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採れたての野菜が余ったらSNSへ!貧困層と家庭菜園をつなげる「Ample Harvest.org」[おすそわけSNS]

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全4回のシリーズ「おすそわけSNS」は、ソーシャルメディアが食の情報や、食事そのものを人々とシェアする媒体になることで、「わたしたちの食生活に、どんな変化が起きるの?」について探っていくインターン鈴木くんのマイ企画です。

突然ですが、みなさんはアメリカ全体で、どのくらいの貧困層がいると思いますか?実は5,000万人もの人々が、毎日の食事の確保に苦労しているといわれています。 (2012年、アメリカ国勢調査局の調べによる。)

彼らの多くは、フードバンク(企業が、市場で流通出来なくなった食品を配給する活動)に頼って生活をしているのですが、なかなか新鮮で栄養価が高い食べ物を手に入れることができません。

今回は、こういった「貧困問題を解決しよう!」と、Gary Oppenheimer(以下、ゲイリーさん)が立ち上げた「Ample Harvest.org」を紹介します。ゲイリーさんは、ウェブサイトやiOSアプリを使いながら、毎日の暮らしに困っている人々へ、新鮮な野菜を配給する活動をしているのです。

5,000万人の貧困者と、4,000万人の家庭菜園

新鮮で栄養価にすぐれた野菜を配給するため、ゲイリーさんが目をつけたのは、アメリカ国内に4,000万人いるといわれる、家庭菜園に取り組む人々でした。

彼らの多くは、庭で野菜を栽培する一方、食べきれずに余ると友人に配ったり、それでも食べきれないものはコンポストにしたり、ゴミとして捨ててしまっているのです。この事実を知ったゲイリーさんは、子どもの頃にお母さんから言われたことを思い出しました。

僕が生まれた頃は、第二次世界大戦が終わってすぐだったので、ヨーロッパには多くの人が食事に困っていました。母は、僕が食べ残しをすると、「残さず食べなさい。それを食べられないで死んでいく人が、いっぱいいるのよ」と教えてくれたんです。

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ゲイリーさん

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ゲイリーさん自身も、家庭菜園で野菜を育てることが大好き!

「貧しい人たちにも、豊かな食事を楽しんでほしい!」と決意したゲイリーさんは、家庭菜園で余った野菜を配給する「Ample Harvest.org」を、2009年にオープンします。

ウェブサイトとiOSアプリを用いたメディア戦略も功を奏し、現在までに6,000ヶ所を超える野菜の”供給地”が生まれています。さらに、アメリカ大統領夫人のミシェル・オバマさんも、その著書で太鼓判を押しています。

もしあなたが、「収穫した野菜や果物を寄付したい」と考えているならば、「Ample Harvest.org」に連絡することをオススメします。彼らは、ローカルに野菜栽培に取り組む人々に、その野菜を配給する場所や機会を与えているのです。(「American Grown」より)

かつてコンピューター業界で働いていたゲイリーさんは、2010年にiOSアプリも制作。困っている方が、自分の住んでいる場所に近い供給所をスマートフォンで探せるようになっています。

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もちろん、ZIPコードを打ち込んで検索をすることもできます。

新鮮なままに野菜を届けるため、ゲイリーさんが考えた方法とは?

今までのフードバンクでは、扱うものも缶詰など保存食品ばかり。また、コミュニティでの認知も低く、地域ぐるみの活動になりにくい状況がありました。そこでゲイリーさんは、「支援者から集まった食品を配給する流通システムに障害がある」と考えるようになったのです。

これまでは、寄付された食品を一度大きな倉庫へ集め、そこから全米約30,000ヶ所の供給所へ運んでいました。倉庫で新鮮な食べ物を管理するには、多額の設備投資が必要で、野菜や果物の配給は難しい仕組みになっていたのです。

そこでゲイリーさんは、家庭菜園で収穫された野菜を、人々が直接供給所に届ける仕組みをつくりました。「Ample Harvest.org」は、供給所の管理と仲介に専念し、野菜を預からないので、新鮮さを損なうことなく野菜を届けることができます。

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倉庫を経由しないで、供給所へ!

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家庭菜園をする人々が、直接、供給所まで運びます。

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ニューヨークの”アーバン・ファーマー”たちも、野菜を提供しています!

この新たな取り組みは、食べ物を口にできずに困っている人々と家庭菜園に取り組む人々、それぞれのコミュニティ参加にも、良い影響を与えています。

食事がほしい方は、供給所に通うことで、配給や野菜栽培に取り組む人々と知り合い、コミュニティに参加する土壌が生まれます。一方、家庭菜園に取り組む人々も、自分が育てた野菜を食べる人々と、ふれあうことができるのです。

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多くの人々が集まる供給所。

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まるで八百屋のように、非常に多くの野菜とフルーツが並びます。

豊かな食事とコミュニティ

日本では、年間に500万〜800万トンの食品が廃棄されているといわれています。(2013年政府広報の発表による)一方で、世界中で飢餓に苦しむ人々に支援している食料は、390万トン。私たちが、いかに多く捨てているかを痛感しますね。

日本では、「セカンドハーベスト」が、品質に問題がないのに廃棄される食品を減らし、生活困窮者に配給する活動をしていますが、私たち一人ひとりができることで取り組んでいくことが大切なのかもしれません。

食料廃棄を減らすことが、コミュニティづくりにも、環境保護にも良いことだし、なにより多くの人々が、貧しい生活から抜け出す糸口になるはずです。

とゲイリーさん。

余った食べ物をおすそ分けすることは、貧困層の方がコミュニティの仲間に入り、負の連鎖から抜け出すことを手助け出来るかもしれません。都市菜園に取り組む人々が増えている日本でも、新鮮で豊かな食事を届けるプロジェクトが誕生することを期待したいですね!

(Text: 鈴木康太)

[via Ample Harvest, Huffington Post]