健康のために、環境のために、自転車を主な移動手段としている読者の方も多いのではないでしょうか? 中には、常にメンテナンスに気を配ったり、自分だけのデザインにするべく、改造をしている方もいるのでは? 今日紹介する、スペイン発の「Bicycled」は、そんな自転車愛好家にとっては、ぴったりの一台かもしれません。
「Bicycled」は、スペインのマドリッドのデザイン事務所「Lola Madrid」が手がけているプロジェクトで、廃棄自動車のリサイクル品を使って自転車を生産しています。
例えば、サドルは廃車のシートを再利用しています。
チェーンは伝動ベルトを再利用。金属チェーンと違って、かっこいいですね。
そして、反射ライトはウィンカーを再利用していて、車体の組み立ては、職人によるハンドメイドで仕上げられています。
「NGP日本自動車リサイクル事業協同組合」によると、日本でも、毎年400万台の自動車が廃棄され、それに伴う環境汚染や産業廃棄物の取り扱いは社会問題になっています。そんな廃棄自動車に、自転車を作る資源が眠っていたとは、なかなかの驚きですね。
「Lola Madrid」は
世界が直面している問題を解決するには、あれこれ言うよりも、まずやってみよう。そこで、自転車について意見を言う前に、まず作ってしまいました。 この自転車は、単なるアイデアではなく、我々が考える、理想のライフスタイルの提示でもあります。
と、プロジェクトを紹介しています。
しかし、驚くべき点は、それだけではありません。「Bicycled」は、それぞれ違う廃棄自動車の部品から作られるので、世界に一台だけのオリジナル自転車を作ることができるのです。廃棄物を利用するからこそ生まれる、唯一無二の独特のフォルムは、多くの自転車愛好家の興味をひきつけ、すでに1000件を超える注文や問い合わせが殺到しているそうです。
環境に良い乗り物を、環境に良い部品で製造する。そこに、「世界に一つしかないデザイン」という箔までついた「Bicycled」は、資源循環と人々を魅了するデザインが共存できるということを、教えてくれます。
(Text:鈴木康太)
[via springwise, inhabitat]