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ご先祖様って誰なんだろう? コロナ禍中に読む『どんなときでも、出口はあるよ』に心の疲れがほぐされた

世はコロナ禍まっただ中。いくつもの”ポストコロナ予想”が飛び交う中、心に疲れを覚えている人も少なくありません。誰も正解が分からないのであれば、わたしたちは情報に対する感度を高め、連携しながら生きるスキルを養い、明るい部分を見る努力も忘れないようにしたいものです。

そんな折り、2013年に発売された『どんなときでも、出口はあるよ』という優しい表紙の本を手に取りました。著者は千葉県成田市にある曹洞宗のお寺、長寿院篠原鋭一(しのはら・えいいち)住職。そう、この本はお坊さんが書かれた本です。

わたしたちは誰もが様々な悩みを抱えて生きています。小さなことから大きなことまで、他人にとっては取るに足らないことでも、本人にとっては深刻ということもよくあるでしょうし、何かに悩み過ぎて眠れない夜を過ごした人もいるかもしれません。古今東西、人の数だけ悩みが尽きない人生があるのではないでしょうか。

篠原住職の元にも、日頃から人生の難しさに直面された方々が訪れています。なかには非常に重い問題を抱え込み、この先の人生を続けるかべきか否かと悩む方も多くいらっしゃるとか。年間2万人もの方が自ら命を絶つという日本の現実には、私たちみんなが向き合うべき社会的要因も潜んでいることでしょう。

住職はすでに20年以上もの間、たくさんの悩みに向き合い、仏教の教えを生かして「生きることの本質」を伝え続けています。住職が説くお話は、日常の暮らしで小さな悩みをもって生きる現代人の心の緊張もほぐしてくれるものばかり。この本にはそんな珠玉の言葉たちがまとめられています。

篠原住職は他にもたくさんの著書があり、新聞やテレビ、講演なども多くされているのですが、本書を含めて頻繁にお話ししてくれることの中で、個人的にとても響いたことを1つご紹介させてください。

ご先祖って、知ってる?

たとえどんな境遇であったとしても私たちには、命を授けてくれた2つの命の存在がいますよね。
さらに父母それぞれもまた、2つの命から生まれています。祖父母より前の存在に対面したことがある人はあまり多くないかと思いますが、この本によれば、そうやって血筋をさかのぼると、10代前で1024人の存在があるそうです。

過去この世界に存在してくれた1,024人のおかげで、今の自分があると思うと、なかなかすごくないですか?

さらに、20代前までさかのぼると、なんとその数が、104万8,576人になるとのこと! 100万人以上のご先祖が全員一人も欠けずにいてくれたおかげで今の自分がいる、ということです。

その間には戦争や飢饉といった混乱の時代も経ていると思うと、なおのこと感慨深い。しかも、20代も前になると約400年は時代をさかのぼるため、日本でいえば江戸初期です。当時の人口は1000万人ほどとされているため、単純計算すれば、400年前の10人にひとりがご先祖様ということになるんだとか。

どうでしょう、なんだかグッときませんか?

仏教や命の尊さ、と聞くと壮大すぎることに感じる面もありますが、長い長い歴史の中で市井のひとりひとりがつながって社会をつくりあげてきた。奇しくもコロナ禍のなかで読む「命のつながり」の話は、自分の命の奇跡を感じさせてくれ、心に明るい光を受けたような気持ちになりました。

– INFORMATION –

 『どんなときでも、出口はあるよ』


出版社: WAVE出版
著者: 篠原鋭一
www.amazon.co.jp/dp/4872906527