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自由な働き方を実現するには、自立と対話が大切。「サイボウズ式」編集長の藤村能光さんに聞く「未来のチーム」の作り方

組織に所属しながら、働く時間と場所を自分で決められるとしたら、どんな働き方をしたいですか?

サイボウズ」は、そんな自由な働き方を実践している会社です。社員のなかには地方に住んだり、複業している人も。個人が自由に働きながらも、さまざまな工夫をすることでチームワークを高めています。

こうしたチームづくりを、オウンドメディア「サイボウズ式」編集長で、『「未来のチーム」の作り方』著者の藤村能光(よしみつ)さんは「未来のチーム」と呼んでいます。

「未来のチーム」をつくるには、どうしたらいいのか。そのヒントを探るべく、グリーンズの学校では藤村さんとともに「未来のチームの作り方教室」を2月から開催します。

今回は、サイボウズ式編集部が実践しているチームづくりについて、グリーンズCOOの植原正太郎が伺いました。

働く時間と場所を、自分で決める。
そのためには自立することが大切。

「サイボウズ式」編集長の藤村能光さん(左)

植原 サイボウズでは、みなさん自由な働き方をしているんですよね。

藤村さん はい、サイボウズでは100人100通りの働き方を宣言できるようになっていて、働く時間と場所は自分で決めていきます。個人の多様な個性を尊重しながらチームとして同じ方向を見て働くことが大事で、そのためにチームとしてできることはなんだろう? と考えています。

植原 グリーンズでも、働く時間と場所は自分で決めています。就業規則はあるけど、それぞれに任せている部分が大きいです。

藤村さん チームの仲間にルールや仕事を任せられるかどうかは、その人が自立しているかがけっこう大事ですよね。お互いの期待値や理想がズレていると、悲劇が起きやすいです。たとえば任せられた仕事に対して「すみません、これはこういう理由でできないです」って言えることも、チームにとって重要なことだと思っていて。

個人が自分の幸せや、やりたいことを追求しながら、それでも組織として成果を出していくには、やっぱりその人が自立している必要があると思うんですよね。

だからグリーンズは働き方も柔軟だし、みんな自由だしすごい! と思うと同時に、自立していない人にとっては厳しい組織なんだろうなとも思ったんですけど、そのあたりっていかがですか?

植原 たしかに…。僕らは小さいチームなので、一人ひとりが求められることが大きいです。たとえばイベントでは司会やファシリテーションをすることもあるし、文章を書いたり編集したり、プロジェクトの企画を考え、進行を管理することもある。そして自分のタスクや体調も自分でマネジメントする。

その人の裁量も大きいけれども、責任も大きいです。逆に言うと、そこまでやりきれそうなメンバーしか迎え入れてないかもしれないです。

グリーンズではインターンやアシスタントスタッフなど、さまざまなメンバーが関わっています。

組織のビジョンと自分を重ねる

藤村さん なるほど。そういうときに、グリーンズさんの理想に対する共感って、大事にされていますか?

植原 そうですね、グリーンズが目指す社会や未来に共感していないことには「グリーンズで働きたい」と思ってもらえないと思うし、タフな環境のなかで頑張り続けることもできないと思います。

藤村さん スキルとか経験ってあとからでも積み上げていけるものだと思っているんですけど、組織やチームのビジョンに共感していないと「未来のチーム」は成り立たないと思っているんですよね。

なので、まずはチームの中で大きな方向性とかビジョンに共感があって、その上でみんなが自由に時間とか場所に縛られずに働いて、それでもチームとして成果が出る、というのが理想だと思っています。

植原 そのとおりですね。いわゆる組織の「ビジョン」も、ただのお飾りのカッコいい文言ではなくて、自分自身がつくりたい社会や未来と合致しているが大事だと思っています。100%合致している必要はないと思いますけど、重なる部分が大きいところで働かないと、「未来のチーム」ってそもそも成り立たないなって。

