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「生きる、を耕す。」ために必要なことって、なんだろう?をみんなで考えたーgreenz.jp17周年記念 green drinks Tokyo 【イベントレポート】

2023年7月16日に、WEBマガジン「greenz.jp」は創刊17周年を迎えました。
これを機に、WEBマガジン「greenz.jp」の合言葉が「生きる、を耕す。」に変わりました。

「いま必要なのは、それぞれの人が、生きかたを耕すことなのではないか。そんな『生きる、を耕す。』という言葉に込めた想いを、読者の方へ共有したい。」

7月末の夜、都内にて、そんな思いとともにNPO法人グリーンズ代表・植原正太郎と新編集長・増村江利子、さらに2名のゲスト、スタッフ含め40名以上の参加者とともに「green drinks Tokyo」が開催されました。今回はそのレポートをお届けします。

フードやドリンクを片手に社会問題を語らうイベント「green drinks」

トークゲストは、環境そのものを耕し、改善する「大地の再生士」のWAKUWORKS株式会社・佐藤俊(さとう・しゅん)さん、有機農業を先端IT企業などとともに実験事業として取り組み、社会性と経済性の両立を目指す「ゼブラ企業」を応援するゼブラアンドカンパニー共同創業者・ユートピアアグリカルチャー プロデューサーの阿座上陽平(あざがみ・ようへい)さんのおふたりです。

左からグリーンズ共同代表・植原、佐藤さん、阿座上さん、greenz.jp編集長・増村

「green drinks」とは、イギリスのロンドンで始まって現在は世界500都市以上で開催されているソーシャルイベント。自分たちのまちや社会のこと、ローカル経済について、フードやドリンクを片手に楽しく話し合う場にしようという場です。日本では、これまでのべ100ヶ所以上で行われ、グリーンズが2007年から開催している「green drinks Tokyo」も、コロナ禍で3年ほど休止していましたが、数ヶ月前からまた毎月開催するようになりました。

イベント会場は「green drinks Tokyo」ではおなじみのSHIBAURA HOUSE

今回のフードはフードディレクターで、畑や山から届く旬の食材のおいしさを伝えているコズミックキッチンの黒崎由起子さんによる美味しい料理たち。また今回は特別に、グリーンズ共同代表の植原正太郎が南阿蘇村にて有機無農薬で育てた玉ねぎとニンニクも使ったサンドイッチやチキンが並びました。

擦り下ろしたにんにくと玉ねぎを酢と醤油で漬け込んだチキンサンドイッチ。パンもめちゃウマ!

コズミックキッチン・黒崎由起子さん。この日は自らサーブまでしてくださいました

さらに今回はゲストの阿座上さんが、創業時からプロデューサーとして携わっている北海道日高町の株式会社ユートピアアグリカルチャーの、定期便でしか手に入らない「GRAZING MILK」というグラスフェッド(牧草を食べて育つ)牛乳も特別にご提供いただきました。

参加者にふるまわれた「GRAZING MILK」はクリームのようなコクと甘みがありました

美味しいフードで会場のムードもリラックスしてきたところで、トークのモデレーターを務める植原からWebマガジンgreenz.jpのタグライン(合言葉)の変遷について紹介がありました。

植原 greenz.jpは2006年7月に、創業時メンバーの鈴木菜央さんや兼松佳宏さんが立ち上げました。当時は環境まわりを中心に扱っていたので、「エコすごい未来がやってくる」「エコすごい未来がやってきた」という言葉を使って展開していました。

地球温暖化が話題になり始めた当時、出てくる情報はネガティブなものばかり。それでは社会は良くならないのではないかと、環境に対するポジティブアクションやプロジェクトを紹介していくというスタンスで始まったんですね。

今は環境系だけでなく、社会福祉などいろんなテーマを扱っていますが、長く展開した「ほしい未来は、つくろう。」に続いて、2019年からは「いかしあうつながり」に。この17年の歴史で、greenz.jpの合言葉はその時々の社会の流れに合わせて変わってきていることを感じます。

