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自律のための習慣化を、主体的な他力によって身につける。みんなで暮らしのリズムを整えるプラットフォーム「Nesto」の藤代健介さんとの対話

2021年2月に「Nesto」というプラットフォームがリリースされました。公式サイトには「空間を超えて暮らしのリズムで人と人がつながるプラットフォーム」と説明されていますが、なかなか聞いたことのない内容。

「Nesto」では、日本だけではなく海外にいる人たちともオンラインでつながりながら、決まった時間に野草を摘んだり、近所をお掃除しながら、暮らしのリズムを整えるそうです。

仕掛けるのは藤代健介さん。人生をプロトタイプする半年限定のコミュニティ「PROTO」や、新しい家族のあり方を実践する拡張家族「Cift」を手掛けてきた彼が、スタートアップとして世に打ち出す新たなプロジェクトです。

「Nestoって何を目指してるの?」そんな疑問をもとに、以前から親交のあるグリーンズ共同代表の植原正太郎が、健介さんにインタビューしてみました。

コロナ禍によって顕在化した「自由ゆえに自律が大事」という課題を「主体的な他力」によって乗り越えようとするアプローチ。そこには人と人が、暮らしを通じていかしあうためのヒントがありました。

藤代健介(ふじしろ・けんすけ)

藤代健介(ふじしろ・けんすけ)

株式会社NESTO CEO(Chief Executive Officer)
大学院在学中に、理念を場に翻訳するprsm創設。世界経済フォーラムのGSCに選出、東京ハブキュレーターを務める。Forbes Under 30のThe Artsに選出。人生をプロトタイプするコミュニティPROTO、拡張家族Ciftを創設した後に、現在は習慣化プラットフォームNestoの代表を務める。

PROTO、Ciftを手掛けてきた藤代健介さんの現在地

正太郎 これまでも一言では説明できないようなプロジェクトをいくつも手掛けている健介くんだけど、いまは自己紹介する時になんて名乗ってるの?

健介さん これまでは「コンセプター」や「アーティスト」と名乗ってきたんだけど、最近落ち着いたのは「アーキテクト」かな。

正太郎 おー。その心は?

健介さん もともと僕は建築学科卒業で、そのあとメディアイノベーターを養成する大学院に行って、卒業してから自分でデザインコンサルタントの会社を起ち上げていろいろなプロジェクトに関わってきた。それと並行して「PROTO」や「Cift」というプロジェクトに取り組むなかで、コンサルタントとして人のビジョンを応援するより、自分でビジョンをつくって、場をつくりたいって思って「コンセプター」って名乗り始めた。そこから今度は、コンセプトをつくるだけじゃなく、実際に体現してるから「アーティスト」だと思って活動してきたんだよね。

正太郎 その時の人生のフェーズによって、肩書きがどんどん更新されてるんだね。

健介さん うん。今、一言で自分の職業を表すと、たぶん「アーキテクト」。建築家みたいなものかな、と思ってる。

正太郎 自分が思考したものを設計し、社会に実装するところまでやるから「アーキテクト」っていうこと?

健介さん そうそう。この前、ある建築家と話していて、やっぱりアーキテクトって「構造をつくって、そこで循環するようなものをつくる」っていうイメージがあるなと。

だから、アーティストとしての自分が表現したい作品をつくるだけでなくて、アーキテクトとして「生態系が自ずと育まれる場」をつくっているような感覚もある。

ただ、結構こだわりが強い家だから、ちゃんと僕の話を聞かないで、勝手に「この家、素敵」とかいうのやめてくれませんか? みたいな気分もある(笑)

正太郎 それも「建築家」らしいね(笑)

2021年2月にリリースされた「Nesto」。クリエイティブ含めて世界観を大切にされています。

みんなで暮らしのリズムを整える「Nesto」ってどんなプラットフォームなの?

正太郎 「Nesto」がリリースされたのは2021年2月だよね。もう少しで半年が経つ頃だと思うけど、greenz.jp読者のためにも「Nesto」の紹介をしてもらってもいいかな?

