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しあわせのDIY、みんなで楽しくやっちゃおう! グリーンズが開発した「いかしあうつながりデザインカード」とは

グリーンズ、カードつくりました。

突然の発表に、びっくりしたかもしれません。

カード?
グリーンズのロゴが入ったトランプとか?

いえ、違います。僕らが考案・開発したオリジナルのカードセットです。

悲願のお披露目となったカードは、その名も……

「いかしあうつながりデザインカード」、略して「いかつなカード」(ばばんっ!)

実はグリーンズ、ここ2年くらいこのカードセットの企画を温めていました。わたしたちが新しい社会をつくるためのキーワードだと考える「いかしあうつながり」を、みなさんの暮らしや仕事にも気軽に取り入れてほしい! という思いから誕生したのが、このカードです。

今回はそんな「いかつなカード」について、「どうやって使ったらいいの?」「どこで手に入るの?」という素朴な疑問を、代表の鈴木菜央に直撃取材。

すると、「自分たちの手で、しあわせな暮らしやコミュニティ、社会をつくる」ツールとしての「いかつなカード」の姿が見えてきました。

(聞き手は、カード制作の事情をあまり知らない、グリーンズ求人の山中康司がつとめます。)

※いかつなカードの入手方法については、こちら!

「いかしあうデザイン」とは?

康司 ……すみません菜央さん。

菜央 おお、どうしたの?

康司 僕、この記事の執筆を勢いで引き受けちゃったんですが……正直「いかつなカード」のこと、よくわかってないんです。

菜央 ははは、大丈夫! 今日はせっかくの機会だから、なんでも聞いて。

康司 はい、じゃあ遠慮なく!

「いかつなカード」って、「誰でも『いかしあうデザイン』が実践できるカード」だって聞きました。そもそも「いかしあうデザイン」って、なんですか?

菜央 一番シンプルにいうと、「しあわせをつくるための、関係性のデザイン」のことだね。

菜央 13周年の記念講演でも話したけど、世界中で起きているコミュニティの崩壊、孤独、自殺、自然破壊といったあらゆる課題は「関係性の欠如」として説明できる。僕らは自然や人と共に生きてるのに、自分がいい暮らしをするために、それらを搾取していることがたくさんあるんだよ。そんなの嫌じゃん?

康司 普段あまり意識しないですけど、なにかを搾取してしまってるとしたら嫌ですね。

菜央 でもね、逆にあらゆる人、生物、資源の可能性がいかされる持続的な関係性をつくれたら、限られた資源でも、びっくりするくらいしあわせな暮らしとかコミュニティ、社会がつくれるんだよ。

例えば、みんながお金を稼ぐために日々忙しく働くような暮らしじゃなくて、すでに持っている知恵や関係性だったり、太陽の熱や雨といった自然の力をいかして、遊びも仕事も生活も一体になるような暮らし。

そんな暮らしをみんなでDIYしてつくって、メンテナンスして、一人ひとりが余裕をもって家族・友人と時間を過ごし、自分や他人を大切にできるようなコミュニティ。

未来世代が困るくらい、自然の鉱物を掘り出したり生命資源を奪ったり、ゴミを排出するんじゃなく、再生可能な資源を活用して、必要な人、企業同士をつないで、誰かのゴミを誰かが活用できることでゴミの排出が少ない社会。

そういうものが、「関係性のデザイン」を通して実現していけるんだよ。

グリーンズは、「関係性のデザイン」をベースにした新しい社会をつくるOS(オペレーティングシステム)が必要だと考えています。

康司 確かに実現したら素敵ですけど、「関係性のデザイン」っていうのは具体的にどうやって?