そして2023年4月、グリーンズ的にもビッグな出来事だったのですが、増村江利子さんが新編集長に就任しました。そこで、これからの時代を象徴するような合言葉の検討を重ね、発表したのが「生きる、を耕す。」という言葉です。

編集長自身の生き方から導きだされた、新しい合言葉

どうして合言葉が「生きる、を耕す。」になったのか、増村さんから、ご自身の経験や現在の暮らし方を交えてお話いただきました。

増村 私は今、長野県の諏訪郡富士見町に暮らしています。「生きる、を耕す。」という言葉に行き着いた背景には、さまざまな思いやこれまでの試行錯誤があります。

例えば、2011年の東日本大震災。この時の津波による被害に大きなショックを受けました。そして、原発事故については、それまで電気というものを湯水のように使っていて、「どこでつくられて、どんなふうに送られてきたものなのか」に目を向けていなかった自分に愕然としたんです。

それから「電気って、こんなにたくさん使っていいものなんだろうか、福島の原発でつくられたエネルギーを大消費地である都市部へ運ぶという、生産と消費が離れすぎていることに課題があるのではないか」と考え始めました。「今すぐ社会を変えることは難しいけれども、せめて自分の暮らしでできることからやってみたい」と思ったんです。

増村江利子さん

増村さんは、さっそく藤野電力による「ミニ太陽光発電システム」組立てワークショップに参加し、パネルとバッテリーを持ち帰って、自分の家で実際にどんな家電が50Wで動くかの実験をしていきます。その後、冷蔵庫や掃除機といった家電を一つずつ手放していきました。

2017年、富士見町に移住した当初はトレーラーハウスを改造した小さな家に居住していましたが、家族5人でも「もっと小さくできる」と考えていたタイミングで現在の家を購入。

長野県富士見町にある現在の自宅。あらゆる生活家電を手放し、少しずつ手を加えながら約9坪の小屋で暮らしています(撮影:砺波周平)

お風呂とトイレは別棟、9坪の平屋に薪ストーブと小さなキッチンとリビング、ロフトスペースに布団を敷いて寝ています。小さな空間なので、持ちものも厳選。洋服も、たくさんの服を着まわすことがおしゃれという考え方に疑問を持ち、最低限の枚数に。
冷蔵庫のないキッチンでは、調味料も減らして、砂糖、塩、酢、醤油、味噌の他は、ブラックペーパーとカレー粉のみに。ゴミやトイレもコンポストにするなど、徹底しています。

増村 社会のあり方はもちろん、自分自身の働き方も暮らし方も、あらゆる角度から疑問の芽を持って、それを育てて、「もしかするとこっちなんじゃない?」みたいな試行錯誤を重ねていくことが今、必要なんじゃないかなと思っていて。そうした思いを「生きる、を耕す。」という合言葉に込めました。

「生きる、を耕す。」で目指す社会(イラスト:蒲沼明さん)。まちよりも自然が多いのが特徴で、自然のなかに動物や鳥、魚といった生き物がたくさん。人はそんな自然に寄り添う存在でありたいという思いで作成されました。会場には長野から作者の蒲沼さんも来場。「一つ一つに結構ストーリーを込めて描かせていただきました(蒲沼さん)」

「いかしあうつながり」と「生きる、を耕す。」でイラストがどう変化したのかを興味深く見るトークゲストの2人。後に会場内でも回覧され、みなさんじっくりとイラストを見比べていました

2019〜2023年の合言葉「いかしあうつながり」を表すイメージイラスト(イラスト:Yoneさん)

佐藤俊さんが考える、人と自然の両方が活きる環境再生の心地よいありかた

今回のトークゲストは、既存の常識を疑いつつ、より良い社会や自然環境のあり方を実践されている2人。「これからの時代を生きるために必要な感覚やリテラシーのヒントを得られるのでは」と期待しつつ、まずはそれぞれの活動のご紹介をいただきました。

