一人ひとりの暮らしから社会を変える仲間「greenz people」募集中!→

greenz people ロゴ

サーキュラーエコノミーとは新たな経済回復と感染症対策だ。EUの宣言から、望む世界の方向性を考える

近年見聞きすることが増えた「サーキュラーエコノミー」とは、「サーキュラー」=「循環」する経済、のこと。

これまでは捨てられていたものを「資源」として社会の中で循環させるために、設計やデザインから製品づくりを見直すことや、従来のサプライチェーンの再構築、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトなど、私たちが迎えるこれからの未来を見据え整理された新しい経済モデルです。

従来の大量生産・大量消費を是としていた世界では、GDP(国内総生産)というものさしで短期的な経済成長が偏重される傾向がありましたが、そこでは長期的視点が欠如し、環境負荷や廃棄物が地球や人間の活動に与える影響が蔑ろにされがちでした。サーキュラーエコノミーでは短期的な経済成長だけでなく長期的で包括的な視点を持ち、総合的な豊かさが追求されています。

健全で、まるで理想的にも感じられるサーキュラーエコノミーですが、2015年以降、すでに多くの実例が増えてきています。特に欧州、オランダのアムステルダム市では官民が協働し、欧州全体の経済を考えるときに欠かせない概念として確立されているのです。

さらに今年、世界中を襲った新型コロナウィルスによってサーキュラーエコノミーの重要性は一層の高まりを見せているそうです。

そこで、アムステルダム在住でサーキュラーエコノミー研究家として日本と欧州を行き来する安居昭博(やすい・あきひろ)さんに、コロナ後を見据えた欧州の最新事情やその背景について、グリーンズCOO植原正太郎が聞きました。


グリーンズCOO植原とサーキュラーエコノミー研究家 安居さん。本記事中の写真は2020年1月に実施したイベントのものです。

「世界の流れ」を読もう

新型コロナウイルスによるダメージも大きかった欧州。だからこそ、なのかもしれませんが、すでに「コロナ後」の社会に向けた具体的な施策が動き始めています。

2020年 5月27日、欧州連合の行政執行機関である欧州委員会は、復興に向けた予算案や経済復興プランを発表しました。そこには、景気回復予算に7500億ユーロ(約90兆円)が使われることや、サーキュラーエコノミーによる雇用創出、循環型農業従事者の支援などが明記されています。(※)

(※)オリジナルはこちらから英文のPDFがご覧いただけます

この復興プランを読んだ安居さんが、特に注目したことはどんな点でしょうか。

まずひとつはthe green and digital transitions(グリーン&デジタル・トランジション)が改めて強調されたことです。グリーンとはサステナビリティのこと、そしてデジタルとはAIやFinTech(フィンテック)、ブロックチェーンといったIT活用を意味しています。

実は欧州の中でも、サステナビリティとデジタルは相容れない分野だと捉える人もいるのですが、欧州委員会ははっきりと、デジタル技術の発展によってサステナブルな社会構築を後押しすることができ、それが欧州の経済復興と将来的なパンデミック対策に欠かせないと明言したと感じています。

それともうひとつ、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーと並んで clean hydrogen solutions 、EUが水素の研究開発に今後力を入れていくことが示唆されたことに注目しました。

実はアムステルダム市も近い将来、ガソリン車の乗り入れを禁止するのではと言われており、そうなると必然的に電気自動車や水素自動車の可能性は高まっていきます。欧州委員会がここで水素経済と明記したということは、投資家や研究機関の動きにも影響するかもしれません。

さらに欧州委員会は、この復興プランからさかのぼること約2ヶ月前、3月11日には新たな「サーキュラーエコノミーアクションプラン」を発表していました。

(※)オリジナルはこちらから英文のPDFがご覧いただけます

安居さんはこのプランの内容を読み、特に消費者の権利強化による生産者責任が強調されていたと感じたそうです。特にポイントだと思われた2つの権利について伺いました。

まずは「修理する権利」

例えば現在携帯やパソコンなどの電化製品を購入し故障してしまった場合、消費者自身では修理できないような複雑な構造になってしまっており店舗の修理サービスは高額なため、ほとんどの人が買い換えてしまっていると思います。

