ブラジルW杯の日本代表とコートジボアール代表戦で、街を歩く人が普段よりも少ない日曜日。多摩川を望めるシェアオフィスにて、「NAGAYAかわさき」と「green drinks kawasaki」とのコラボ企画「かわさきフューチャーセッション」が開催されました。
川崎市は2014年7月1日に市制90周年を迎えます。今回のイベントは、これからの2020年、そして市制100周年を目指し、「自分ごとで考える川崎」というテーマで語ろうと企画しました。
最近では東京都大田区、世田谷区、横浜市といった大都市にはさまれ、都心や横浜へのアクセスは30分以内という好アクセスもあり、子育て世代を中心に移住者が増えている川崎市。ファミリー層に人気の街として、イメージもよくなってきました。川崎フロンターレに代表される、地域に根ざしたプロスポーツクラブの地域愛を感じさせる密着度は全国でも有名です。
そんな場所で私がフューチャーセッションを開催しようと考えたのは、人口も140万人を超え、かつては京浜工業地帯で日本経済を牽引し、大手企業が拠点に構える都市でもあるのに、経済の街というイメージが無いことにありました。
また、週末となると渋谷、新宿へ出かける方が多数。しかも多摩川に沿って縦長い街で、京急・東急・小田急・京王など鉄道会社が東京方面へ横断し、地域間の立て移動は多くありません。こうした背景もあって、まずは「川崎ってどんなイメージなのか」という問いかけを投げかけることから始まりました。
急激に変わる川崎
参加者全員で車座となり、自己紹介と川崎について語っていただきました。参加者の大多数が川崎市以外からの転入者で、都内勤務や横浜勤務の方ばかり。通勤が便利だから、結婚を機に子育てを考えてマンションを購入した方や、多摩川でのチャリティーマラソンをスタッフとして運営してる方など、生活してる方のみならず川崎市以外からも参加していただきました。
その中で半数以上の方から出たキーワードは、かつてはイメージが悪かったということ。工業地帯や競馬場、歓楽街も要する川崎は、決して明るいイメージがありませんでした。しかし、この数年で川崎駅前に巨大なショッピングモールが誕生したり、武蔵小杉界隈では超高層マンションが数棟も建ち、秋には大型商業施設もできる予定で急激に街が変わっています。
今回ファシリテーターをつとめた私も都内勤務ですが、いつも川崎に帰ってくるとき、多摩川を見ると真っ暗な光景がつづきます。そんな真っ暗な多摩川で光をテーマにしたアートフェスをやってみたいと思ったのです。
昨年隅田川で見た、LEDボールを川に流し天の川を演出したイベントだったり、河川敷に光アート作品を展示したり、数日間限定のイベントでも、そこに人々がつどいあえるきっかけをつくりたいと思いました。
川崎の魅力や課題を考える
まず、参加者を3人から4人のグループにわけて、川崎の魅力や課題などについて思いつくことを付箋紙にたくさん書き出してみました。
・多摩川の活用
・中小企業訪問
・南北に長いまち
・アイデンティティ
・フロンターレ
・ペットの殺処分ゼロ
・待機児童
・商店街がある
などなど。街についてや、多摩川、地域スポーツ、行政、企業、子育てなど様々なキーワードが出てきました。各グループともに視点はほぼ同じで、地域間の交流の無さや新旧住民の交流など、課題や魅力の再発見について、だんだん方向性が見えきたように思えました。
つづいて、アイデア出し。それぞれグループの中で、ひとり代表者を残してメンバーをシャッフルしました。付箋に書かれたキーワードを見ながらグループセッションのまとめと、そのキーワードや課題から実際に何をアクションしていくのかを対話しました。
対話がまとまりビジョンが見えてきたら、模造紙にタイトル、キャッチコピー、そしてそのやりたいことをビジュアル化し、イラストのポスターにしました。
・川崎巡りスタンプラリー
・川上から川下へ
・こすぎの大学、フロンターレ、川崎大師・・・
・市長が採用するか決める
情報タンク
・川崎に役立つ有益な情報
・企業のノウハウ、地域住民の活動記録
・情報の拾い方を含め案内するキュレーター
多摩川部
・大人が楽しむ姿を子供に見せる
・ヨガ部、BBQ部。美術部、ペット部、自転車部
・キャンプ部、サッカー部、音楽部。映画部、清掃部
・ジョギング部、釣り部・・・
・同じTシャツを着てフェスを開催
3つのグループからプロジェクトが発表され、会場内に掲示。そして1万円、5000円の仮想通貨(付箋)を用意し、自分以外のグループに投票する仮想クラウドファウンディングをやってみました。
1位はダントツ人気で「多摩川部」、2位「TAMA-Pecha 360°」、3位は「情報タンク」でした。あくまでも仮想なので実際にお金は出ませんが、アイデアをより具体化しリターンも考えていけば、本当のクラウドファンディングが実現する日も近いかもしれません。
最後にチェックアウト。投票結果を共有し、参加者全員でフューチャーセッションの振り返りを行いました。
「参加してよかった」と、満足そうに語る方が多くいらっしゃいました。当初見込んでいたほど、参加者の数は多くありませんでしたが、結果的にはお互いの顔が見えるフューチャーセッションができてよかったです。またテーマが大きくぼんやりしていたので、どんな結果になるか不安もありましたが、多摩川という誇るべき資源を再発見できたセッションでした。
最後にキッチンスタジオに移動し、グリーンドリンクス。懇親会形式でより関係性を深めるとともに、今後のつながりを促す。NAGAYAかわさきの広瀬さん自慢の手づくりピザを囲みながら、みんなで楽しく語り合いました。
早くも次回開催の期待の声も多い、「green drinks Kawasaki」。次はもっといろんな魅力が発見され、川崎に遊びに行きたいという方や、住んでる方が楽しくなる仕掛けが生まれるといいですね。
(Text: 野田国広)