健介さん もちろん。「Nesto」は、一言で言えば習慣化プラットフォーム。暮らしのリズムを整えるために、「ディスタントネイバーフッド(遠くのご近所)」と空間を超えて集まる場だね。伝わるかな?

正太郎 うんうん。僕は内容を知ってるから伝わってるけど(笑) 具体的にはどんなことするの?「リズム」っていうのが「Nesto」の軸になるのかなと思うので、そこから紹介してもらえるといいかも。

健介さん 「リズム」っていうのは、決まった時間に、決まったことをすること。たとえば決まった時間に料理をする、とか。だけどそれは、お料理教室に定期的に行ってハンバーグのつくり方を学ぶのとは違って「決められた時間に自分が料理をする」っていうことだけにフォーカスする。要はルーティンとか習慣で、地味だけど積み上げたら莫大な経験だったり、人生を変えるような影響力になったりするもの。

でも、そういうことって一人でやってると三日坊主になったりとか、継続しにくいから、同じことをやる仲間と一緒にやるっていうのが「Nesto」の特徴のひとつかな。

正太郎 一人で始めても習慣化しないの、いくつも実体験があります(笑)

Nestoには「掃除巡礼のリズム」など個性あふれるリズムが揃っています。

健介さん ただ、勘違いしてほしくないのは、「リズム」を主催するホストっていう存在はいるんだけど、新しい知識とか指導とか、そういうものをホストは提供してくれないことになっています。

正太郎 そうなんだね。

健介さん だから「ここに来れば先生に教えてもらえる」とか「プログラムに参加すれば自動的にどこかに連れていってくれる」っていうのは基本的にない。ただみんなで時間をシェアしているだけっていうのが大事な側面。あくまで、自分次第なんだよね。

正太郎 なるほど。

健介さん もう一個の側面についても話すね。オンラインでつながりながら、毎日決まった時間に瞑想したり、料理をすることは、みんなが「時間上の家」に集まることでもある。

コミュニティって今までいろんな形態があったけど、空間的な場所を介する以外で「存在でつながる共同体」って、今はまだ世界にもないはずで。

正太郎 ほう、もう少し詳しく教えてもらえるかな?

健介さん いわゆる「オンラインコミュニティ」ってどっちかっていうと、「Doing」でつながるものが多い。一緒に交流したり学んだり、情報とか価値とかが大事。

一方、空間上のコミュニティとしての「シェアハウス」だと、誰も発言がなくても、家の中に人がいるなぁっていう「存在」や「Being」としてのつながりがある。

「Nesto」はオンラインではあるんだけど、同じ時間にZoomでつないでるだけで、発言もしないし、画面もオンにしないこともある。だけど、時間上の共同体として「この人は毎回いるぞ」というように存在でつながれるんだよね。

正太郎 時間上で「存在」としてつながる共同体が「Nesto」ってことか。

健介さん そうそう。そこにおける関係性っていうものが、これまでの共同体とはまったく違うので、孤独とか孤立とかを超えて、新しい人のつながりをつくれるんじゃないかっていう可能性がある。

正太郎 たしかに、これまでのオンラインコミュニティとはまったく違うアプローチだね。いま、実際に開かれているリズムについても紹介してもらえるかな?

健介さん 例えば「野草一会のリズム」は、毎週木曜日の昼休みの時間に、自然とのつながりを感じたり、自然に身を委ねる自分を感じるためのリズム。自然と生きるために私を融かしていく。そういうある種の道を深めていくために、毎週決まった時間に外に出る。

リモートワークしてると、お昼休みに外に出たりするのは気持ちいい。そこで野草を見つけながら、目に留まったものをパチパチと摘んでいって、花瓶にポンポンと生けていく。これは、先週僕がつくったやつなんだけど。

Zoomの画面越しに「野草一会のリズム」で生けた野花を見せてもらいました。

正太郎 おぉー!