藤村さん 「100%合致していなくてもいい」というのは、ビジョンへのコミット具合にグラデーションがあってもいい、ということですね。

たとえば新入社員で「仕事にフルコミットしたいです」っていう人は、ビジョンに100%近いかたちで共感しながら仕事できているけど、一方で結婚したりお子さんが生まれたりして家庭ができたタイミングだと、どうしても仕事より家庭のバランスのほうが強くなるときもあるし、それはそれでいいと思っているんです。

そのなかで、たとえば70%は家庭なんだけど、30%でもサイボウズに共感してくれていて、それだけ貢献しようと思ってくれていたら、それでいいんじゃないって。

みんな組織に所属しながら、自分のやりたいこともあるし、そのバランスも人によってバラバラで、みんなが多様な想いを持っているなかで、チームで向かっていくにはどうすれば? と常に考えています。

植原 グリーンズ代表の鈴木菜央の格言に、「グリーンズから公私混同を除いたら何も残らない」というのがあって(笑) グリーンズの未来のために働くよりも、自分のやりたいことをグリーンズで実現できたらそれが一番いいよねっていう話をよくしています。公私混同しながら働くくらいがベスト、という考えです。

学生インターンでもスタッフでも「こういうことをやりたい」と本人が伝えてくれたことに対しては、グリーンズのリソースを使ってどんどんやればいい、という文化があります。

たとえばスタッフに小倉さんという方がいるんですけど、彼女が家族旅行で行ったバリ島でサステナブルな活動を見て感動して「グリーンズでツアーをやったほうがいいです。私、バリが好きだから」って提案されて、じゃあやってみよう! と。

藤村さん 美しい公私混同ですね(笑)

植原 それで本当にバリ島ツアーを2月にやることになって、告知したらすぐに定員が埋まりました。そのときに小倉さんはスタッフとして同行するので、また彼女は大好きなバリ島に行ける。グリーンズにも参加費として利益が出るので、みんなハッピーな企画なんです。こんな風にスタッフがやりたいことは、グリーンズで全力でサポートしています。

未来のチームのための自分らしさを活かしたリーダーシップ

サイボウズ式」には働き方や組織づくりなどに関する記事が掲載されている。

藤村さん 僕がサイボウズ式の編集長に就任したのは5年くらい前なんですけど、僕はあんまりビジョンを描くのが得意なタイプではないんです。

でも編集長になった当時は、前編集長のように「ビジョンを描ける人にならなければいけない」と思いこんでいて、いろんなイノベーターの本を読んだりしたけど、できなかった。そこから僕なりのリーダー像を探し求めることがはじまりました。

最近は「オーセンティックリーダーシップ」という言葉が流行っています。「オーセンティック」は「自分らしさ」という意味。自分らしさをしっかりと発揮して、リーダーシップをつくっていくという考え方です。

この、自分らしさを活かしたリーダーシップとかチームづくりってなんだろう? と考えて、自分で自分のことをビジョナリーではないと認識できたときに、自分のリーダー像が決まって、そこからチームとの向き合い方も変化していきました。僕のリーダーシップのスタイルは、みんなとディスカッションしながら、いいチームを目指していくという形です。

植原 僕も、菜央さんがこの1〜2年でビジョンを描くことに軸足を移していったなかで、自分はそのビジョンに向かって、チームワークを築きながら、業務を執行していくことが得意だと気づけたので、自分なりのリーダーシップを見い出すことができました。

藤村さん まさにそれって自分らしさを見つめた結果ですよね。それに、植原さんは人と自分を比較していないっていうのがすごくいいなと思っていて。僕はかつて、理想のリーダー像と自分を比較していたんですよ。その間にあるものを埋めようとしていたんですけど、これはあまりにも埋まらない。けっこうしんどかった。

でも、他人との比較ではなくて、自分自身との比較が大事だと気づきました。自分らしい理想と現実の差を見つけて、ここをしっかり埋めていく。そういう内省力や自己認識力を高めながら、チームづくりに反映していく。

チームづくりに悩んでいる方がいたら、まずは「自分とはどういう役割なのか」を自分自身と対話していくことが重要だと思っています。

「未来のチーム」に必要なのは、コミュニティマネージャー的な素質

藤村さんの著書『「未来のチーム」の作り方』には、チームづくりのヒントが満載。

植原 「リーダーが自分の役割を見つける」という話は、チームに関わるメンバー全員にも同じことが言えますよね。いまの自分の得意なことや気持ちが動くことをちゃんと見つめて、貢献すればそれがチームにとって一番いい、という。

