みなさんは自分の住んでいる街で「残念だなあ」と思うことはありませんか。とはいえ、その不満をどこの誰に伝えたらいいのかよくわからない、という方のほうが多いかもしれません。
今までグリーンズでも市民エンゲージツールとして「Give a Minute」などを紹介してきましたが、今回は今年のワールドカップや2016年のオリンピックを控えるブラジルで運用されているアプリ「Colab」をご紹介します。
地域ごとにページが
「The New Cities Foundation」が主催する「AppMyCity Prize 2013」を受賞するなど注目を集めるColabは、ゴミの不法投棄や道路の欠陥といった、街での不満や具体的な改善案を投稿できるプラットフォームです。ユニークなのは行政への評価も投稿できること。それによって行政側もしっかりと市民の声に向き合う仕掛けになっています。
その成果も少しずつ生まれている様子。例えばマナーの悪い駐車違反の車が原因で、目の見えない男性が車道を歩かざるを得なくなっていたとき、その状況を見かねた市民がColabに写真を投稿し、行政が駐車違反を重点的に取り締まるようになった、というエピソードも。現在はワールドカップに向けて「空港」「交通」「スタジアム」などのカテゴリーも増えています。
投稿されたトピックはマップ上に表示されます。
開発者であるブルーノさんとグスタボさんがこのアイデアを思いついたのは、ブラジル北東部の都市レシフェでの選挙がきっかけでした。自発的にFacebookを使って、どんな地域課題に関心があるのかを問いかけたところ、一週間でなんと5万を越す反応が寄せられます。
人びとは社会に対して声を上げたいと思っているのに、行政にそれを受け止める仕組みがない。そのミスマッチを何とかするためにつくられたのがColabだったのです。まだ公式に採用している自治体は少ないようですが、ゆくゆくはブラジルの全都市、さらには世界中への展開を考えています。
Colabの開発チームに問い合わせてみたところ、SNSのように使える点がこのアプリの一番の特徴なのだそう。同様のサービスで先行する「Fix My Street」は地図上に問題のあるところを表示してくれますが、Colabはタイムラインを軸にすることで、各地のさまざまな動きをリアルタイムで追いかけることができるんですね。
「インターネットを通じて、誰もが簡単に声をあげられるようになった」と言われながら、それが地域の行政や政治の大きな意思決定にどれだけ影響を与えることができるのか、その議論は始まったばかりです。
とはいえ市民側の意識やツールの使い方が確実に変わってきているからこそ、行政側もシフトしなくてはいけない時期にきているのかもしれません。みなさんなら、どんな課題をポストしてみたいですか?
[via FASTCOMPANY, the guardian]
(text:大久保咲希)