欧州委員会は今回のサーキュラーエコノミー・アクションプランで「修理する権利」の強化を表明しました。これはユーザーにも自分でバッテリー交換をしたりメンテナンスをしたりする権利があるという考え方で、生産者側にそういった設計・デザインを導入する責任を求めるものです。

すでにグローバル企業のフィリップスや「Fairphone(フェアフォン)」に代表されるようなスタートアップもこの潮流を後押しするような製品を開発していますが、今後この権利の捉え方が強まることでEU市場の規則としてメーカー側の修理を行いやすい設計の導入は義務になってくると思われます。

「フェアフォン」とは、スマートフォンを製造販売するオランダの企業のこと。彼らのデバイスは販売するだけではなく、キャッシュバック制度を設けることで使われなくなったデバイスを回収し、部品を再利用したり、購入したユーザーが自分で部品交換できる仕様になっているのです。

安居さんの「フェアフォン」を分解して見せてくれました。スマートフォンのバッテリーってこうなってるんですね

また、通常のスマートフォンの製造には、鉱物の採掘がその地域の紛争が止まない原因となってしまっている「紛争鉱物」や児童労働が関わるレアメタルが使用されているなど、多くの課題が指摘されています。

「フェアフォン」が2019年にリリースをした最新版の「Fairphone3」では4大紛争鉱物が一切使用されず、全部品のサプライヤー(供給元)を公表し、その名の通り、誰にとってもフェアな製品であることが最大の特徴となっています。消費者はホームページで使用されている資源の供給元を辿ることができるようにもなっています。

そしてこのサプライヤーに関する考え方が、実はもうひとつの「消費者の権利」につながっている概念でした。

もうひとつは「透明性ある商品情報にアクセスする権利」

サプライチェーンの情報を明確にすることは、サーキュラーエコノミーのひとつの大きな特徴でもあります。

フェアフォン同様、オランダのスタートアップである「Fairfood(フェアフード)」では、消費者が食品のパッケージにプリントされたQRコードからこれまでよりも詳細な商品情報にアクセスできる仕組みを開発しており、そういったサプライチェーンの情報がブロックチェーンで保護されています。お店で手にした商品が、スマホひとつで簡単に、生産、梱包、輸送、保管、販売などに関わる団体や個人がわかる仕組みです。

さらに生産に関わる労働者が得ている有給休暇や給与水準のデータ、使用されている農薬の種類なども公開されることで、本当に「フェア」な条件で生産された商品なのかが誰の目にもわかるような仕組みになっています。

「フェアフード」のブロックチェーンについては安居さんのブログでも詳しく解説されています。(元の画像はこちら

世界の流れと共に
自社のビジネスモデルを捉える

サーキュラーエコノミーアクションプランにおける「消費者の権利」という捉え方は、日本社会の目線で見ると非常に斬新だと感じてしまうのですが、市場を支えるのは他ならぬ消費者なわけですから、当然の権利だとも思えてきます。

今後、欧州全域がこうした消費者の権利を守った製品を重視して扱う市場に変化するのであれば、ヨーロッパ各国とビジネスを行う欧州圏外の企業、行政機関、研究機関、エンジニア、そして企業投資家も含めた多くの人々の行動を変える動向だと予想できます。また、将来的なパンデミックに備えるといった視点からも、サーキュラーエコノミーが加速される動きがあるそうです。

こうした消費者の権利が重視される傾向がある背景のひとつに、「サーキュラーエコノミーが私たちの社会にもっと浸透していれば、コロナの状況下でもっと救えた命があったのではないか」という議論があります。

例えば、一時期ニューヨークでは人工呼吸器の不足が取り上げられていましたが、背景のひとつには人工呼吸器が故障した際に医療機関では修理ができずメーカーに一度返却しなければいけないことがあったそうです。もしもサーキュラーエコノミーが社会に浸透し消費者の「修理する権利」が守られた製品設計が導入されていたら、人工呼吸器が故障が発生した際にも各病院でメンテナンスや修理を行い患者への供給が早められたのではないかということです。

コロナは感染症のひとつであり、今後また別の感染症に備える観点としてもサーキュラーエコノミーが必要だと考えられているのです。

コロナ後の経済に対して、サーキュラーエコノミーがこれほど重要視されていることにも驚きましたが、少し時間を巻き戻して、その成り立ちを考えてみたら、むしろ自然なことだと理解できました。