健介さん 綿毛とか、当たり前なんだけど普通売ってないわけじゃない。半径300m以内の雑草でつくってるけど、そういうのを通して自然を取り込んでいく楽しさがあるよね。

正太郎 楽しそうだな〜! 他にはどんなものがある?

健介さん 「骨逆立ち禅のリズム」は平日の毎朝8時半から、頭を床について立つ「骨逆立ち」をして、今まで意識してこなかった骨に意識を向けるリズム。

正太郎 みんなで毎朝、Zoomをつなぎながら、黙々と逆立ちをするってことだよね? なかなかシュールだね。

健介さん そうそう。逆立ちしながら自分に集中する時間を過ごしたあとは、自分のそこでの気づきをグループでシェアしておしまいという流れ。

整体師、骨道家の成木海次郎さんがホストをする「骨逆立ち禅のリズム」は平日毎朝8:30から行われます。

正太郎 なるほどね〜。それぞれのリズムの時間はどれくらいなの?

健介さん 15分から45分くらいまでそれぞれ。頻度も週1日から週5日までリズムによる。

他にも、月に1回リズムの仲間たちと一緒に、初心を振り返ったり、関係性を深めたりすることが目的の「ダイアログ」の時間もある。自分の暮らしの話や、続けていく中でこそ気づいたことをシェアする時間。毎回時間に集まってきた人たちだから、話すことも結構増えていったりする。直接会ったことはないけど、近い存在になるから、不思議な経験になってるよ。

正太郎 一般的にこういうコミュニティプログラムって、最初に自己紹介をしてから「私はこういう人間で、こういう目的で」って説明しがちだけど、そういうのは全くないわけだね。

健介さん ないね。入会した人は一言だけ、名前と今どこにいるかを話すぐらい。基本的には、そこにいるっていう「存在」でつながるのが大事。だから、職業とかもあまり積極的に開示しないなどの方針を定めるCredo(行動指針)もつくっているよ。

正太郎 お互いにどんな人物なのか理解を深めるんじゃなくて、その場にいる状態を共有することを大事にしてるんだね。

健介さん NestoのCredoの中には主体的なギフトやシェアも応援する言葉も入っているんだ。最近だと「グリーンズの学校」編集長のYOSHさんも「スタディ・リトリートのリズム」をはじめたよね。静謐な朝の時間に勉強を通して情熱と出会うリズム。勉強のテーマって人によって全然違くて、それによって対話の時間も創発がたくさん起きている。勉強家のYOSHさんらしい癒しのリズムだなと思ってる。グリーンズの皆さんには大変お世話になっております(笑)

正太郎 Nestoとグリーンズのコラボレーションが進んで嬉しいです(笑)

YOSHがホストをする「スタディ・リトリートのリズム」は平日の隔日(月・水・金曜日)にて朝5:30から行われています。

近代の逆効果によって生まれた「自由ゆえに自律することの大変さ」を、「主体的他力」で解決する

正太郎 「Nesto」の中身については理解できてきたんだけど、どんな世界を目指しているのかについても話してもらえるかな?

健介さん 「Nesto」を届けたい人を一言でいうと「“近代の逆効果”に苦しんでいる人」。具体的に言うと「自由ゆえに自律できないでいる人」かな。僕たちは、所属からも、空間や時間からもどんどん自由になってきているけど、それは責任が発生するということ。自分が決めた習慣が自分を守ってくれるのだと考えていて。

正太郎 自律の大切さというのは、コロナ禍をきっかけにさらに進行している問題だよね。その原因となっている「近代の逆効果」っていうのは、どんなものなのかな?

