greenz.jpでもたびたびお伝えしている、プラスチックの話題。
安くつくることができて、ものの保存に適しているプラスチック。1950年頃からつくられるようになり、2015年時点で年間3.8億トンが製造されるまでになりました。これまでの総量は83億トン、このうちの半分はこの十数年につくられたものなのだとか。
プラスチックでつくられた包装容器などは、ゴミとして土に還るまでに非常に長い時間を要します。りんごの芯が2週間で土に還るのに比べると、プラスチックの袋は10〜20年、ナイロン製品は30〜40年、ペットボトルにいたっては500年もかかるのだそう。(自然に戻るのは500年、1000年かかるとか、半永久的にかえらない可能性があるなど、諸説あります。)(出典元:UK TODAY、NHK)
このような現状の中で、今世界中で問題とされているのが、2016年の世界経済会議(ダボス会議)で報告された、「年間800万トン以上のゴミが海に流出していて、今のままでは2050年には魚よりもプラスチックが多くなるだろう」と言われるものです。
プラスチックの中でも紫外線や雨風などで劣化した5ミリ以下の細かいものをマイクロプラスチックと呼びますが、これらが海を汚しているのはもちろん、私たちの口から体内にも知らない間に入り込んでいて、なんと1週間に5グラム、およそクレジットカード1枚分を摂っているんだそうです。(出典元: ACS Publications)
口から入る一番の原因はボトル入りの飲料水で、ほかにも貝類や塩やビールなどと一緒に取り込んでいることが多いそう。
体内に入り込むプラスチックを完全に排除することは難しいですが、少しでも減らすために、毎日の生活でできるヒントを4つご紹介します。
1. ペットボトル入りの水分を避けて、水道水を飲む。
カナダの研究では、ペットボトル入りの水を飲む人は、年間90000個のマイクロプラスチックを摂取していることが明らかになりました。水道水でも4000個ほど摂取してしまうようですが、その差は、20倍以上にのぼります。マイボトルを持ち歩くのは、環境に配慮することだけでなく、自分自身の健康にも為になりそうですね。
2. プラスチックの包装を避ける。
これも100%の実現は困難かもしれませんが、たとえば、バラの野菜を購入する、ガラス瓶の容器などを持参して購入するなど、できることもありそうです。アメリカの「The Wally Shop」の取り組みや、日本の徳島でも「上勝百貨店」など、量り売りをしてくれる場所もあります。
3. プラスチック容器ごとレンジで温めない。
熱を加えるとマイクロプラスチックが食品に浸出する可能性があるので、電子レンジで調理する際は、ガラスかセラミックの容器に移すことが推奨されています。また、プラスチック容器を食洗機で洗うこともやめたほうがいいでしょう。
4. 部屋をこまめに掃除する。
家の中の塵には、化学物質とマイクロプラスチックの破片が含まれています。定期的に掃除機をかけることはもちろん、できるだけ天然の素材でつくられた布地や家具を選びましょう。
プラスチックが体内に入り込むことの弊害は実はまだ明らかになっていませんが、小さなプラスチックは、血液やリンパ系に入り込むことができ、肝臓に到達する可能性があること、排泄物10グラムごとに20個のマイクロプラスチックも見つかっていることが発表されています。
いつもの日常生活をほんの少し意識したり、工夫して、小さなアクションを積み重ねる。その先に自分自身と地球のサステナビリティがあるのかもしれませんね。
[via Consumer Reports、Business Standard、treehugger、The Guardian]
(Text: 山崎久美子)
(編集: スズキコウタ)