菜央 これまで先人たちが、「関係性のデザイン」についていろんな智慧を残してきてる。アジア各地に残ってる持続可能な水田システムや、お互いの家を建てたりメンテナンスする「結」の仕組みなんかがそうだね。

特に近年は、今の社会が持続不可能だってことがわかってきて、持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系である「パーマカルチャー」とか、勝ち負け、正しい正しくないではなく共感をベースとしたコミュニケーションの方法論「NVC(非暴力コミュニケーション)」とかが開発されていった。

そういった智慧をもとに、誰でも簡単に「いかしあうつながり」をデザインできるようにするためにつくったのが、「いかつなカード」なんだよ。

康司 なるほど! なんとなく「いかつなカード」の成り立ちが見えてきた気がします。とはいえ、これ、実際にカードを使ってみないとその本質はわからない気がしてきました。

菜央 うん、そうだよね。やってみるのが一番わかりやすい! 今日はオンラインでの取材だけど、遠隔でちょっとやってみようか?

康司 はい、ぜひ!

「いかつなカード」を使ってみた

康司 「いかつなカード」、初めて見たんですが、いくつか色が分かれていますね。

「いかつなカード」は、はじまりの問い 3枚、パーマカルチャーの倫理 3枚 、みんなのニーズ 10枚 、9つの資本 9枚 、デザインの原則 10枚、いかしあう態度 5枚、空白カード 1枚の41枚セットになっています。

菜央 そうだね。これは、僕らが考える「いかしあうデザイン」の次のプロセスに対応してる。

1. 感じる、観察する→はじまりの問い
2. ニーズを明確にする→みんなのニーズ
3. 資源を見える化する→9つの資本
4. 関係性をつなぎなおす→デザインの原則

菜央 つまり、どんなしあわせをつくりたいのかを観察し、明確にする。その次に、関わる人みんなのニーズを把握する。さらに、そのニーズを満たすためには資源が必要なので、その資源を見える化する。そして最後に、その資源同士の関係性をデザインする。

このプロセスを体験できるのが、「いかしあうつながりデザインカード」なんだよ。

康司 「はじまりの問い」から順にやっていくんですか?

菜央 それでもいいし、「9つの資本」とか「デザインの原則」とか、グループごとに行ってもいい。例えば、康司くんが自分の働き方を見直す時に、「9つの資本」のカードは使えると思う。

ためしにちょっと、「9つの資本」に沿って自分が持ってると思う資本を書き出してみて。

康司 わかりました。えーっと……

「9つの資本」カードは「生命資本」「金融資本」「知的資本」「文化資本」「物的資本」「社会資本」「経験資本」「精神資本」「余裕資本」で構成されています。

康司 マインドマップで、「9つの資本」それぞれ書き出してみました……が、正直あんまり出てこなかった気がします。なかなか資本を書き出すのは難しいですね。しかも僕、ネガティブなので(笑)

菜央 康司くん、もっとたくさん資本を持ってると思うよ。例えば健康な身体だって、素晴らしい資本じゃん。あとはグリーンズの仲間も社会資本。家だって物的資本じゃない?

康司 え、そんな当たり前のものでいいんですか?

菜央 いいのいいの! 僕らをとりまいてるあらゆるものが資本になるんだよ。あと、ひとつのものでも複数の見方ができることもある。「家」は、「心が落ち着く場所」って意味では、余裕資本に入るかもしれないよね。

康司 なるほど……!

菜央 あとは余裕資本もなにかありそうだよね。康司くん、普段見てると自分で余裕をつくることができてる印象だけどな。最近趣味で絵を描いてるって聞いたけど、それって余裕資本があるからできるんじゃない?

康司 ああ、言われて気づきましたけど、僕めちゃくちゃ「ゆとりある生活」を大事にしてるんですよね。締め切りに追われないとか、1日6時間以上睡眠をとる、とか。それも資本なのか!