日本ではどちらかというとサーキュラーエコノミーがSDGsやCSRの延長として環境負荷を減らす手法としてだけ捉られることも多いと感じるのですが、欧州では環境だけでなく経済・社会の繁栄にとっても合理的なモデルとして官民に進められています。コロナを経験した現在では都市全体のレジリエンスを高めるという意味合いも強いです。

2008年にリーマンショックが起こり、欧州経済は停滞してしまった。その状況を回復させるための根幹に「資源の効率化」が定められました。特に2015年に打ち出された「サーキュラーエコノミー・パッケージ」以降、サーキュラーエコノミーは気候変動対策であると同時に、経済力の強化と、雇用促進の施策として進められているのです。

欧州委員会やEU加盟国の行政機関だけでなく、グローバル企業からスタートアップまで官民連携して動いていることも、環境と経済両面への合理性の高さの現れだと思います。

欧州ではコロナ以前からすでに経済モデルの変化が始まっており、オランダ政府も公式ページ上で2050年までに社会全体のサーキュラーエコノミー化を目指すことを宣言していました。今後30年間を掛けて、国家としてサーキュラーエコノミーを実装し、名実ともにサステナブル国家を目指すことを明確に打ち出していたところにコロナクライシスが起きたのです。

コロナ禍は多方面が停止せざるを得ませんでしたが、6月になり、少しずつ欧州でも経済活動が戻りつつあるようです。

検索ワードのトレンドで「サーキュラーエコノミー」と「SDGs」を比べると日本では圧倒的に「SDGs」の方が注目度が高いのですが、オランダやアメリカでは「SDGs」より「サーキュラーエコノミー」がずっと上位にきています。

この理由のひとつには、サーキュラーエコノミー型モデルを先進的に採用しているグローバル企業が実績を上げていることがあると思います。世界中で事業を行うグローバル企業が続々とサーキュラーエコノミーへの転換を行い、環境への負荷を減らしながらも収益を伸ばしています。また、こうした変革が人口増加や希少資源不足を迎える見込みのこれからの世界において、長期的に強固な企業体制を整えることにもつなげられています。

例えば、オランダを代表するメーカーのフィリップスは、サーキュラーエコノミー事業だけですでに全収益の約10-15%を締めていると言われています。エレン・マッカーサー財団が発表した、サーキュラーエコノミーを実践する100団体(CE100)にも有力なグローバル企業が参画しています。

(※)エレン・マッカーサー財団のCE100はこちらから英文で一覧を確認できます

求められることは
ビジネスモデルの抜本的改革

欧州は、日本だけでなく中国やアメリカにとっても重要な市場。今後、欧州市場ではこうしたサーキュラーエコノミーの規格が法的規制として整備される見通しであり、各国政府・企業・投資家もそれに沿った変革が早いスピード感で進められています。日本政府と企業も欧州市場と無関係ではいられない以上、遅かれ早かれ対応が求められる状況が迫っています。

企業が新たなビジネスのあり方を考える時には、優先順位を決めて最も費用対効果の高いアプローチを実践することが重要になってくるといいます。

サーキュラーエコノミーのビジネスモデルはもはや無数にあるといっても過言ではありません。欧州企業の間ではその中からどれでも選べばいいというわけではなく、費用対効果のできるだけ高い上位のものに取り組むことが重要視されています。それによって環境負荷の軽減も経済効果も最も大きくあげることができる傾向があるからです。

例えば、環境負荷を減らすために消費者の間では、いわゆる「3R」と言われるReduce(リデュース: 減らす)、Reuse(リユース: もう一度使う)、Recycle(リサイクル: 再生)という優先順で考えることが望ましいとされてきました。

企業のビジネスに置いても、資源の使用量をまず減らすこと(Reduce)、次にできる限り消費者の間でメンテナンスをしながら使用し続けてもらうこと(Repair)、修理が難しいものは返却を促し再利用してもらうこと(Reuse)、そしてどうしてもそのものの再利用が難しいものは工場へ輸送しエネルギーを加えて加工をしリサイクルを行う(Recycle)。

