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「実践するウェブマガジン」としての覚悟をもつ。「greenz.jp」創刊18年目の決意表明

こんにちは。編集長の増村江利子です。
おかげさまで、2024年7月16日に、WEBマガジン「greenz.jp」は創刊18周年を迎えました。

2006年の創刊当初から「greenz.jp」を運営してきたNPO法人グリーンズ。困難な時期もありましたが、18年もの間、読者のみなさんに支えられながら歩みを進めてきました。本当にありがとうございます!

18歳の誕生日に例えるとしたら……、もう大人の仲間入りですね。自分たちの意見を社会に届ける「選挙」という仕組みにも参加することになります。どんな意見をもち、どんな社会になることをのぞむのか。より明確に、覚悟をもって、「greenz.jp」をもっと魅力的で、それぞれの人生にそっと寄り添うメディアであり続けるために。あるいは、グリーンズが事業を通じて、より良い社会に貢献していくために、これからも全力で歩んでいきます!

記事末には、(私たちにとっては)大きなご報告があります! どうぞ最後までお付き合いください。

この1年の振り返りを、ダイジェストで公開!

さて、この1年ほどでも、グリーンズは実はたくさんの挑戦をしてきました。少し振り返って紹介します。

「生きる、を耕すキャンプ」の開催

タグラインを「生きる、を耕す」に変更後、グリーンズメンバーで最初にチャレンジしたことは、「食」をテーマにしたキャンプです。埼玉の秩父にあるリトリートフィールドMahora稲穂山で、大人とこども合わせて35人、2泊3日、計6食をみんなで力を合わせてつくりました。

キャンプでは、薪を割ってかまどに火を起こすチーム、炊飯にチャレンジするチーム、猟師さんからいただいたアナグマと鹿肉の筋をひたすら削いでジビエと格闘するチーム、寸胴鍋でスープをつくるチームなど、それぞれが役割を果たし、6回のご飯を準備して食べることができました。

調味料の持ち込みは最低限。ご飯は竹飯盒で炊き、野草の先生からレクチャーを受けて野草を摘んで調理をしたり、近所の農家さんから栗をいただいてきたり。猟師の方から「いのちをいただくこと」についてお話しを伺い、生ゴミはコンポストにしてゴミは極力出さないことにもチャレンジしました。3日間ひたすら「食」に向き合って、途中は疲れて静かになったり、キャンプ後は体調不良でおやすみをとる人も続出…(笑) 「生きるって大変!だけど楽しい」を実感したキャンプとなりました。

連載「暮らしの変人」開始

2023年5月に始まった新連載「暮らしの変人」。

これからの「あたり前」は、いまの「変」。愛を込めて「変人」と呼ぶ人たちとの出会いを通して、あたりまえだと思っていた価値観や暮らしの概念をガラッと変える、そんな取材ツアーをこれまで6回ほど開催してきました!

エコビレッジ「サイハテ」発起人の工藤シンクさんに始まり、糞土師の伊沢正名さん、南伊豆ニュービレッジの近藤ナオさん、おそうじ劇場の河辺たけひろさん、『野宿野郎』編集長(仮)かとうちあきさん、そしてグレートジャーニーの旅を終え、今度は旧石器時代の暮らしを実践する探検家・関野吉晴さん。

暮らしに直結するお金や排泄行為、そして掃除について、既存の考えにとらわれず新しい向き合い方を模索し実践してきた彼らとの時間は、私たち一人ひとりの意識と行動変容に大きなヒントをもたらしてくれるものでした。

「ピープル編集部」の開設

「暮らしの変人」の連載をはじめるにあたり、greenz people(寄付会員)のみなさんと一緒に取材に行ったり、記事をつくったりしたい! という思いから「ピープル編集部」がうまれました。

ピープル編集部のみなさんには、編集会議にも参加してもらい、取材前にテーマについて対話をしたり、ツアーというスタイルで取材に参加してもらったり、取材後には感想を共有しあったり。まさに編集部の一員として、一緒に連載を作り上げてきました。

これまではライターや編集部主体で作ってきた連載ですが、グリーンズを支えてくださるgreenz peopleの皆さんも巻き込むことで、普段のメンバーだけでは出なかったアイデアや、greenz peopleならではの視点でのフィードバックなどを得ることができました。

「生きる、を耕す本 vol.01」発行

greenz peopleのみなさんだけにお届けしてきた特典本「People’s Books」。

「People’s Books」では、greenz.jpの取り組みを、コミュニティのつくりかた、しごとのつくりかた、学びの場のつくりかた、といったテーマごとにグリーンズを棚卸しして、1冊ずつまとめてきました。(どんな本か気になる方は、こちらをご覧ください!)

これまでに9冊を発行してきましたが、greenz.jpのタグラインを「生きる、を耕す。」に変更したのを機に、グリーンズの探究の現在地をピープルのみなさんにお届けすべく、あらたなシリーズ本として『生きる、を耕す本』を発行することにしました。

第一弾のテーマは「エコビレッジという実験場」。実はこの本の制作にあたり、編集やリサーチ、校正作業などを「ピープル編集部」のみなさんにもお手伝いいただきました。第二弾の企画も始まっているので、ご期待ください!