菜央 もちろん! 繰り返しになるけど、あらゆるものが資本なのね。かつて病気で働けなかった経験だって資本になるし、新型コロナウィルスで大変な状況だって資本になるんだよ。

康司 そう言われてみると、たくさん資本が浮かんできました。もはやエンドレスであげることができそう(笑)

対話を通して、だんだんと資本が見えてきます。

康司 書きながら思いましたけど、普段一人で考えていると「ないもの」ばかりに目が行くんです。特に人と比べて、「自分は実績もないし経験もないし、お金もない……」なんて、凹んだりして。

菜央 うん、そういう時あるよね。

康司 でも、カードを使うことで「あるもの」を探すことができる。しかも誰かから「これもあるんじゃない?」って言ってもらえることで、自分が気づいていなかった資本に気づくことができて、「思った以上にいろんなものが“ある”んだな」って気づくことができますね。

菜央 うん。まさにそれが、「9つの資本」を使って対話をする意義。あとは「みんなのニーズ」や「デザインの原則」といった別のグループのカードと行き来しながら対話をすると、違う角度から捉えることができるよ。

今あげてくれたなかでも、康司くんがしあわせなるために特にいかせそうな資本はなに?

康司 うーん……「ライティング・編集の経験」「フリーランスの縛られない生活」「全国の知り合い」「キャリアコンサルの資格」……あと最近買った「iPad」あたりかな。

しあわせなるためにいかせそうな資本に丸をつけてみました。

菜央 そしたら、その資本をどう組み合わせることができるか考えてみよう。「デザインの原則」カードのひとつ、「多機能性を持たせる」っていう視点で考えてみたらどうなる? つまり、ひとつの要素にいくつかの機能を持たせることはできないかな。

康司 えーっと……。あ、「全国に知り合いがいる」から、彼ら・彼女らに会いにいく機会を各地域でキャリアコンサルティングをする機会にできるかもしれない! それはフリーランスだからできるし、iPadがあれば荷物も少なくリモートワークができそうです。

菜央 いいじゃんいいじゃん。新しい働き方の可能性が見えてきたね。旅をすることでの豊かな時間、新しい場所に身を置くことでの学び、成長。友達とのいい関係の維持。新しいことにチャレンジしたいって欲求も満たせて、収入も入る。いろーんな利益が得られる。それが、「多機能性を持たせる」ってこと。

康司 こうやって、カードを使いながら「しあわせをつくるための、関係性のデザイン」をしていくわけですね。

菜央 そうだね。活用方法は本当に幅広くて、自分ひとりで個人の働き方を考える時に使ってもいいし、ミーティングのデザイン、家の模様替えから、イベント企画、プロジェクトや会社の方向性を決めたり、将来の生き方、地域のデザイン、未来社会のデザインまで。

しあわせをつくるためのあらゆる活動で使えるのが、この「いかつなカード」なんだよ。

自分たちでしあわせをデザインするためのツール

康司 使ってみて思いましたけど、「いかつなカード」はパッケージ化されたしあわせじゃなくて、自分たちでしあわせをデザインするためのツールなのかもしれないですね。

菜央 うんうん。

康司 これまでって、働き方にしてもまちづくりにしても組織づくりにしても、「こうしたらしあわせになれますよ」っていうパッケージを専門家がつくって、それをお金で買うことが多かった。でもそうじゃなくて、「自分たちでしあわせをつくっていこうよ」っていうメッセージをカードから感じました。「しあわせのDIY」、というか。

菜央 そうだね。今って、「こうすればしあわせ」っていう方法にのっとっても、しあわせになりにくくなってるんだよ。

それは、僕たちが生きている世界の有限性がわかってきたから。自然資源も、ゴミを捨てる場所、人間の精神的余裕も限りがある。それに、パッケージって、誰得なの? ってこと。CMはほぼ全部「あなたはこうすれば幸せですよ」って言ってると思うんだけど、それをやると幸せになるのは、CMをやっている企業であって、多くの場合、あなたじゃない。誰もあなたの本当のしあわせはわかってくれない。