ビジネスモデルをサーキュラーエコノミー型に変革する際にはこうした優先順位が意識されています。近年ではさらに最上位としてのRにRegenerate(リジェネレート: 再生する)が位置づけられ、人間の活動を通じて地球環境を(「維持・持続する」に止まらず、)「再生する」ビジネスモデルが注目を集めています。

サーキュラーエコノミーの流れを表す代表的な図のひとつに「バタフライ・ダイヤグラム」というものがありますが、この外側のサイクル(リサイクルなど)よりも、内側のサイクル(メンテナンス・リユースなど)が優先されることを示しています。

エレンマッカーサー財団による図を安居さんがわかりやすくしてくれたもの。オリジナルはこちらから英文でご覧いただけます。

続いて、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルと相性が良いとして採用が進むリース(借りる)事業について教えてくれました。

サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルのひとつとして販売からリースに移行することによって、いくつかの企業の事例から企業、消費者、そして地球環境にとって三方良しのメリットが生まれることが確認されています。

例えば、リースによって所有権は企業が持ち続けられ、製品が自社に戻ってくることで再利用できる部品を回収する体制を構築することができ、新しい原材料の調達を抑えることにつながります。こうした製品が戻ってくるループが確立できることで、資源の輸入依存が減り、将来的に感染症で再びグローバルなサプライチェーンが不安定化した際のリスクを抑える基盤を整えることもできます。

さらに、「販売」では企業側はどうしても消費者に定期的に買い換えてもらう製品づくりがなされる傾向がありましたが、「リースモデル」では企業側はなるべくメンテナンス回数を減らし、かつ、長期的に使ってもらえるような設計を実施した方がむしろ収益を伸ばすことができます。「買い換えが必要な製品設計」という従来の制約から解放され企業は真のイノベーションを促進することにもつながり、ひとつの製品を長期間使用できるユーザーのメリットにもなっています。

安居さんはこの日、素敵なジーンズとシャツを着ていらしたのですが、実はこの日のファッションも、リースのビジネスモデルを行うアパレルブランドのものでした。

このジーンズは、アムステルダムで生まれた「MUD Jeans(マッドジーンズ)」というブランドのもので、僕はこれを買って所有してるのではなく、毎月750円くらいでリースしています。

もしも破けたり履けなくなったりしたら彼らに戻して、彼らはまた、使用済みジーンズから再生した繊維をつかった別のジーンズを製造し僕に送ってくれるシステムです。今履いてるものは、約40%の繊維が再生繊維、残りの60%だけが新しく購入されたオーガニックコットンでつくられているとタグに書かれています。これはつまり、メーカーにとっても、新たに購入する資源量が約4割抑えられてることになります。

安居さんはこの日、MUDジーンズにあわせて、100%再生素材のスニーカー「Nothing NEW」と、同じく100%再生素材でつくられた「pure waste」のシャツ、いうサーキュラーエコノミーファッショニスタでした。

「アフター・コロナ」の
方向性はどちらを向くか

コロナ後の社会については様々な専門家や研究者による考えが飛び交っていますが、特にサーキュラーエコノミーに特化した場合、どんな捉え方が多いのでしょうか。

4月の初めにオランダ国内の170名の専門家と有識者が「次のパンデミックに備えるために必要な変革」というマニフェストに署名をして話題になりました。実はその将来的なパンデミックへ備えるために必要とされる改革が、自然とサーキュラーエコノミーが目指している政策と親和性の高い面が多かったことが非常に興味深かったです。

また、消費者の権利でもご紹介した修理しやすい設計や規格統一の義務化は、医療器具の規格を統一しておけば隣国同士でもっと助け合えるという観点からも、私たちの社会でのサーキュラーエコノミーの浸透が感染症対策に有効であることを表しています。

コロナの影響によりエネルギー面でも多くの変化が見られています。米国エネルギー情報局によると、アメリカでは今年自然エネルギーが最も大きな電力源となる見込みで、これは調査開始以来、アメリカの歴史上初めてのことだそうです。また、投資家の間でも将来的な感染症によるサプライチェーンの不安定化を見通し、輸入に依存しがちな石油・石炭産業よりも自国でまなかうことができ、成長産業でもある再生可能エネルギーが選ばれる動きがあるようです。

