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誰も見たことのない楽器づくりに挑戦!自然界のエネルギーで大合奏する「音楽水車プロジェクト」

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わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

みなさんは、水車を近くで見たことはありますか?
水車は、水流を利用し、歯車が回ることで小屋の内部に設置されたカラクリとも言えるシステムで、主に小麦をひいたり、お米をついたりする水のエネルギーを利用した働きものです。

都会では見ることも難しい水車ですが、この水車に魅せられ、壮大な夢の実現と過疎の進む地域活性化のために動き出したプロジェクトがあります。その名も、「音楽水車プロジェクト」

回転運動で自動演奏!

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「音楽水車プロジェクト」は、プロサックス奏者であり、水車をこよなく愛する岡淳さんの呼びかけのもと、アートパフォーマーやクリエーターが一丸となって始まりました。

そのプロジェクトの第一弾として作られた楽器「種まきMILL」は、回転運動を生かした木製自動演奏オブジェ。名前を聞くだけではまったく想像できないようなこのオブジェですが、その仕組みは水車と一緒です。オブジェに取り付けられているハンドルをぐるりと回してみると数個の歯車が異なる速さや向きで回転、からくりが動きはじめます。

からくりにはそれぞれ、「吹く」「はじく」「叩く」など、演奏にかかせない音の出る仕組みが組み込まれています。

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大きな歯車が一回転するごとに大小様々の歯車がそれぞれの回転数で音を出すというしくみ。綿密な設計のもと一回転でワンフレーズの音楽が奏でられます。

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下から爪を持ち上げることで竹筒があがり、落ちる勢いで「ぽん!」という音が響くからくり。

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竹笛装置は風船から送られる空気で鳴ります

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見ていても楽しい打楽器からくり。竹のやさしい音が響きます。

11月9日に開催された芸術祭「神戸ビエンナーレ」では、種まきMILLはその全貌と、岡さんのサックス演奏とのコラボを披露し、見事、準優勝を果たしました。

今回の作品のコンセプト、「音楽を奏でる水車」の実現の第一歩として名付けられた「種まきMILL」のまさに快挙でした。

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神戸ビエンナーレでの舞台にて

水のサイクルの中でまわる水車は、循環の象徴

種まきMILLにかける思いについて、プロジェクト発起人である岡さんに伺いました。

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プロサックス奏者であり、このプロジェクトの発起人である岡淳さん

学生のころ、三鷹にある「新車」という水車を見にいきました。そこで水の循環でいくつもの仕事をする水車のからくりに魅了されました。衝撃でした。以来、機会があればその土地の水車を見に行くようになりました。

山に降った雨はやがて野山に川をつたい落ちます。その川に流れる水のエネルギーで水車は回る。その水はやがて海にいき、また循環する。水のサイクルの中でまわる水車は循環の象徴だと思ったんです。

プロサックス奏者の道を選ばれてからも、水車への想いは尽きなかったと岡さんは言います。

自分の大好きな音楽を、自然の力だけで奏でるにどうしたらいいのか。

模索しながらも、多忙極める中、3.11の震災が起きました。縁ある地、岩手へジャズ仲間たちと復興演奏に通う中で、地域活性のために音楽を奏でる水車の実現が役立てないかと思うようになったそうです。

そんな時、神戸ビエンナーレアートステージコンペディションの出場募集を知った岡さん。まず、ここに挑戦したいと思い、色々な人に歯車を使った誰も見たことのない楽器を創りたいと相談されたそうです。

まもなく、新潟大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレに出展された田島征三氏の作品「どうらくオルガン」の製作チームのアーティストの面々とつながり、あっという間に今回のプロジェクトは形になっていったそうです。

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鉄や竹などそれぞれの素材に熟知したアーティストたちが各所を担当。

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オブジェが奏でるのは岡淳さんオリジナル曲「パンプキンシード」。
音の調整からタイミング、演奏など音楽部分を岡さんが担当されました。

水車を囲んで音楽を楽しむ広場の実現に向って

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自然豊かな岩手県縁の地。音楽水車プロジェクトの最終的な目標はこの地に音を奏でる水車を建てることです。

種まきMILLの制作は将来、岩手の地に水車を作る構想の第一歩でした。神戸ビエンナーレに出場し準優勝したことでまた目標に近づいてきたと実感しています。

今は岩手に候補地もあがり、助成金など色々なことを準備している段階です。地域の方やアーティーストに音楽家、みんな巻き込んで水車を建て、そこで人と水車のコラボレーションコンサートなど開催していきたいですね。継続的に人の集まる場所になればと思っています。

「水の循環で、水車は音楽を奏でながら回り、中ではそばの実を粉引きしてそばを作って、みんなで音楽聞きつつ食べたら楽しいよね」と岡さんは笑います。そんな夢のようなプロジェクトは一歩一歩実現へと向っています。

音楽水車プロジェクトでは、現在も岩手の水車実現に向け、サポーターを募集しています。サポーターへのお返しとして、神戸での実際の演奏パフォーマンス&メーキングを収録したDVDや、種まきMILL完成打ち上げパーティーへの招待など、実物に会える嬉しいリターンも付いてきます。

岩手の自然の中で回り続ける水車の誕生に、あなたも参加してみてはいかがでしょう。