最近、街ですれちがうランドセル姿の小学生たちの多くが、肩のあたりに防犯ブザーを付けています。きっと読者のみなさんの中にも、防犯ブザーや携帯電話を持たせている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな子どもたちを心配する親たちを見て、中には「あまりに過保護すぎる」という声も聞かれます。
でも、果たしてそれは本当に過保護なのでしょうか。
そして、まだそういった機器の使い方が理解できないような幼い子どもにも、防犯グッズは必要でしょうか?
アメリカに住む、自身も小さな女の子のパパであるWillie Wu(以下、ウィリー)さんの答えはYES! ウィリーさんは、幼児でも使いやすい「Buddy Tag」という防犯リストバンドを開発。全米中の注目を集めています。
価格は$39.99。防犯グッズとしては手ごろな値段と言えるかも?
一見、カラフルでおしゃれなアクセサリーのような「Buddy Tag」。まず、どのように使うのかご説明しましょう。
基本的な機能は「Buddy Tag」をつけた子どもが親から一定以上離れると、設定したスマートフォンにアラームで知らせるというもの。
範囲は室内ならば約12m、屋外だと25~36mと近距離で、「そばにいる子どもへの親の見守りをサポートするためのツール」としている点が大きな特徴です。とてもシンプルに思えますが、例えば遊園地や行楽シーズンの混み合った空港などに子連れで行く時に「Buddy Tag」を持っていれば、迷子の確率はぐんと下がりそう。
また、10秒以上浸水するとアラームが鳴るので、プールや海のレジャーなどにはもちろん、お風呂場などでの思わぬ事故予防にも役立ちます。
赤ちゃんを抱っこしながら他の兄弟を遊ばせているお母さん。下の子を見ているうちに上の子が遠くへ…そんな時はアラームでお知らせ!
そして、子どもが何か異変を感じたとき、非常ボタンを押すとすぐに親のアラームが鳴るという仕組みも。「BuddyTag」とスマートフォンとの接続が切れてしまったときも安心。切断直前の子どもの居場所や日時がメールで送られてきます。
Buddy Tag専用の非常ボタン。リストバンドに入れて使います。
名前や住所などを書く欄もあります。このシリコンタイプの他にも、マジックテープや布、使い捨てできるものなど素材も豊富。
携帯のアプリで複数の名前の登録と、おおよその位置の把握が可能。兄弟それぞれに好きな色のリストバンドを選ばせてもいいですね!
子どもの安全を守る「親」を助ける道具をつくりたい
無邪気で純粋だからこそ、常に大人の予想を超える行動をとる子どもたち。特に小さいうちは本当にかたときも目が離せません!
ただ、大切な我が子に危険がないようにどんなに心を配っているつもりでも、ふと気づいたら見失いそうになっていた、思わぬところでいたずらをしていた…なんて経験を持つ方はきっと多いのではないでしょうか。
幼い娘とはぐれた人生最悪の1時間が、Buddy Tagを思いついたきっかけです。
と話すのは、開発者のウィリーさん。
ある日、遊園地で迷子になってしまったウィリーさんの愛娘。普段言い聞かされている通り「はぐれた時は警備員と一緒に動かずにウィリーさんを待つ」という約束を守ったこともあり、1時間後に無事再会できたそうですが、さまざまな不安を感じたといいます。
親の姿が見えないパニック状態の中で、小さな子どもが常に正しい行動ができるとは限りません。普段から『知らない人と話してはいけない』と教えているからこそ、周りを頼れるかもわからないし、携帯電話を持たせるには幼すぎます。
「Buddy Tag」があれば、好きに動き回る自由を与えながら行動を把握でき、子どもたちが不安な時は、ただボタンを押すだけで親とつながることができます。時と場所を選ばず、幼い子でも使いこなせるところも魅力のひとつですね。
ウィリーさん
実際に利用した保護者の声も印象的です。4人の子どもを連れて遊園地に来ていたというお母さんは、
興奮してそれぞれが勝手に走り回る子どもたちを見るのは、本当に大変だし気が休まりません。Buddy Tagがあることで、便利なのはもちろん、私自身が少し安心できます。
と話しています。
日本にも子ども用の携帯や、スマホのアプリなど様々な防犯グッズがあります。最近ではGPS付きの靴が国内外で販売され、子どもの誘拐が大きな社会問題となっている中国では飛ぶように売れているそう。
そして小学校では「地域の不審者情報」が届くメール配信を勧められ、子を持つ親たちは、子どもへの防犯対策は本当にきちんとすべきだと実感することが多くなりました。
しかし一方で、子どもの自立を考えた時に、「保護」と「監視や管理」のバランスをとることも大切です。
常に子どもの位置を把握するべき?
小さな子どもに携帯電話やスマホを持たせてよいもの?
きっと読者のみなさんの中でも、意見が分かれるかもしれませんね。
「Buddy Tag」は「一番大切なのは親の目」という考え方のもとでつくられています。子どもの身に起きたアクシデントを知らせて親の保護をサポートすることで、機器に頼りきるのではなく、親と機器が“一緒に”子どもを守ります。
親が小さな命を常に自分の目だけでしっかり見守ることは、当たり前の責任ではあるもののとても大変なこと。
そんな親の役目を助けることで子どもの安全も守る。自分自身の体験に基づいたアメリカのパパの素敵な発明は、日本でも自然に浸透する可能性があるのではないでしょうか。
[via GOOD, myBuddyTag]
(Text:佐々木はる菜)