ガスも電気も使わず、太陽の光だけで行う「ソーラークッキング」。CO2を排出せず、光熱費がかからず、また、晴れていれば季節を問わずに屋外調理が可能です。
(以前グリーンズでもこちらの記事をご紹介していました)
アウトドアや非常時の対策にもなりますが、普段の生活にうまく取り入れるのも楽しいもの。そんなヒントをご紹介しましょう。
子どもの頃に実験などで、虫眼鏡で太陽光を集めたことがある人も多いと思いますが、ソーラークッキングも同じ太陽光を活かします。
ソーラークッキングの場合は光の集め方が一点ではなく、反射パネルを使い調理機器に向けて熱を集めるのがポイント。調理する道具は一般的に「ソーラークッカー」と呼ばれ、傘を反対向きにしたようなパラボナアンテナ型、箱状のボックス型、真空管を使った筒型など、様々なメーカーがいろんなタイプを製造販売している他、DIYも可能です。特徴を調べて、自分にあったタイプを選びましょう。
ソーラークッキングで焼き芋をつくろう
ソーラークッカーによって方法はそれぞれですが、サツマイモの土などを洗い落とし、パラボナ型やボックス型の場合はアルミホイルに包んで中に入れます。外側が黒いアルミホイルも市販されていますので、火の通りやすい方法を工夫して実験することも楽しんでみましょう。ここでは、アルミホイルのゴミも出ない、真空管でできた筒型のソーラークッカーを用います。
1. サツマイモをセットする
サツマイモを洗ったら、ソーラークッカーに収めやすい形状に切り、詰める。
2. 太陽光の当たる場所に置く
ベランダや庭先など、太陽光がよく当たるように置く。日差しにもよりますが、1時間ほどで火が通っています。
普段の暮らしに取り入れるには
そのまま食べることはもちろんですが、ソーラークッキングで食材を下ごしらえする、と捉えるとグンと日常に取り入れやすくなります。たとえば、洗濯や掃除、近所へのお使いに行く前にソーラークッキングをセットしておけば、あとで味付けをするだけですぐにサラダや和え物ができたり、スープや煮物の下処理ができているため、食事の準備が簡単になります。
サツマイモの他にも、りんご・じゃがいも・かぼちゃなどは同じように、食材の水分だけでほくほくした状態へ調理できて、ソーラークッキングで使いやすい食材です。豆類などを煮込む場合は、ソーラークッカーにお水と一緒に入れましょう。
ソーラークッキングの注意点
・火の入り方は日照条件や環境、ソーラークッカーによって様々です。炎天下の場合はかなり高温になるので、反射板の範囲に手を入れたりしないよう気をつけましょう。また、かなり眩しくなることもあるので必要であればサングラスなどで目元を守るなどの工夫をしましょう。
・高温になるので、着火の可能性となる油は使わないようにします。
・途中で太陽が陰ってきたり、開けてみたら「もう少し火入れしたい」と思った場合などは、ソーラークッキングした後で、ガスや電気をつかって調理を仕上げましょう。こだわりすぎることなく、おおらかに楽しむのが日常に取り入れるコツです。
どこからきたエネルギーか想像してみよう
今回は焼き芋をご紹介しましたが、初めてソーラークッキングに挑戦される場合にもうひとつ、「水」をソーラークッキングするのもおすすめです。太陽光で沸かしたお湯と、普段のお湯との違いを感じてみましょう。また、そのお湯でお茶やコーヒーを淹れるのも、日頃の味わいとの違いが感じやすいと思います。
太陽エネルギーは普段、地上に降り注いだカロリーのほんの少しだけを植物などが吸収しますが、残りのほとんどがそのまま宇宙に戻っていると言われています。その戻っている太陽光を少し借りて行うソーラークッキングは、宇宙と地上の間を行き来するエネルギーによって食材が食べやすくなる、と言うことができます。
電子レンジなど、スイッチひとつ押して数十秒で仕上がる調理は本当に便利で、わたしたちの暮らしを支えてくれていますが、それと同時に、自然の成り立ちを想像しながらできあがりを待つ1時間も、また別の感謝を実感できるものです。機会を見つけてチャレンジしてみましょう。