グリーンズのメンバーがおすすめする活動の募集を、「この指とまれ!」の温度感でご紹介する「グリーンズの仲間集め記事」。今回ご紹介するのは、沖縄県うるま市への「お試し移住」の企画です。
地域の方との交流などを通して島の住環境を体験しながら、2019年11月15日~2020年2月14日の間で4~10日の滞在が可能なこの企画。対象となるのは、うるま市への移住を検討している方です。特に、20~40代の子育て世代、クリエイター、農業に関心のある方などの応募は大歓迎だそう。
このうるま市への「お試し移住」、いったいどんなものなのでしょう? 取材してみると、「お試し移住」が島しょ地域の歴史や文化と、移住者とのいい関係性をつくる取り組みであることが見えてきました。
なにをしているのか
「お試し移住」の受け入れ先となるのは”イチチぬ島”。この言葉はうちなーぐち(沖縄語)で「5つの島」をあらわし、うるま市では伊計(いけい)島、宮城(みやぎ)島、浜比嘉(はまひが)島、平安座(へんざ)島、津堅(つけん)を指します。
「お試し移住」では、この”イチチぬ島”の民家に4~10日のあいだ滞在。地域の方との交流などを通して、島の住環境を体験しながら、移住へのイメージを持つことができます。
参加費は、滞在日数にかかわらず「1組あたり4,000円+1名あたり2,000円」。しかし、「どなたでも歓迎!」というわけでなく、あくまでもうるま市への移住のイメージを持ってもらうことを目的としているため、対象は実際にこの地域に移住を検討している方です。
うるま市の「お試し移住」は2016年からスタートし、2019年で4年め。毎年10組ほどが参加し、なんとその3~4割近い方が沖縄県への移住を実現しているというから驚きです。そのなかでも島しょ地域への移住を実現している方も2割いるそう。
これまで参加した方からは、「目の前に青い海が広がって、音も時々しか聞こえない環境で、豊かな暮らしがここにはあると感じた」「夫婦と子どもで参加したが、ここに来てから子どもの様子が変わった。すごく走り回ったり、明るく遊ぶようになった」「クリエイターとして仕事をしているが、ここにいるだけで創作意欲が掻き立てられる」といった声があるなど、移住について具体的なイメージを持つ機会になっていることが伺えます。
目指している未来は?
なぜうるま市では、「お試し移住」に取り組んでいるのでしょう?
このプログラムを運営する一般社団法人プロモーションうるまの仲宗根多恵美さんは、「この地域の大切なものをのこして、みんなが幸せに生きる地域にしたいという思いが背景にあるんです」と語ります。
うるま市の”イチチぬ島”は、沖縄らしい豊かな自然と文化が色濃く残った地域なんです。たとえば、「ウスデーク」。琉歌調の歌にのせて、女性のみで行われる円陣舞踊で、代々口伝によって島ごとの踊りが伝えられてきました。また、沖縄本島では珍しくなった赤瓦の古民家のような原風景が残っています。
でも、”イチチぬ島”ではここ10年で20%以上という、急激な人口減少が進んでいます。人口減少に伴って、「ウスデーク」も一部の地域では踊れる方がいなくなってしまいそうだったり、また赤瓦の古民家も多くが空き家となり、維持が難しくなったり、集落自体消滅してしまいそうになっているところもあるなど、この地域の人々が誇りにしている自然、伝統文化、人と人とのつながりなどが絶えてしまう危機にあるんです。
そんな状況をなんとか変えようと2017年に開催されたのが、この地域の残したいもの、叶えたい未来を話し合う「しまみらい会議」でした。
「しまみらい会議」の中で、「クリエイターや子育て世代、農業に取り組むような方に移住してもらうことで、その方々のニーズやスキルとこの地域の自然や文化が結びついて、いい連鎖が起こるんじゃないか」という話になったんです。
実際に今では、移住したクリエイターが地域の伝統芸能を素材に映像制作をしたり、うるま市の5つの島を舞台に開催されるアートフェスティバル「うるまシマダカラ芸術祭」(2012年から昨年まで開催された「イチハナリアートプロジェクト」の後継イベント)に移住者も多く参加するなど、少しずつ新たな取り組みが生まれているそうです。
こんな仲間、この指とまれ!
今回、「お試し移住」では、「しまみらい会議」で議論された内容をもとに、下記の方を優先しています。
実際に移住を検討する機会にしてほしいという思いがあるため、移住を真剣に考えていることやこの地域の価値観に共感してくれることは特に大切にしているそうです。
また、移住希望者向けにすぐに紹介できる空き家があるわけではないことも理解した上で応募してほしいとのこと。ただ、実際に移住する際は一人で住居探しをするというわけではなく、うるま市の移住コーディネーターに相談しながら、住む場所を見つけていくことができるようです。
なぜ私がこの活動をオススメするのか
仲宗根さんが語るように、うるま市や「イチチぬ島」では、その場所にしかない自然や文化、暮らしが、いままさに失われてしまう危機にあります。しかし、うるま市の移住検討者向け情報メディア「うるまで暮らす」を見ると、悲壮感はありません。そこからは、移住者と地域の方々が協力し、未来へつないでいく動きが次々と生まれてきていることがわかるのです。
「イチチぬ島」には、ここにしかない自然や文化、暮らしがある。だからこそ、ここにしかない人生もあるはずです。島やうるま市の未来と、みなさんがこれから歩もうとしている未来に重なるところがありそうなら、まずは「お試し移住」に参加してみてはいかがでしょうか。