働くなかで、
という違和感を感じることはありませんか?
「いかしあう働き方」とは、それらの逆。
という、いかしあうつながりを構成する3つの要素とつながる働き方です。これまでの成長や効率を重視した結果に生まれた弊害を乗り越える、持続可能な働き方として、今後必要になっていくはず。
では、どのようにしたら「自分・人と人・地球」それぞれといい関係を持つことができるのでしょうか?
「いかしあう働き方研究室」では、ゲストのトークとワークショップをもとに、少人数で「いかしあう働き方」を探究していきます。まずは「自分とつながる編」と題し、2020年6月から7月にかけて、14人のメンバーが「自分とつながる働き方」について探求していきました。
今回は、4回のゲストトークのうち、NPOグリーンズ代表である鈴木菜央の「自分とつながる働き方」についてのトークの一部をお届けします。
自分の身体と心の声を無視していた
僕、2012年頃に働きすぎて具合が悪くなった時期があったんですよ。頑張んなきゃいけないって思って、自分の身体の声とか心の声を無視しまくってたんですよね。
それで結局身体が言うことを聞かなくなってしまって、ぎっくり腰になったり喘息になったり、立ち上がれなくて会社に行けなくなったりとかして。
何にも新しいアイデアが出ないし本も読めないし映画も観ないし。アイデアも全く出なくて、会議に出ても何も建設的なことが言えなくて、すごいへこんで帰ってくるとか。
どうしたらいいんだろうって思って、大学の頃に興味があったテーマとかを振り返って、本当に自分が何をやりたいんだろうってことをしばらく考えてました。
なかなか出てこなかったんですけど、ある時ワークショップに参加したら、いきなり、はじめましての人と一人15分間、自分の人生についてしゃべる時間があって、僕も話したんです。そしたら初めて会った女性に、「私は今あなたの心に入ってあなたをハグしたよ」っていわれてね。その時に、号泣しちゃって。
「あぁ、自分で自分をハグすればいいんだ」みたいな。自分の心の声を聞いてなかったんだなって、そん時にやっとわかったんですよね。
子どもの自分と大人の自分でやりとりをする
それ以来、自分の心の声とか身体の声を聞くことを大事にするようになったんです。
「本当は何がしたいんだろう」っていうことや、身体の状態を自分に問いかけてみるんです。朝起きて「今日はどう?」みたいなことを自分に聞いて、「なんか今日はすごい不安がある」という答えがかえってきたら、「じゃあその不安を因数分解してみて」と自分に投げかけてみる。
イメージとしては、内側には子どもの自分、「インナーチャイルド」がいるんです。子どもの自分はあんまり頭は良くないんだけど、自分がなにをしたいのかはその子が一番良く知ってる。
で、もうちょっと大人で、頭のいい自分もいて。その頭のいい自分が、「それは分析すると、こういうことかな」みたいなことを言ってくれる。それに対して子どもの自分が「いや、それは違う」とか「そうだね」とか言って。そういう、子どもの自分と大人の自分がやりとりをしてるんですよね。
僕も最初は、やりたいことがなかなか出てこなかったんだけど、子どもの自分と大人の自分のやりとりを重ねるうちに「パーマカルチャーをもう1回勉強したいな」「持続可能な暮らしがしたいな」って思うようになったんです。よくわからない誰かのために自分の命の時間を使うはもうやめて、自分が信じられることに時間を使いたいなって。
そんなふうに、どこに行くかとかどんな生き方がしたいのかっていうのは、自分の中にいる子どもの自分に聞いてみたたんです。それをどうやって実現するのかっていうのは、頭のいい自分が一生懸命考えて、ちょっとずつそこに向かってやっていったんですよね。
心に浮かぶことや不安を書き出してみる
もうちょっと具体的に、僕が日常のなかで「自分とつながる」ために実践したことをお伝えしますね。
まず、不安を書き出すこと。紙の真ん中に「不安」と書いて、マインドマップみたいにまわりに不安そうなことを、書き出せたな、と思うまで書き出す。「どうやら不安はこれが8割で、これが1割5分で、こっちが5分ぐらいかな」みたいなふうに分解してみるっていうのはよくやります。
それができたら、その不安に対して行動をとる。「とりあえず、嫌だけど電話しよう」とか。そうすると、解放されたとか、癒されたっていう感覚になって、すごく身体が喜ぶんですよね。
他にも、「モーニングページ」って言って、朝起きたら、今、自分が心に浮かんだこと全部ノートにだーっと書き出すこともあります。あと、「嫌だノート」っていって、寝る前に嫌だなと思うことをノートに書き出すとか。いろんなやり方が世の中にあると思うんだけど、僕がやってたのはそういうことかな。ただ、自分の深いところに入っていっても、誰も答えてくれない時もあるんだけどね。
瞑想で、自分のなかの自然とつながる
あと、瞑想もしてます。
今は朝起きて、だいたい2日や3日に一度、10分ぐらい瞑想するかな。調子が悪い時はどんどん時間を伸ばしてく。20分30分とか。それでも、自分のなかの、子どもの自分が全然答えてくれない時もあるので、ゆっくり待つんだよね。
「どうですか?」みたいな。それで聞こえてきた声を、大人の自分が書き留める、っていう感じの瞑想をしているね。
あとは、僕の携帯は30分ごとに一回鐘が鳴るようになってて。鐘は自分につながる合図。だから、なんか作業してる時とかにチーンってなったら、「これ、僕やりたいことなんだっけ?」って考える。
「なんかすげートイレ我慢してない? トイレ行こう!」とか、「腰痛いのに、なんかよくわかんない椅子使っちゃってるから、これ変えればいいんじゃない?」とか、「そもそも俺この作業、全然ワクワクしてないわ」とか。
ヴィパッサナー瞑想についての僕の理解なんだけど、「自分とつながる」って、自分の体に注意を向けることだと思うのね。
特に呼吸。辛い時ってすぐ頭でっかちになって、オーバーヒートして神経過敏になるから、朝起きたら2時間ぐらいは携帯を見ないようにして、自分の呼吸に注意を向ける。
なんで呼吸に注意を向けるかというと、頭がフル回転だと、いろんなこと考えちゃうから。だから呼吸に注意を向けて、空気が鼻から入って肺に入ってる感じとか、身体の感覚とか、頭のこの辺が痛いなーとか、解像度上げて感じてく。膝がちょっと痛いなぁとか、座ってるお尻に体重がかかってる感覚とか。そういう感覚に目を向けていく。
そうやって呼吸だけを意識していると、余計なこと考えないわけ。それがよくて、僕は瞑想を日常に取り入れてます。
(構成: みやまともき)
(イラスト作成: ニッタシンジ)