健介さん 「近代」とは、ざっくり言えば「フランス革命以降」の時代だと捉えてる。では、フランス革命前まではどんな時代だったかというと、宗教の時代があって、王族の時代があって、貴族の時代があって。聖職者がいて、王様がいて、貴族がいて。そこには、既得権益があり、生まれた瞬間には身分が決まっているといったルールで、社会が成り立っていた。

そこに「人間全員平等じゃん」という運動が熱を帯びた時に、フランスで市民革命が起きた。日本は明治維新以降に始まってるけど、そこから近代化っていうものが始まっている。

正太郎 フランス革命で起きた変化の延長線上に、僕たちは生きているということだよね。

健介さん そう。そこで起きた変化は「ライフ」と「ワーク」に分けて考えられる。

「ライフ」の方で何が起きたかというと「人間全員が自由を求めていい」っていう許可が得られた。「ワーク」の方では「仕事は合理的に稼いでいいよ」という許可が得られた。

正太郎 うんうん。

健介さん だから「自由に暮らしていいよ」っていうのと、「合理的に稼いでいいよ」って言われるようになったのが、近代以降の大きな変化。

良い変化も大きかったけど、別な問題も生み出している。特にワークの変化は、社会的な格差を生みだしたんだよね。合理的に稼ぐってことは、なるべく少人数で最大の利益を出すこと。要は世の中がシンプルになっちゃったんだよね。

いきなりだけど、『現代経済学の直観的方法』って本は知ってる?

正太郎 読んだことない。

健介さん 物理学者の長沼伸一郎さんが書いている経済学の本なんだけど。

その中で「縮退によるコラプサー化(崩壊)」っていう話が出てくる。縮退っていうのは、もともと生物学用語で、簡単に言うと、複雑性がなくなっていくこと。

たとえば、A・B・Cの3種類のすごく小さい生物がいたとする。それぞれ補い合って、生態系でいかしあっていたとしても、Aがある程度大きくなっちゃうと、他のBやCはAに取り込まれたり、小さくなった世界になっていく。いかしあうんじゃなくて、複雑性がなくなっていっちゃうのが、生物学上でいう縮退という現象。

その現象によって、大きくなりすぎた恐竜は絶滅したし、現代においては砂漠化につながっていたりする。要は、複雑性がなくなってすごく合理的になるんだけど、一方で、一気に種全体が滅びる可能性も高くなるんだよね。生物だけじゃなく、経済もそうやって縮退化しちゃってるっていう問題があって。

正太郎 なるほど。

健介さん 合理的になるってことは、シンプルになるってこと。例えば今は、Amazonでワンクリックで必要なものが届くようになったけど、そのぶん依存度が高くなって、全体としては硬く脆くなってるんだよね。

商店街のお店でモノを買うことも減り、人とのコミュニケーションの非合理さみたいなものはなくなる。合理性を求め切った先にあるものは、つまらない感じがしちゃうんだよね。

それはなぜかというと、自然の生態系は複雑に補い合っていて、私たちはその自然の一部であるからなんだよね。縮退が進んだ先のシンプルなものって本来、享受しにくかったりすると思うんだよ。

正太郎 複雑なものの方が本来、楽しいはず。

健介さん 「Nesto」の話に紐付けると、「ライフ」の部分への近代の逆効果にどんな影響があるかというと、人は与えられた共同体からどんどん抜け出していっているんだよね。

時代を巻き戻すと、江戸時代までは、ほとんどの人が生まれた場所から出て生活していいとは思っていなかったと思うんだよね。多くの人が生まれた集落で死ぬまで暮らしていったはず。

正太郎 うんうん。

健介さんは最近、鎌倉にある築80年の古民家にお引越しされました。

健介さん でも今は、東京がいいとか、鎌倉がいいっていう選択肢を取れるようになってきた。つまり、自由意志に基づいて生まれた土地から出て、さらには血縁関係からも抜けて、色々なしがらみから解き放たれようとしている。

自由意志が増えるほど、人は自ずと与えられていた共同体から抜け出していくんだけど、その結果、一人暮らしが一番便利で合理的だと行き着く。暮らしに必要なものはAmazonで全部買って、一人暮らしをするのが一番便利で、合理的で、安上がり。でも、それってつまらないっていう問題が出てくる(笑)

正太郎 うん、味気ないよね(笑)