藤村さん はい、チームであることの最大のメリットはみんなの強み・弱みを許容しあいながら、それらを掛け算しながら、大きなパワーを導き出していくことだと思うんですよね。多様さを活かすからこそ、画一的で一律的なチームからはなかなか生まれないアイデアが出まれる。それによって事業やサービスにブレイクスルーが起きることもある。

極論を言えば、外から人を引っ張ってこなくていいんですよ。いまいるメンバーがすでに多様だということをリーダーは理解すればいい。

サイボウズ式の編集チームはインターンを含めて10人いるんですけど、みんな関心も得意なことも違います。だから「僕みたいになれよ」なんて絶対言えないですし、大学生のインターンでも僕よりすごいところがあると思っています。そんな認識を前提にしながら、みんなの強み・弱みをチームで発揮することがすごく重要だと思っています。

植原 これからのチームをつくっていく人に必要な素養って、コミュニティマネージャー的なスキルなんじゃないかなと思っています。いまの話は、チームに新しい人材を引っ張ってくるのではなくて、そこにいる人たちの可能性を引き出したり、サポートしあえる環境をつつくることが大事だという話だと思うんですけど、それってコミュニティマネージャーがやってきたことなんじゃないかなと。

その場にいる人の強みや得意なことを引き出してあげるのがコミュニティマネージャーだと思っているので、そういう人がチームにいるのは大事ですよね。

藤村さん そうですね。あと、コミュニティマネージャーは情報をオープンにすることにも取り組んでいると思います。コミュニティ内の情報を、大事な瞬間に大事な人に届けて、人をつないだりしていると思っていて。これって普通の会社のマネージャーも意識して取り組むべきことですよね。

雑談や相談を重ねて、関係の質を高める

植原 藤村さんが日々チームで仕事をするうえで、大事にしていることは何ですか?

藤村さん 対話やコミュニケーションです。言葉にすると陳腐ですけど、やっぱりチームのメンバーが何を考えているのか知ることが大事だと思っていて。

昨年、僕はメンバーと週に1回から月に1回、1対1の「ザツダン(雑談)」を30分していました。仕事の話をすることもあれば、仕事以外のザツダンで終わることもあります。

お互いに人となりを知ることで、お互いに少しずつ心が開けるようになればいいなと思っていて。僕がメンバーに悩みを相談することもけっこうあるんです。そういうところから「未来のチーム」って始まるんじゃないかな。

植原 グリーンズは1対1で話す機会はあまりつくれていないですが、代わりにミーティングの前に「チェックイン」という時間を設けています。

ミーティングの参加者は最近の出来事、その日の体調、嬉しかったこと、悲しかったことなどを自由に話してからミーティングを始めています。どんなに忙しいときのミーティングでも、チェックインの時間が楽しいので15分くらい経っていることもあります(笑) それぞれの状況を日常的に知ることができるので、とても大事な時間だと思っています。

藤村さん すごくいい取り組みですね。僕らはオンラインツールも役立っています。「kintone」というツールをつかってチームの情報共有をしているんですけど、そのなかでも面白い取り組みが「分報(ふんほう)」というものです。kintoneの情報共有のスペースの中に、「ふじむらのつぶやき」といったスレッドをメンバー全員つくってます。いわゆる社内版Twitterみたいなものです。

ここには仕事のことで「これをやりました」と書く人もいれば、「体調悪いです。低気圧が来ていてヤバいです」とか書いている人もいたり。そうやって自分の状態を、弱みとか不安さえもどんどん書いて共有することで、毎日顔を合わせていなくても、なんとなくその人のことがわかります。

ソニックガーデン」の倉貫義人さんが『ザッソウ』という本を出されているんですけど、これは「雑談+相談」のことで、僕たちのチームでも大事にしています。

僕が1対1のザツダンでやっていることって、ホウレンソウのなかの「相談」を増やすことなんですよ。「報告」と「連絡」は過去のこと、「相談」は未来のことを話す時間で、この「相談」をチームや組織のなかで増やすことが大事だと思っていて。