だから人がつくったパッケージではなくて、自分たちでしあわせな生き方や社会をデザインしていく必要があるし、それはできると僕は確信してる。

康司 でも、「いかしあうデザイン」って、資源やスキルがある限られた人だから可能なんじゃないか、と思ってしまうんです。菜央さんがよく話してくれる「ブロックス農園(Bullock’s Permaculture Homestead)」の事例も、「豊かな自然があるからできるんじゃないの?」と。

「ブロックス農園(Bullock’s Permaculture Homestead)」の様子

菜央 それがね、「いかしあうデザイン」はどこでもできるし、誰でもできるんだよ。

なぜなら、資本がない環境に人は住んでないから。砂漠には砂漠の資本がある。寒暖差とか、星が見えるとか、蛇がいるとかも立派な資本。田舎には田舎の資本があるし、都会には都会の資本があるでしょ。人だって、誰でもたくさんの資本を持ってる。だから、しあわせになるデザインは、どこでも誰でもできる。

康司 そうか……気候変動や新型コロナウイルスのニュースをみるにつけ、未来に対して悲観的になってましたけど、「いかしあうデザイン」は一縷の希望のようなものかもしれないですね。

菜央 一縷の希望どころか、僕はめちゃくちゃワクワクしてる。少ない資源でも、びっくりするくらいみんながしあわせになるデザインがありうるんだよ。このカードはそのきっかけになるものだから、このカードをつうじてどんな「いかしあうつながり」が生まれるのかがめちゃくちゃ楽しみでさ。

康司 まさに「いかつなカード」をつくるのは悲願だったわけですね。じゃあさっそくネットで検索して購入して……

菜央 実は「いかつなカード」、非売品なんだよね(笑)

康司 ええ!! 売ってないんですか?!

菜央 そうなの。greenz people(NPOグリーンズの会員)限定の特典なんだよね。カードの遊び方、使い方はみんなで探究していきたくて。だから、greenz peopleのみなさんにお届けして、「こういう使い方をしたらおもしろかった」「こういう使い方はどうか」「使ってみたら、こんなことに気づいた」などのアイデアや意見を集めて、どんどん進化させていこうと思ってる。

康司 なるほど。「いかつなカード」はみんなで育てていくツールなんですね。

菜央 そうだね。しあわせを自分たちでデザインする、最高に創造的で楽しい遊びに参加する第一歩として、「いかつなカード」を手に取ってほしいって思ってるよ。

greenz peopleに入会すると、「いかつなカード」が届きます!

 
「いかあうつながりデザインカード」は非売品で、greenz people(NPOグリーンズの会員)限定の特典となります。まだの方も5月中にご入会いただくと、完成次第(6月中旬には)みなさまのお手元にお届けいたします。(6月以降のご入会の場合、7月以降のお届けとなる予定です)

教育、まちづくり、福祉、ビジネスなど、あらゆる領域で「いかしあうつながり」をつくりたいと思っている方は、ぜひこの機会にgreenz people入会をご検討ください!

 

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今なら「いかしあうつながり宣言」のポスターもついてくる!

表には「ウォーリーをさがせ!」のように、いかしあうつながりの事例を探せるイラスト、裏には宣言文があります!

「いかしあうつながり」って何だったっけ? そんなときにいつでも戻ってこれる出発点となるのが「いかしあうつながり宣言」です。ポスターとして壁に飾ってもよし、折りたたんでカードの箱に入れて持ち歩いてもよし、自分好みにお使いください!!

「いかしあうつながり宣言」より一部抜粋

あらゆる存在の、
ほんとうの求めに耳を傾けて
望みを満たしあうために、
あらゆるエネルギー、
性質、魂を活かそう

あらゆる存在がいかしあえる
関係性をつなぐ人になろう

いかしあうつながり

それは、だれにでも、
どこででも実践できる、
持続可能な文化創造活動であり、
一人ひとりにとっても、
人類すべてにとっても、
学びある成長であり、
地球を癒して再生する営みであり、
人と人、そして地球と調和した文明を
つくるチャレンジなのだ

この最高に創造的で楽しい遊びを、
はじめよう!

NPOグリーンズ

 

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