健介さん 自由であればあるほど、自分で自分をコントロールしないと生活がぐちゃぐちゃになるし、孤独も感じやすくなる。

正太郎 コロナ禍をきっかけに、心身の健康について議論されることが増えてるけど、問題の源流は「近代の逆効果」にあるということだよね。

健介さん そうだね。ワークもライフも、縮退化してシンプルになっていくと個が立ってくるんだけど、より脆くなっていくし、より孤独を感じたり、より高いセルフマネジメント力を求められるようになる。

要は「他力の世界」だったのが「自力の世界」になっちゃったんだよね。今は、自力の世界がいいと思われてるけど、僕はこれからの時代は「主体的な他力の世界」に入っていく方がいいと思っている。

正太郎 「主体的な他力」とは?

健介さん 自然界の動植物は、それぞれに補い合ってるけど、すべてが自由意志を持っているわけじゃないから「受動的な他力」という見方ができる。

一方で、人間は自由意志を持てるところが、他の動植物とは違う。だから、主体的な意思を持ちながら、全体と補い合うような行動をとることができる。縮退化が進んで「自力」の世界になってしまった今だからこそ、「主体的な他力」が求められてると思うんだ。

正太郎 なるほど。「Nesto」というは、リズムを通じてお互いに補う合うわけだから「主体的な他力」を体現しているプラットフォームと言えるんだね。

健介さん 「主体的に自分を律する」というのが大事だと思っている。自分を律するっていうのは、自由意志の先にある考え方だと思っている。全体に調和する自分として、自分を調整していくっていうこと。それはもしかしたら、自分に否定力をかけることかもしれない。

「自分を肯定する」っていう生き方が近代だとしたら、「全体を肯定するために自分に否定力をかける」生き方を主体的にやるのが、これからの時代で大事だと思うんだよ。そしてそれを実現するための手段として「主体的な他力」があるという構造かな。

「Nesto」のこれからのチャレンジと、正太郎が始める「みどりと散歩のリズム」

正太郎 「Nesto」が始まって半年くらいが経つけど、実際の手応えはどう?

健介さん リリース時に描いていた「自分として自立しながら、でも全体の調和のために自律して、そこに関わっていくこと自体に喜びを感じる」とか「遠くのご近所さんとつながる喜びを感じるとともに、自分らしい生き方をしている」みたいな人はすでにたくさん現れている。だから、実現したかったことはけっこうカタチになってる。

正太郎 これから新しいリズムも増えて、参加者も増えていく先に、「Nesto」はどうなっていくのだろう?

健介さん 100人のご近所さんからなるリズムが100個ある状態。つまり、1万人のご近所たちが集う場所を時間上につくった「時間村」かな。「Nestoとして1万人の村をつくりました」ってところまではやりたい。

正太郎 1万人の時間村。それはすごい景色だろうね。では、ここからはその一つになる予定の「みどりと散歩のリズム」について話をさせてください。はい、このリズムは何を隠そう、僕がホストです(笑)

健介さん はい、話しましょう(笑)

正太郎 まず、個人的な近況報告をさせてもらうと、今年の5月に長らく住んだ東京を離れ、熊本県南阿蘇村に家族で移住しました。

正太郎が引っ越してきた南阿蘇村。近所を歩けばすぐに阿蘇山の雄大な風景を拝めます。

健介さん なんでまた急に、そんなところへ移住したの?

正太郎 もともと自然に近いところで暮らしたいって夫婦でずっと話してたんだけど、コロナ禍をきっかけに夫婦二人ともフルリモートワークになったのがきっかけ。どこでも働けるってことは、どこでも住めちゃうじゃんってことで、たまたま出会った南阿蘇村という地に移り住むことになりました。どこにいても阿蘇の山を拝むことができる、本当に美しい村です。

健介さん そこで「散歩」をリズムにしていこうと。なんでまた散歩なの?