佐藤俊さん WAKUWORKS株式会社 専務取締役 造園技師 / 大地の再生士
1975年新潟県生まれ。日本大生物資源科学部(現)で森林資源や造園などを学んだ後、鎌倉、京都で庭師の修行を経て、2004年より庭師植旬(うえしゅん)として活動。あわせて造園技師矢野智徳の元で、環境再生の手法「大地の再生」を学び、2021年よりWAKUWORKS株式会社にて、環境を育む土木建築造園の設計施工を実践中。子どもや教育関係者〜企業研修の講師も数多く担当、人と自然が調和する環境〜暮らしづくりの担い手育成にも力を入れている。木々の声を聴き、風を読み、大地の呼吸を感じる。自然の循環と再生を目指して常に「ワクワク」を大事にしながら、一つ一つの仕事や作業に取り組んでいる。

佐藤さんは造園業に携わり、10年前から環境整備の仕事をスタート、現在は「環境再生」という活動を行っています。

佐藤さん 例えば、地球を人間と考えて、人間と同じ血管が通っているとしたとき、血管に詰まりがあると流れが滞ってしまう。環境再生とは、その血管を気持ちよく動かしてあげることによって健やかに育って元の形に戻っていく、そんな活動のことです。

建物を建てるとき、その大地の環境を考慮せずに、流れを塞いで建物を建てると、どうしても自然を傷めてしまうんですね。その部分を、建物を建てる前から環境整備をすることによって、場が整って気持ち良い空間にしていく。そんなふうに「環境と建築をワンストップで提案しながら、人々の感覚が取り戻されるきっかけになれば」という考えで活動しています。

目に見える地上だけでなく、地下にどんな流れがあるか?を考える「環境再生」の手法

日本各地で行われている「環境再生」の活動事例として、京都の貴船神社、川崎のタケノコ農家、屋久島の家屋など、写真を交えてご紹介いただきました。

他にも、「コンクリートを取り壊して風通しを良くし、家から樹木を見たい」といった要望があれば、借家の一戸建てにも施工が行われています。

佐藤さん この場所では施主さんだけでなく、地域の人たちが集まっておにぎりをつくったりして、一緒に場を盛り上げてくれました。「環境再生」の工事をすることで、自然だけでなく、地域と繋がって一体化していくんです。それまで無関心だったまわりの住民が「何をしてるんだろう?」とちょっと顔を出して輪が広がっていく。場所と対話して工夫を重ねることによって、自然も人も心地よい暮らしをしていく。それが僕らが行っていることです。

コンクリートブロックに覆われていた一般的な住宅を、地域住民と一緒に再生していった例

佐藤さんは、「環境再生は、現代土木の手法と共存し、今の環境に合った考え方を考えることであり、現状を否定する行為ではない」と言います。その方法を試行錯誤を重ねながら施工するほか、環境再生のワークショップや研修活動なども行っています。

阿座上陽平さんが目指す、未来の地球環境を考えた実験をしながら、経済として成り立つ事業づくり

阿座上さんからは、「自然や動物、人のあり方を捉え、そこにどう介入するか? というアプローチは増村さんや佐藤さんと方向性は同じかな」と前置きをしつつ、事業プロデューサーとしてのご自身の活動についてお話しいただきました。

阿座上陽平さん
ユートピアアグリカルチャー プロデューサー
ゼブラアンドカンパニー 共同創業者/代表取締役
早稲田大学商学部卒。メディア企業、デジタルエージェンシーを経て、菓子の製造・販売を行うBAKEに従事し成長に貢献。BAKE時代より事業を共に作ってきた長沼真太郎の再チャレンジに際し、ユートピアアグリカルチャーなどの事業プロデュースを行う。個人では社会課題の解決と持続的経済性の両立を目指す「ゼブラ」の考えに共鳴し、2021年にゼブラアンドカンパニーを創業。

北海道日高町にあるユートピアアグリカルチャーに創業時から携わってきた阿座上さん。同社では、地球、動物、人に優しい牧場運営と実験を行い、その材料を使った美味しいお菓子をつくっています。以前から菓子製造事業と関わっていた阿座上さんですが、なぜ牧場経営まで手がけるようになったのでしょうか?

