をしました。すでに出演者は決まっていたので、みなさんに状況を説明してオンラインでやりたい旨を伝えたのですがお断りされることも多くて。そのときは結局予定していた3割くらいしか開催できませんでした。

そのときは本当に苦しかったですね。そしてその状況のまま、BONUS TRACKに移転という。

B&Bの店内

小野 もともとB&Bの移転自体は以前から決まっていたんですよね。その場所をBONUS TRACKにした理由には、もちろん散歩社として関わっている点も少なからずあると思うのですがそれとは別で抱いていた思いや狙いはあったのですか。

内沼さん いくつか理由はあるのですが、僕はこれまで本屋とまちに関心を持ってずっとプロジェクトを興したり、活動をしてきたりしたのですが、実際にまちに関わることがあまりなかったんですよね。

BONUS TRACKは商業施設ではなく商店街だと思っていて、大げさかもしれないけどまちの文化みたいなものを育てていきたい。本屋と一緒にそれが起こる場所をつくっていきたいと思い、本屋とエリア全体のことをやっていこうと決めました。

B&Bは、BONUS TRACKの集客源になる予定だったんですよね。毎日イベントを開いて50人〜100人くらいが毎晩集まる場所だったので、そこに来るお客さんは飲食をしたり、それこそfuzkueにも行くだろうと思っていました。でも、イベントはオンライン開催になり、お客さんを入れられなくなってしまった。

移転オープン直後の4〜6月は休業もしてかなり苦しかったし、集客源になんてまったくなれませんでした。7月、8月になって少しずつ営業を再開し、やっと本を買うお客さんが来てくれるようにもなりました。でもまだまだ施設全体に効果を生み出すまでにはなれていないなと感じています。

10月くらいからオンラインイベントを月40本は開催できるようになってきたので、ここからお客さんを一定数入れるイベントを少しずつ増やしていけるように取り組んでいるところです。

本を買って、読む。この体験を多くの人に届けるために。

小野 夏までは僕自身も含めてみんなバタバタしてましたよね。阿久津さんはどうでしたか。店舗が増えて感染症の対応もしなくちゃいけなかったと思うのですが。

阿久津さん 2店舗とも4月はまるまる休んで、5月の途中から予約制にして、6月から開ける日を増やしました。7月からは通常営業でしたね……その頃について正直なことをいうと、あんまり状況を直視しないようにしていて(笑) 「ブックストア・エイド基金」(※)の立ち上げをしたり、ちょうど新著の出版が決まっていたので執筆をしたりして、わりと長々とのんきに構えていました。

4,5月もスタッフの給料は例月どおりに払っていましたね。それでもうちは固定費が低いので悠々としていられた部分は大きいと思います。

うちがきつくなるのは、みんなと時間差でなのかなとちょっと思っていて、それがいま来ているかも。下北沢は初台よりも人が多いし、本が出るタイミングも重なっていたから知名度も上がるだろうし、2号店に人が来ないことはないだろうなと思っていたんですけど、全然来なくて!(笑)

(※)新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言のあと、全国の書店・古書店を支援するために阿久津さんを中心とした有志によって立ち上がったプロジェクト

内沼さん 仕方がないことなのですが、やはりB&Bのイベントにリアルで人が入れられていないことは、影響しているだろうなとは思います。それと、fuzkueとのつなぎ合わせがうまくできていないことも気にかかっています。

B&Bで本を買って、fuzkueで読む人がもっといると思っていたのですが、阿久津さんから話を聞くと、いまのところそんなにいない。fuzukueのチラシは置いているものの、もうちょっと踏み込んだアクションをしてもいいのかもしれないと思っています。

阿久津さん 本を買って、本を読む。その一連の流れを体験してもらうことがfuzkueの最大の使命なんじゃないかと思っているのですが、どうすればいいんだろう。

小野 B&Bで買った本をfuzkueで読めるとその場で知っても、お客さんは書店で過ごす時間しか確保していないかもしれない。数時間かかることを承知のうえで映画館に行くように、BONUS TRACKはたっぷり時間の余裕を持って行く場所という感覚を広げていきたいですね。

明るいうちにここに来て、まずB&Bで本をゆっくり選ぶ。そのあとfuzkueでどっぷり本の世界に浸り、あたりが暗くなってきたら晩ご飯を食べて帰る。そんな過ごし方をもっと多くの方にしてもらいたいですよね。

内沼さん いいですね。B&Bに登壇者として著者を迎えるイベントがあるときに、昼から来る人は著者の本をB&Bで買い、fuzkueに行って読んで、その夜のイベントで著者に会えるような丸一日コースの提案もできそうです。お金はもちろんかかるけど、本に埋もれるすごく贅沢な1日。事前に阿久津さんと情報を持ち寄って、うまく設計していきましょう。この記事が公開されるころには実現していたいですね(笑)

阿久津さん ぜひ、よろしくお願いします。お客さんにとっても、うれしいことだと思うんです。一緒にやっていきましょう。

(鼎談ここまで)

fuzkueとB&BとBONUS TRACKと。それぞれの強みや役割をいかしあうことで新たな価値やサービスが生まれる可能性を感じた今回の鼎談。

BONUS TRACKのような個人商店が集まる場所は、ほかの巨大な商業施設と比べて横の連携が取りやすく、新しい試みへのハードルも低いのが強みです。もし目論見が外れたとしても、そこからまたやり直せばいいだけの話です。阿久津さんがお店を少しずつアップデートしていったように。

個々でやるべきことをしっかりやりながら、ときには手を取り合う。お店同士のつながりがあちこちで生まれて、それがエリア全体の価値になっていくBONUS TRACKの未来を感じました。

ぜひ、B&Bとfuzkueが提案する「本を買って、読む」の1日をBONUS TRACKで過ごしてみてください。

(撮影: 霜田直人)

[sponsored by 散歩社]