正太郎 今年に入ってから、実は散歩を日課にしてたんだよね。というのも、リモートワークの恩恵はたくさんあるんだけど、ともすると一日ずっとパソコンの前で終わっちゃうっていう生活習慣に悩んでた。これはさすがにあかんなと思って、昼間の空き時間に近所の公園を散歩するようにしたんだ。

散歩を始めたときは東京にいた頃だったので、近所の「林試の森公園」って場所で歩いてた。もともと林業試験場だったところなので、いろんな樹種が植えられていて、そんな緑を眺めながら歩くのは気持ちのいいものだなぁと感じるようになった。

健介さん なるほどね。散歩を続けてみてどんな変化があったの?

正太郎 まずはパソコンから離れようっていう目的で始めたんだけど、緑を眺めて歩いてると、身体だけじゃなくて、頭の中も調子が良くなる感覚がでてきたんだよね。

そんなことに気づき始めた時に『NATURE FIX』っていう本にも出会った。ざっくり言えば、「人間は緑に触れるだけで健康になれる」っていう古今東西の研究が紹介されてる本。わざわざ大自然に行かなくても、近所の公園の木を眺めるだけでもストレスホルモンのコルチゾールが減ったり、精神的にもいいっていう話がたくさん紹介されてる。緑を眺めながらの散歩は、心身の回復につながるんだと、証明してくれてた。

正太郎が東京に住んでいた頃に散歩していたみどりの深い公園

健介さん その感覚は、誰もが経験したことありそうだよね。今の正太郎くんの散歩自体はイメージが沸くし、散歩は誰でもできるんものだと思うんだけど、ここでひとつ聞きたいことが。正太郎くんは人生の中で散歩を哲学していき、その先に自分はどういう状態になっていたいと考えてるの? そこが「Nesto」が大事にしたいとことで、正太郎くんならではの哲学がリズムに入ってくると思うんだよ。

正太郎 そうだね〜。それで言うと、散歩を通じて「自分は地球の一部である」と感じることを大事にしたいなと思ってる。

健介さん なるほど。

正太郎 ちょっと怪しげな話であるんだけど、僕は公園を散歩しながら「自分は金魚鉢の中にいるかも」って考えることがある。

自宅で金魚鉢の中にメダカを飼ってるんだけど、金魚鉢の中には水草があって、その水草が光合成をして酸素を出してくれるから、メダカも生きられる。そして、メダカが呼吸して出す二酸化炭素は、また水草が吸収しているという循環がある。

木々に囲まれる中で散歩していると、この木が酸素を出してくれているから、自分は酸素を吸えるし、自分が吐く息はまたこの木々に吸い取られていくんだっていうことに思いを馳せることができる。人間も、金魚鉢の中のメダカと一緒なんだよね。

自分が循環の中に生かされてるっていうのは、外に出て緑を眺めないと感じられない感覚。家の中のパソコンの前だけで過ごしてると、完全に忘れてしまうよね。そういう感覚を取り戻すための散歩でありたいな。

健介さん いいね。街中とか商店街を歩くっていうよりかは、なるべく家から近いところで自然を求めて散歩するのがいいんだね。

正太郎 そうだね、自分の健康のためでもあるんだけど、自分は地球の一部であると立ち返るための散歩のリズムにできるといいな。

健介さん そこらへんの哲学やこだわりがあると、ただの散歩じゃなくなるね。8月から「みどりと散歩のリズム」は始まるので、ぜひ探究していってほしい!

8月1日から「Nesto」で「みどりと散歩のリズム」が平日毎朝7時に行われます。greenz.jp読者の中でご興味ある方はチェックしてみてくださいね!

(対談ここまで)

いかがでしたでしょうか? 持続可能な社会のために暮らしを通じて実践するgreenz.jp読者のみなさんにとって、ヒントになる考え方があったら嬉しいです。

みんなで暮らしのリズムを整えるプラットフォーム「Nesto」には、正太郎がホストをする「散歩」だけではなく、グリーンズの学校・編集長 YOSHによる「スタディ・リトリートのリズム」も始まっています!

他にも個性豊かなリズムが揃っています。よかったら覗いてみて、毎週開催されるオンライン説明会に参加してみてくださいね。

(編集協力: MizunoAtsumi)

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