長く続いた今年のカンヌ受賞広告、
今回で終わりにします(きりがない!)
最後にご紹介するのは、
既成概念をうち破り、未来への指針を示した広告に
与えられる「チタニウム・ライオン」からです。
●OBAMA/BIDEN PRESIDENTIAL CAMPAIGN
大統領候補として立候補した当初は、
大統領選挙史上もっとも可能性がない候補と
されていたバラク・オバマ。
そんなオバマ氏を大統領に導いた、
ソーシャルメディアをいち早く活用したキャンペーンが、
チタニウムとインテグレイテッド部門で
グランプリを穫りました。
もちろん政策やスピーチなど、
オバマ氏本人の実力もありますが、
短期間で目的を達成できたのは、
キャンペーン戦略によるところも大きいと思います。
日本では選挙でインターネットを
使うことは制限されていますが、
ソーシャルキャンペーン史上最大の成功例として、
学ぶ価値はありますね。
●Trillion Dollar Campaign(he Zimbabwean Newspaper)
2008年、ハイパーインフレにより
ボロボロになったムガベ政権のジンバブエ。
そのありさまを伝えていた新聞
「the Zimbabwean Newspaper」の
ジャーナリストたちは、
国外追放の憂き目に合いました。
ジャーナリストたちは国外から
新聞を届けることで新聞の発行を続けますが、
ムガベ政権はその新聞に55%もの贅沢税を
かけるという圧力を加えました。
ジャーナリストたちはそれでもめげず、
紙くず同然になった紙幣をポスターなどに使った
広告をイギリスや南アフリカで展開し、
ジンバブエの実態を伝える新聞を国外で販売
したのです。
ジャーナリストたちの不屈の精神もスゴいですが、
(話題の)紙幣そのものを広告にするという
アイデアもスゴいですね。
公共的な広告ではありませんが、
その内容が社会的なのでご紹介しました。
広告というのはもともと物を大量に売る
マーケティングの手段として発達しました。
大量生産・大量消費が許されなくなりつつ
ある今の時代、広告の役割も変わりつつあります。
無邪気に物を売っていれば
いいという時代は終わりました。
これからはもっと、社会が抱える問題に
正面から取り組んでいくことが求められます。
これからますます、
ソーシャルな広告の動きから
目が離せなくなりそうです。