未来の話をもっとできるように相談しよう。それは雑でいい、と言っているのが倉貫さんです。雑な相談というのは、たとえば「まだわかっていなんですけど、こんなふうに思っています」とか。

雑な相談が増えるほど、チームのなかのコミュニケーションが増えていく。それがチームの関係を改善することにつながるはずで、この先に成果があると思っています。

植原 マサチューセッツ工科大学の元教授でダニエル・キムさんという人がいるんですけど、彼は組織の成果を上げるためには「メンバーの関係の質から始めよう」って言っていて。関係の質が高まれば、思考の質が高まり、行動の質が高まり、結果的に成果の質も高まる、という話です。

彼はシステム思考の専門家なんですけど、チームビルディングにおいてシステム的に一番注力するべきところが「関係の質」だと言っているんです。「雑相」はまさに関係の質を高めることにつながりそうですね。

藤村さん 「関係の質」に近しいのが「心理的安全性」かなと思いました。Googleはチームで生産性や成果を高めるために5つの重要な要素があると提唱していて、その土台となるのがチームの心理的安全性が担保されていることだと言っています。

心理的安全性というのは、チームのなかで個人が弱みとか不安をさらけ出せること。そしてチームがみんなの弱みや不安をしっかりと受け入れる体制ができていること。そのときに失敗が許容される、失敗が次のチャレンジにつながる、そういう環境になっているんですよね。

これは関係の質がよくないとできないことだと思います。チームの関係の質がよければ、ピンチが来ても、それをチャンスにとらえて動き出せるはず。そんなことも含めて、「未来のチームの作り方教室」でみなさんとお話しできればと思っています。

取材は「co-ba EBISU」でおこないました。「未来のチームの作り方教室」の会場もこちらを予定しています。

(対談ここまで)

一時間、熱く話し続けたお二人の対談、いかがでしたか?当人たちはまだまだ話し足りない様子でしたが、この続きは「未来のチームの作り方教室」にてお伝えすることとなりそうです。

働くうえで人間関係はとても大切ですし、それが成果に影響を与えることも多いと思います。

会議での発言があまり出ない、なかなか新しいメンバーが馴染めないなど、チームづくりに悩んでいる方はぜひ、藤村さんに聞いてみてはいかがでしょうか。

– INFORMATION –

自由なのに成果が出る。
「未来のチームの作り方教室」 受講生募集中!

サイボウズ式編集長の藤村能光さんの著書『未来のチームの作り方』をもとに、チームの作り方を探究する「グリーンズの学校」新クラスが2月18日に開講します!

様々な仲間が様々なかたちで関わるチームのあり方を模索し続けているグリーンズとしても「ど真ん中」と言えるテーマです。

チームの個人個人が自立して自由に働き、それでもチームとして成果が出る。そんなチームの作り方を、実践してきたゲスト講師の方々をお招きしつつ、みんなで学びましょう。

<開催日時>
2月18日(火)、3月3日(火)、3月17日(火)、3月27日(金)、4月14日(火)、
4月28日(火) ※ 各回 19:30~21:30

<開催場所>
co-ba恵比寿(東京都渋谷区恵比寿西一丁目33番6号)

<ゲスト>
藤村 能光さん(サイボウズ式編集長)
篠田 真貴子さん(元 株式会社ほぼ日 CFO)
中村 真広さん(株式会社ツクルバ 代表取締役 CCO)
鳥井 弘文さん(株式会社Wasei 代表取締役社長)
植原 正太郎(NPO法人グリーンズ COO/事業統括理事)

<コーディネーター>
長田 涼(Wasei Salonコミュニティマネージャー / コミュニティフリーランス)
内藤 千裕(株式会社アスノオト / NPO法人グリーンズ)

<参加費>
一般  38,000円
オンライン参加 10,000円
チーム参加(3名) 100,000円
U25割  19,000円
Wasei Salon・サイボウズ・greenz people割 34,000円

詳細はこちらをどうぞ!