オランダ政府は「1.5m society(1.5mの距離を保つ社会)」という概念を提唱しています。お互いの距離を保ちながら外食や買い物などの社会活動も続けること、感染症を防ぎながらも工夫して快適に暮らそう、とうたっているのです。行政が主導して民間にアイディア募集のコンペなどを呼びかけたりもしています。

(※)こちらから英文でオランダ政府の見解がご覧になれます

コロナ後に目指す国としての大きな方向性が示され、詳細な部分は官民一体で確認しながら”learning by doing”(やりながら、学んでいく)の姿勢で進めているように感じられますね。

こうした諸外国の動きを見聞きすると日本が遅れているのではという気持ちになりますが、安居さんは「どの国が進んでいる・遅れているというのではなく、どの国にも良い取り組みと課題点があり、他の国のアイデアから自国の課題解決に向けたヒントが学べる」と言います。

日本でも官民で色々な施策が進められており、5月には経済産業省から「循環経済ビジョン」が出されました。世界で進められているサーキュラーエコノミー政策の動向がきちんと汲み取られており、今後どういった具体的な政策に落とし込まれるかを注目しております。

もちろん日本にも課題はあるかもしれませんが、それは欧州においても同じことです。それに、欧州の成功事例をそのまま持ってきても日本で成功するとは限りませんし、ズームアウトで世界全体の動向を見渡しながらズームインで日本には日本に合ったアプローチを探っていくことが無理がないと思っています。

個人的に日本で可能性を感じていることのひとつは地方部でのサーキュラーエコノミー推進です。欧州ではサーキュラーエコノミーの施策で注目されているのは、アムステルダムやロンドン、コペンハーゲン、ヘルシンキなど大都市が中心です。

一方日本では、例えば日本で初めてゼロウェイスト宣言をした徳島県の上勝町や、1万5千人も人口がありながらリサイクル率が高い鹿児島県の大崎町、木材のカスケード利用(※)が盛んに行われている北海道の下川町といったように、地方ではサーキュラーエコノミーという言葉を使わずとも素晴らしい取り組みを行ってきた地域がたくさんあります。

そしてその中にはすでに海外からの注目度も高まっている地域もあります。また、日本は高所得国の中では樹齢200年を越すような原生林が多く残されており、神仏の宗教信仰や自然崇拝もこうした日本の環境保護に寄与してきたと言われています。歴史的な建造物や長年受け継がれてきた文化は他の国々が今から持ちたいと思っても持てないものばかりですし、そういったところに本当に力を入れた保存が必要で日本が世界に誇ることができるクール・ジャパンな側面があると思っています。

(※)カスケード利用とは、木材資源を再生活用する際、再利用することで下がる資源の品質に応じた形で再利用を繰り替えすこと。

今気になっていることのひとつは、各国が「アフター・コロナ」を目指す中でその方向性に違いが見られることです。

例えば、オランダは現在の自粛後には「1.5m society(1.5mの距離を保つ社会)」を目指している一方、日本はどちらかというとできる限り早く「元通りの社会」に戻ろうというアフター・コロナのビジョンだと思います。これはどれが正しいというわけではなくて、同じ「アフター・コロナ」というワードを使用していても、向かっている方向に違いが見られることは注目に値するということです。

コロナがきっかけとなり世界中の行動自粛を経て、欧州ではサーキュラーエコノミーが経済・社会の回復につながり、将来的なパンデミックの備えにもなると一段と注目度を高めていることが伺えます。

もしかしたら今まさに、サーキュラーエコノミーの視点を取り入れて新しい政策やビジネスを立ち上げようと動いてる組織も多いかもしれません。そう遠くない将来きっと、より健全で、環境とのバランスが取れた事業が世界中で始まることに期待したいと思いました。

オンラインでの講習会やアムステルダムでの視察イベントの開催など、安居さんの大活躍にはまさに、日本でもサーキュラーエコノミーの普及が高まっていることを感じさせてくれました。

(写真: 寺島由里佳

– INFORMATION –


6月25日(木)には、第6回目となるgreen drinks STAY HOMEに安居さんをゲストにお招きします!気になる方はこちらから詳細をご覧ください。