地球温暖化防止が叫ばれて久しいが、実際に地球の気温が上昇すると、どこで何が起こるのだろう?そして、私たちの生活にどのような影響があるのだろう?これら問いに対するひとつの答えが示された。平均気温が4度上昇した際の地球の姿をビジュアルで見せてくれるシミュレーションマップが英政府から発表されたのだ。
百聞は一見にしかず。まずは以下の地図をじっくりと見てほしい。
地球の温度は一様に上昇するわけではなく、陸地は海洋部分よりも早く気温が上昇する。地球全体の平均気温が4度上昇する場合、地上の気温は5.5度も上昇すると予測されており、水不足・農作物の生産減・干ばつ・森林火災・海面上昇など、深刻な影響がもたらされる。たとえば、アマゾンの熱帯雨林は、山火事の発生や過剰な農作物の生産の影響で消失し、砂漠化が進む。各地では、飲み水が不足し、干ばつによる生産減で食糧不足が深刻化。北極・南極の氷が解け、海洋レベルが上がり、東南アジアの島々が水没したり、インド洋・カリブ海・太平洋沿岸では、サイクロンが多く発生し、甚大な被害をもたらす可能性がある。異常高温が人体に悪影響を及ぼすリスクも見逃せない。
この地図は、英気象庁ハイドレーセンター(Hadley Centre)が過去20年間の石炭の使用量トレンドをベースに予測したものだ。現状のペースで化石燃料の消費が伸び続けると、最短で2060年までに、地球はこの地図のような姿になるだろうと警告している。
この世界地図は、気候変動という我々が今直面している課題の大きさを示すもの。この地図が現実となるリスクを軽減するために、世界全体で協力し合うことが不可欠だ
英外相デヴィッド・ミリバンド(David Miliband)はこのように述べ、英国としても気候変動対策に積極的に取り組む姿勢を強調している。12月9日からデンマーク・コペンハーゲンで開催される気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)まであと1ヶ月を切った。世界のリーダーたちはこの地図を肝に銘じ、COP15で実りある成果を上げてほしい。また、私たちひとりひとりも、50年後の地球をこの地図で表された姿にしないための具体的なアクションを、今、この瞬間から実行していく必要があるだろう。
地球の気温が4度上がったときの姿を動画で観てみよう