阿座上さん 牛乳を生産する酪農や畜産といった分野は、温室効果ガスのかなり大きな原因になっていると言われていて、特に欧米では牛乳を飲まない方がすごく増えています。

僕たちのベースはお菓子屋さんです。もちろんビーガンの方や事情がある方もおられますが、やっぱり美味しい牛乳で作った乳製品、バターや生クリームを使った美味しいお菓子を続けたい。でも、このまま環境のことを考えていくと、次の世紀にこのお菓子を残せないのではないか、と思ったんです。

だから、自分たちで牧場をつくって、牧場のなかで温室効果ガスを吸収するという実験をして、その牛乳を使ったお菓子をつくることで、これからもずっと美味しいお菓子をつくり続けられないかということをテーマにしています。

放牧によるサーキュラーな飼育によって、飼料を輸入する必要がなくなり、CO2削減にも役立つ

ユートピアアグリカルチャーが今、行っている実験のひとつが、「FOREST REGENERATIVE PROJECT(フォレスト・リジェネレーティブ・プロジェクト)」です。

阿座上さん 札幌の駅から30分ぐらいで行ける森林地帯に土地を取得しました。生物多様性も含めて、いわゆる牧草地ではなく、森の中で牛や鶏を育てて、森を蘇らせ、温室効果ガスの吸収と農業の事業性の両立ができないかという実験も行っています。

札幌市内・盤渓山のなかにつくられた「多様な動物と植物による森の活性化」のモデルファーム

見た目も美しい建築家による平飼い鶏用にカスタマイズされたビニールハウス。鶏たちも活き活きとうれしそう!?

ユートピアアグリカルチャーで農場運営などの実業をプロデュースしてきた阿座上さん。2021年には株式会社ゼブラアンドカンパニーという会社を立ち上げ、大企業や大学、行政を巻き込んで社会実験を行っています。

阿座上さん 自己紹介の最後に、本を出したので紹介させてください。僕が代表を務めるゼブラアンドカンパニーは、社会性と経済性を両立するような会社をゼブラ企業と名付けて、どうしたらそういう企業がより成長できるのかを考え、行政や金融機関と協力して支援する仕組みをつくったり、自分たちでも投資をしてゼブラ企業の支援を行っています。そうした「ゼブラ企業」をまとめたガイドブック、『ゼブラ企業カルチャー入門』が出版されました。

ポップな表紙がかっこいい阿座上さん最新刊「ゼブラ企業カルチャー入門」ユートピアアグリカルチャーの濃厚牛乳はサブスクリプション形式で全国に届けられています

「生きる、を耕す。」ために大切なこととは?

それぞれ地に足のついた着実な歩みを経て、現在に至っている3人。トーク後半では、進行役のグリーンズ共同代表の植原が加わってのクロストークが繰り広げられました。

植原 お聞きしてみたいのは、個人の生き方だったり、感覚についてです。みなさんの今の活動や生き方に行きつく、最初のきっかけはなんでしたか?

佐藤さん 僕は、ずっと造園をやっていたのですが、造園の世界は、木をあまり大事にしない傾向もあって。木が枯れたら植え替えたらいいとか、これから建物が建つから全て抜根したほうがいいなどが当たり前の世界なんです。そこに問題意識があって、先輩方にいつも「これでいいんですか」って聞いていたんですね。

もともと、高校・大学で環境問題や温暖化について学んでいて、実際に自分の手でどうにかできないかという思いで造園の世界に進んだのですが、ずっとその部分には答えが出ないままで。

