『生きる、を耕す本』が完成!greenz peopleになるとプレゼント→

greenz people ロゴ

あなたの服が循環し資産に生まれ変わる? 服も喜び、懐も温め、地球にも優しい「Wardrobe」の仕組みとは。

出会った時はキュンとして一緒に歩く姿をあんなに嬉しそうに鏡に映したはずなのに。
「もうどうしてもあなたがほしい! だって私、あなたに恋をしちゃったんですもの!」と。

そうして半ば強引に財布の口を開き、家まで連れて帰ってきたけれど、クローゼットでずっと出番を待つだけになってしまっている洋服はありませんか?

緊急事態宣言が発令された頃に、大掃除に取り組んだ方も多かったようですが、自宅の片付け中、切ない顔をした洋服に再会したあなたにおすすめしたい取り組みをご紹介します。その名は「Wardrobe(ワードローブ)」です。

(※)ワードローブとは、衣服を収納しておくための大型家具を意味する英語表現。いわゆる洋服ダンスのこと。転じて、個人の手持ちの衣類すべて、あるいは、芝居などで着用する衣装すべての総称。(welbio辞書より)

「Wardrobe」は、あなたと同じように、着る機会をなくしてしまった洋服に心を痛めた、ニューヨークの起業家Adarsh Alphons(アダーシュ・アルフォンス)さんが考案。人びとのクローゼットに眠った洋服を利活用した、”いかしあうつながり”を体現する仕組みです。

2015年、世界最大の慈善家50人に選ばれたこともあるアダーシュさんは、自身のクローゼットの中で2年間全く出番がないにもかかわらず「いつでも準備はできてます」とばかりにスッと完璧な状態で待つジャケットたちをみて愕然としたそう。

彼が調べたところによると、世界では15年間で人口は2割しか増えていないのに約2倍の衣服がつくられ、なおかつ毎年4000億ドル相当の衣類が無駄に捨てられているといいます。衣類の生産には環境への負荷もあり、たとえばジーンズ一本で、車を130キロ運転するのと同じ二酸化炭素が排出されてしまうのだそう。

そして、それよりももっと多くの衣類が使われることなくクローゼットでおやすみ中です。アダーシュさんはいいます。「女性は平均的に、年に一度も使わないアイテムをクローゼットの中に57点ほど持っています」と。むむむ、胸が痛い。

活用されていない洋服をみんなで共有する仕組みをつくれば、地球に優しいし、出費もおさえられる。アダーシュさんは、Airbnbに似たファッションのプラットフォームをつくることにしました。

仕組みはこうです。

借り手は友だちの結婚式やクリスマスパーティなど特別な日に「Wardrobe」のアプリを開き、気に入った服と靴とバックをポチり。綺麗にクリーニングされたアイテムが届き、それを身につけてセレブリティになったような気分でパーティに参加。役目を終えた洋服は、そのまま袋にいれて返却するだけ。

貸し手はクローゼットでおやすみ中のアイテムを選び(定価250ドル以上の価値が必要)「Wardrobe」に発送。するとサイト上に自分自身のワードローブができあがる。あとは借りられる度にレンタル料の70%が収入として振り込まれます。120日ごとの更新で入れ替えが可能で、自分で使いたい時は借り手と同じくアプリでポチり。もちろんレンタル料は不要、送料とクリー二ング代を支払うだけでOKです。

「Wardrobe」は、貸し手から届いた衣類を提携しているドライクリーニング店を拠点に管理しています。クリーニング店が洋服を清潔に保って保管し、借り手が現れたら発送し、戻ってくるたびにクリーニングして、次の出番に備えます。

以前にも「Wardrobe」のように、洋服の貸し借りを仲介するサービスはありましたが、借り手と貸し手が直接つながる仕組みだっため、タイミングの調整が難しかったり、適切にクリーニングされているかどうかもわからなかったため、なかなか広まらなかったといいます。そんな課題をアダーシュさんはクリーニング店をハブにすることで解決しました。

今のところ、貸し手は平均で8,000ドル分以上のアイテムを貸し出し、そのいくつかから数千ドルを稼いでいるとのこと。近い将来、その各自のワードローブの権利の売買もできるような仕組みも考えているのだそう。

クローゼットに収められたあなたのセンスが賃貸住宅のように資産となり、キャッシュフローを生んだり、それを売買することでキャピタルゲインを生むような仕組みになるかもしれないのです! なんて画期的!

そして、借り手は所有の必要がなく、高級なアイテムで素敵な気分を味わえ、かつ財布に優しい。貸し手はクローゼットに眠っている一度は愛したアイテムに出番をつくることで罪悪感も減り、かつ経済的にも潤います。提携するクリーニング店では売り上げが増え雇用も生まれ、かつ、あるものを活かすことで環境負荷がへり、地球に優しくゴミも減る。

一石何鳥になるかわからないほど関わるすべての人が喜ぶこの仕組み、まさにグリーンズが提唱するいかしあうつながりモデルの一つなのではないでしょうか? 今はまだ高級なアイテムのみですが、クローゼットに眠っているあらゆる物がいかした資産になる日も近いかもしれません!

(Text: ALI-KA)

[via fastcompany.com]

– NEXT ACTION –

あなたの部屋に眠っている物との「いかしあうつながり」を考えてみませんか? 誰かに貸す、プレゼントする、リメイクする。