シネマダイアローグの様子
7月29日に「green mama-papa drinks TOKYO × asobi基地」託児つきシネマダイアローグをリトルトーキョーにて開催しました。
「green mama-papa drinks TOKYO × asobi基地」は、エネルギーや政治、食、暮らしについて、親同士が学び合い仲間をつくる場所。2回目となる今回は、映画を観たあとに感想を語り合う「シネマダイアローグ」を行いました。
捨てるばかりで他人ごとだったごみを、じぶんごとに変える
上映した映画は、『ヴィック・ムニーズ – ごみアートの奇跡』。世界中の映画祭で数々の賞を受賞している話題作で、アカデミー賞にノミネートもされた、ルーシー・ウォーカー監督の作品です。(DVD未発売・現在は観る機会が自主上映会に限られています。)
『ヴィック・ムニーズ – ごみアートの奇跡』
舞台は、ブラジルにある世界最大のごみ処理場。ごみ回収人たちの人生が、ある現代美術アーティストの提案により、自ら回収していたリサイクル可能なゴミをアートに仕立てることによって劇的に変化していくという、真実のドキュメンタリー映画です。
「KURASOU.」メンバーで、廃棄物をマイプロジェクトとして活動している有吉緑さんは映画を選んだ理由について、「捨てた物から始まる物語を追う。そんな体験をしてみることで、今まで捨てるばかりで他人事だった”ごみ”が、じぶんごとに変わるのではと思ったんです」と語りました。
“生きる”ことや“命の尊厳”を再確認する
上映後は、3つのグループに分かれ、感じたことをそのまま語り合うダイアローグに入りました。
タイトルからすると、ごみの衛生や環境問題の話だと思っていたら、まさに“生きる”ことや“命の尊厳”といったものを感じられる映画だった。とてもたくさんのメッセージをもらった気がして整理しきれないほどです。
映画に出てきた2歳のこどもを持つ母親に、とても気持ちが重なった。わたしも同じ2歳の子を持つ母として、想像を絶する状況の中での彼女の行動に胸が打たれた。
いま、わたしたちは人の人生を知ることがなくなってきたように思う。なんとなく人との関わりを避けるような。このような第三者の介入がおせっかいに感じるかもしれないけれど、いまだからこそ必要なものなんじゃないかな。
また、映画の舞台のブラジルだけでなく、実は日本にもごみが集まってくる島があるというお話もありました。
香川県の豊島は、かつてごみが不法投棄されていったことで「ごみの島」と呼ばれていて、住んでいるひとたちも(映画の中のひとたちのように)きっと諦めていたと思う。
その島にアートが島に入り、昔と今では土地も住んでいる人たちも変わってきています。この映画をみて、自分の育った地にもこんなことがあったと思い出しました。
香川県出身の参加者の方。今回はご夫婦で参加です。
その他には、「捨てる先にひとがいる。そんなこと考えたこともなかったけれど、その一歩を立ち止まることから始めようと思います」という声も聞かれました。
親が話している時間は、こどもたちは「asobi基地」でたくさんのasobiの探求。少し外を出れば、バッタや階段、いつもと違った環境だからこそ、すべてが新鮮にうつるようです。写真は、だんごむしを観察中の様子。
一見遠い外国の地で起きていることは決して他人ごとではなくて、実は自分の身近なところで起きている。映画を通じてその場にいる人たちと語らうことで、今までに自分が感じたことのない感覚や、なつかしい何かなどを呼び起こすきっかけが生まれた時間でした。
身近な行動こそ安易にしてしまうことが多い日常。少し立ち止まり捉え直したときに、新しい気づきが生まれ自分の行動へとつながっていく。そんな流れをもっともっとつくれたらよいなと思っています。
今回も、赤ちゃんが参加されました!
次回の「green mama-papa drinks TOKYO」は、2015年3月に開催を予定しています。みなさんも一緒に「じぶんごと」と、仲間を見つけにきませんか?
(Text: 藤岡聡子 / 「KURASOU.」)