そんなときに師匠である「大地の再生」の矢野智徳さんに出会ったことが大きなきっかけになりました。大地の再生では、地面の下の空気を重要視するのですが、それまで地面の下についての視点を持っていなかったので、世界が何倍にも、立体的に広がりました。

阿座上さん 僕は、小学校5年生ぐらいの時に、授業で「酪農と農家が減っている」と習ったことがきっかけかなと思っています。「毎日美味しいものを食べているけど、このままでいいのか、食の生産にまつわる課題はどうやったら解決できるんだろう?」って思ったんですよね。

その後10数年経って、「スクーリング・パッド(世田谷ものづくり学校(IID)にあった社会人スクール)」の農業学部で授業を受けたんですが、そこで農家の人と関わってみると、当時25歳ぐらいの僕では、この課題は「全然太刀打ちできない、解けないな」と。

そこから時間が経って、美味しい牛乳を使いたいから放牧酪農の人たちに話を聞き始めて、自分たちで酪農するかもしれないとか、いろんな話が出てきたんです。だから、難しい問題を解けるようになりたいという思いが、僕が今ここで登壇している理由かな。

何かをするにはいろいろなリソースが必要で、特にお金と、つくったものを売る力がすごく重要だと思っていて。社会人になってからの経験でそうした力が培えたのは良かったかなと思います。

植原 やっぱり、お金と、つくったものを売る力がセットであるからこそ課題が解決できる。

阿座上さん はい。どんなに価値があるものをつくっていても、「知ってもらえない、売れない」は、「ない」と同じになってしまうので。ビジネスも、お金稼ぎというよりも、売れる、買われるということは、イコール「応援してくれている」に近いと思うので、そうした応援の気持ちから食の生産の課題とその人の暮らしを繋げることができたのは、よかったなと思います。

増村 それはすごく価値がありますね。「難しい問題を解けるようになる」というその難しさは、 具体的に言葉にするとどんなところですか?

阿座上さん 1+ 1=2や掛け算のような単純な計算では解けない複雑な数式をいくつか使わなきゃいけない問いを解いてるような状況かな。

森もそうですが、事象って一つではないと思うんですよね。課題に対してその一つのポイントに対してアプローチしても、実はそこだけではなくて。もっと大きな変化のポイントがあるはずなので、その全体像を把握した上で、どこに介入できるか。また、その介入できる分野で、自分の力があればそれもやりますが、そうじゃなければ、誰を連れてくればいいか。

その全体像が分かって、解決の方法を導いて、その解決に必要な力を連れてくるようなことでしょうか。複雑なものを解決するにはみんなの力が必要なので、それのやり方が分かってきたということなのかなと。

増村 なるほど。自然ってそもそも多面的ですよね。機能も一つではないというか。その多面的な全体像を捉えた上で解決できるって、すごいスキルだなと思いました。

植原 例えば、山の中でどんどん木が弱くなってしまったり、藪化が進むような、目に見える問題点や課題を見つけたところから「環境再生」が始まると思うんですが、そこから、最初に取り組むことや、問題そのものを捉えるために意識していることを佐藤さんにぜひ伺いたいです。

佐藤さん 少し問いとずれるかもしれませんが、「環境再生」の視点をその地域に持ち込んだ時に、環境に対しては大切なことであっても、人に対しては結構負担になる場合もあるんです。例えば、よくあるのが「森の中にウッドチップを撒く」こと。みなさんよかれと思ってやっていると思いますが、それだけだと、実は逆にマイナスを生んでしまう可能性がある。でも、そこを人に強く言いたくはなくて。

利用する人たちがもっと利用しやすい、人間視点と環境視点を 一緒に大切に考えながら進めていかないと、私たちの考えは広がらないと思ってるんです。人と共存していく、そういった視点を大切にして、工事やワークショップを進めています。

植原 阿座上さんがすごくうなずいている(笑)
環境だけではなく、人にもいい、というところは、ユートピアアグリカルチャーとしても大事にされているところかなと思いますが、いかがですか?