連載「リジェネラティブ・デザイン」開始

合言葉を「いかしあうつながり」から「生きる、を耕す。」にリニューアルすると同時に、私たちが目指すべき方向のひとつとなるキーワードを新たに設けました。それが「リジェネラティブ (環境再生型)デザイン」です。

グリーンズが考える「リジェネラティブ デザイン」とは『自然環境の再生と同時に、社会と私たち自身もすこやかさを取り戻す仕組みをつくること』。

この仕組みづくりを大きなムーブメントにすることに、グリーンズ が貢献できたらと思っています。連載 「リジェネラティブ・デザイン」では、環境再生の実践者を取材しながら、再生の担い手になるためのヒントを探究しています。

「リジェネラティブ・デザイン・カレッジ」開講

グリーンズはこれまでもgreenz peopleのみなさんやスクール受講生のみなさん、読者のみなさんとともに探究を進めてきました。いまキーワードに掲げている「リジェネラティブ デザイン」もまた、同じ志を持った仲間とともに学びを深めようと、「リジェネラティブ デザイン カレッジ」を2024年3月に開講しました。

学びを深めるためのプログラムには大きく3つ。一つ目は気候変動、リーダーシップ、食、農、コモンズ、海、都市といったさまざまな分野から第一線で活躍するゲストをお呼びし、実践から環境再生を学ぶ講義。二つ目は千葉県の日向の森、東京都の高尾山、福島県の二本松市に赴き、自身の体を動かしながら五感で自然を学ぶフィールドワーク。そして三つ目は参加者同士がお互いの対話を通じて、自分はどう生きたいのか、どんなチャレンジをしたいのかを言語化するゼミです。

120名を超える参加者が集い、フィールドワークにも毎回多くの方に参加いただきました。このカレッジをを起点に新しいムーブメントを起こしていきたいと考えています。

「リジェネラティブ・ツアー」開催

リジェネラティブをキーワードに連載やカレッジを展開していますが、スタディーツアーも始めています。

舞台は熊本・阿蘇の草原。この地で行われる毎年春に枯れ草を一斉に焼く「野焼き」が、一万年以上にわたり広大な草原を保ってきました。自然の力だけでは維持が難しい草原に、人が長い年月をかけて手を入れながらつくってきた環境なのです。

2023年12月に第一弾を開催したツアーは毎回人気を博し、2024年8月24日〜25日には第三弾が開催されます。今回は「生物多様性」をテーマに現地フィールドワークを予定しています。この時期にしか体験できないプログラムですので、ご興味ある方はぜひご参加ください。

「WORK for GOOD」リリース

グリーンズでは2017年から採用&キャリア支援事業「グリーンズジョブ」を開始し、これまでに延べ100社以上の求人記事を掲載してきました。

近年では経済性と公益を両立する企業に与えられる認証「B Corp(B Corporation)」普及に向けた動きが国内でも広まるなど、持続可能な社会に向けた事業に取り組む企業が増えています。同時にグリーンズの活動を通して、求職者側の「社会に役立つ仕事がしたい」という声も多く耳にしてきました。しかし、国内ではそうした個人と企業がマッチングできる場が十分にないのが現状です。

そこでグリーンズはさらに多くの企業を紹介し、なおかつスカウト機能を備えた求人サイト「WORK for GOOD」を2024年5月に公開しました!

本サービスを通じて社会的な事業に関わる人材の流れを生むことにより、持続可能な社会の実現に向けた動きがより一層加速していくことを目指していきます。

2025年春、グリーンズ編著『リジェネラティブ デザイン』発売決定!

この節目に(私たちにとっては)大きなお知らせとなりますが、グリーンズ編著の書籍『リジェネラティブ デザイン』が、英治出版より発売決定いたしました!

リジェネラティブをキーワードとする連載はもちろん、2024年3月に開講した「リジェネラティブ デザイン カレッジ」や、スタディーツアーなどでのグリーンズ自身の学びを、書籍というひとつの形に昇華します。

これからの時代を生きるために必要な哲学として、リジェネラティブ デザインを体系化し、書籍を通じてさらなる実践を生み出すことに寄与できたらと考えています。

まだその全貌をお伝えすることがかなわないのですが……、みなさんのご期待に応えられるよう、全力でのぞみます!どうぞお楽しみに。

18年目の決意表明。「実践するウェブマガジン」へ

実は、プチアップデートとして「実践するウェブマガジン」という言葉を使い始めました。(詳しくは、NPO12期活動報告の記事へ)

環境問題やローカルの課題を扱うメディアが増えたなかで、greenz.jp はどんな立ち位置で、何を届けるのか。少なくとも、「情報を出して終わり」にせずに、メディアを運営する私たち自身が本気で実践しなければ、少しも伝わらないのではないか。どれだけ個人の意識が変わって、実践につながったかといった「個人の実践と変容」は生まれないのではないか。

だからこそ、「実践しようよ」と言うだけでなく、「自分たちが実践者である」こと、つまり「言行一致」を greenz.jp の哲学にして、より説得力をもって、本気で、読者に届けたい。「実践するウェブマガジン」とは、そんな態度表明でもあります。

何かしらの個人の探求が、やがて社会を変えていくことを、私はあきらめません。むしろ、個人の切実な思いでしか、変わらないのではないかとさえ思っているのです。

これからも、greenz.jp の歩みを見守っていただけると嬉しいです。