今や私たちの生活に欠かせないペットボトル。分別してリサイクルするのは当たり前になりつつあるが、よく考えてみると、蓋が何度も開閉できる便利なボトルを一度で捨ててしまうのは、かなりもったいないことをしてるのでは?今の季節なら、1日で500mlボトル2本なんて軽くあけてしまう。
そんな無駄遣いにストップをかける試みが、この秋からスタートするという。ペットボトルのリユース実証実験だ。
この実験は、以前から環境省が調査を進めていた「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」の一環で行われる。スーパー数店舗でリターナブル用に作成したボトルにミネラルウォーターを入れて販売、回収し、ボトルを洗浄した後、再度販売する。回収時には、返却のインセンティブとして20円程度を返却する仕組みだ。この実験をとおして、気になる衛生面やコスト、回収率について消費者アンケートを交えながら検証を行うという。
「リサイクルしていれば環境にやさしい」と思われがちなペットボトル。しかし、リサイクル時に排出されるCO2のことを考えると、やはりリユースした方が環境負荷が軽減される。実際、ドイツの調査では資源消費や温室効果ガス排出量について、ペットボトルをリユースして15 回使うと、リサイクルに比べ約半分の環境負荷であるとされている。
ドイツやオランダなどの環境先進国では、すでにリターナブルペットボトルなどの導入でリユースが進んでいて、環境省も視察に出ている。しかし、日本において一番ネックになると思われるのは、やはり日本人の衛生観念。一度使われたペットボトルは、ビンと違いその柔らかさから吸着性があり、匂いも残る。たとえば飲料以外のものを詰め替えて使われることもあることを考えると、消毒すれば大丈夫なのか不安に思ってしまう。
実験結果そのもの以上に、日本人の安全性への不安を取り除くような結果の「伝え方」がこの実験のカギになるだろう。