阿座上さん そうですね。環境にいいだけ、動物にいいだけ、人にいいだけってやっぱり、どれも続かない。それぞれに、その時代の技術や考え方に合った良いバランスを保って、循環させていきたいですよね。

植原 最後に3人から、社会に対してや、読者のみなさんに投げかけたいメッセージがあれば、お願いします。

増村 本でも人の話でも教科書であっても、いろんな物事を、全部真に受けないで、批判的に疑ってみたり、 本当にそうなのか、一旦ちょっと置いてみることが大事だなと思っていて。「疑う」というと、あまりいい意味に聞こえないかもしれませんが、私は逆にいい言葉として、自分はどう解釈するか、自分の“ものさし”で考えることを、一つひとつ検証する作業が必要なんじゃないかなと思います。

この面から見たら確かにそうだけど、でも他の面から見たらどうなのか。そういう検証の時間や手法が足りていないのかもしれない。これからの時代、物事に対して繰り返し考えたりする、その試行錯誤のリテラシーを高めていくことがもっと必要になるのではないかと思っています。

佐藤さん 「無関心にならないこと」でしょうか。何に対しても気を向けることは本当に難しいですが、環境問題のような大きな問題に対しても、 少しでも気を向けることは大切だと思います。

ただ、それ以上に、まずは自然に対して手を触れることをやってみてほしいですね。今、草も木も、土も触らないで育っていく子どもたちもすごく増えていて。身近な自然に手で触れて、そこから自然に関心が広がっていく。未来の日本の子どもたちには、そうあってもらいたいなと本当にいつも思っています。

阿座上さん 難しいですが、僕は「遊ぶ」ことを大事にしているんです。

これは僕の言葉じゃないんですが、元陸上競技選手の為末大さんがゲームとプレイとの違いについて話していて。 ゲームにはルールがあって、プレイ、つまり遊びにはルールがない。遊びにルールがあってもいいけど、ルールの中で、ルールがないように振る舞うと、また新しい発見が出てくる。 そういう遊びの中で出てくる発見を楽しんでやってみる。

なので僕は、全部仕事も「今、遊んでます。で、発見したことをみんなにシェア」というふうに進めてます。そういうスタンスは、みんな持ってるといいんじゃないかな。真面目にやりすぎず、楽しい方がいい結果にも繋がると思います。

(クロストークここまで)

遊び心と疑う力、自然と触れること。「生きる、を耕す。」方法に正しい答えはない

「生きる、を耕す。」ために必要なことって、なんだろう?そんな問いからスタートした今回の「green drinks Tokyo」。

自分のものさしを持って、試行錯誤するとこから始めようという増村さんと、土に触れるとか、実際に自分が体験するということが大切と話す佐藤さん、遊ぶことが大事、という阿座上さん。

今までの3人のご経験からお話が導かれましたが、増村さんの感想は「生きるを耕す方法って、答えがない」というもの。

「一人ひとり、個人の関心があるところから少しずつ耕していくという方法もあるし、そこからだんだん大きな動きが広がって、自分自身の生き方や暮らしが変わっていくことに繋がっていくといいですね。」と話しをまとめ、トークセッションは終了となりました。

会場ではグリーンズ出版の本や冊子、歴代タグラインイラストの展示のほか、本の交換会なども行われました

WEBマガジン「greenz.jp」が17年という長い年月続いてきたのは、こうしてオンラインだけなく、「green drinks Tokyo」やグリーンズの学校などで、実際に編集長やスタッフと読者が関係性を深めてきたから、というのも大きい気がします。

今後は、スタディツアーとして読者のみなさんを学びの渦にもっともっと巻き込みたい、と編集長はじめスタッフも意気込んでいます。もちろん、今回登場したユートピアアグリカルチャーや大地の再生の現場も。あなたもぜひ、この渦に楽しく巻き込まれてみませんか?

(編集:グリーンズ編集部)

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