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ゴミが出る包装なんて、もう要らない。無駄のない配送で新鮮な食品を届ける「The Wally Shop」

あなたは普段、食品の買い物の後、プラスチックゴミのあまりの多さにうんざりしたことはありませんか?

プラスチックは便利である一方で、排出されるゴミの問題は、気候変動や海洋汚染などにつながり、地球全体で一緒に取り組むべき社会課題となっています。

そんなプラスティックを含むゴミ問題に立ち向かう店を見つけました。それが今回ご紹介する、「The Wally Shop」。2018年10月にオープンした、ブルックリンを拠点とする 「ゴミゼロ食料品宅配サービス」 です。彼らが行っている食料品の包装に対する取り組みをご紹介します。

「The Wally Shop」は、再利用可能なガラス瓶やオーガニックコットンのメッシュバックなどのパッケージで食品を梱包し、自転車で家まで届けてくれます。食品を梱包している再利用可能なパッケージは、1つにつき1ドルのデポジットを支払って利用する形。次回の注文時などに戻すと返金される仕組みです。回収されたパッケージは綺麗に洗浄され、また次回の配達に使われます。

全ての梱包を、ガラス瓶やオーガニックコットンバックなどでしていることにも驚きですが、人気の理由はそれだけではありません。配達されるものは、地元の農作物やオーガニック食品、フェアトレードのものだけなのです。そして、注文をしたその日に届けてくれます。つまり、プラスティックゴミを出さないだけではなく、新鮮で健康的な食品を注文したその日に食べられるのです!

ブルックリンに住むケイト・ブラッツケアさんが、「The Wally Shop」での買い物と、一般的なスーパーでの買い物を比較しました。

買ったものは、バケット、リンゴ、ブロッコリー、ルーズリーフティー、トレイルミックスのメイソンジャー、そして大麦です。

まずは、包装されたものを見てみましょう。

「The Wally Shop」では、バケットと農産物はそれぞれ布袋に入っています。大麦やお茶、トレイルミックスはガラス瓶に入っており、それら全ては布製のトートバッグで届けられました。

一方で、一般的なスーパーでは買ったもの全ての包装にプラスチックやビニール袋を使用。お茶は缶の容器に入っていましたが、密封するためにプラスチックのフィルムが使われていたようです。

次に金額を比べます。スーパーでの買い物は22ドル、「The Wally Shop」での買い物は食品だけでは約19ドルですが、そこに配送料、チップ、再生利用可能なパッケージ6つ分の費用を乗せて、計31ドルとなりました。パッケージのデポジット(6ドル)を差し引いた金額で比較すると、「The Wally Shop」はスーパーより3ドル高いことになります。

この金額差を、あなたは高いと思うでしょうか? それとも地域でつくられた新鮮で健康的な食品や環境への配慮を考えれば、安いでしょうか?

「The Wally Shop」でのレシート

一般的なスーパーでのレシート

2店舗での買い物体験を比較してケイトさんは、

「The Wally Shop」を利用して、捨てるだけのプラスチック容器の多さへの罪悪感は和らぎました。でも、肉や魚を扱っていなかったり、利用エリアが限られるので、まだ課題もありますね。

といいます。

「The Wally Shop」を始めたのは、Amazonで包装と出荷を担当していたTamara Lim(以下、タマラさん)。タマラさんがこのプロジェクトを始めた背景には、2017年7月に中国政府が外国からのゴミの輸入禁止を発表したことがありました。そして、一般的な都会での消費者の暮らしに目を向けると、私たちのゴミの多くが食料品や日用品の包装だという気づきに至ったのだとか。

そこでタマラさんは、リサイクルを進めるよりも、消費者の行動としてリサイクルが要らない環境をつくることで、忙しい日常の中でも持続可能な生活ができるように「The Wally Shop」を始めたのです。

今、世界的に海洋プラスチックゴミが問題とされています。海に流れ出たプラスチックゴミが漂流し続けることにより魚や海鳥、海獣が傷ついたり、死んだりしている写真を見たことがあるかもしれません。さらに、近年では漂流するうちにどんどん小さくなったプラスチック(マイクロプラスチック)が海底にたまり、海洋生態系に影響を与えているとも言われています。

便利さに気づかないほど日常的に使い、捨てられているプラスチック製の容器や包装。それらを資源物としてリサイクルすることも大事ですが、それだけではプラスチック製のゴミを減らしなくすうえで十分な解決策とは言えないかもしれません。

これを機会に普段目にしている食料品のトレイや包装ラップを使わないで済むにはどうしたらよいか考えてみませんか?

[via The Wally Shop, The Wally Shop Facebook, The Wally Shop Instagram, HuffPost, Fast Company]

(Text: ナカオカヅキ、山崎久美子、阿部哲也、田中絃正)
(Edit: スズキコウタ