greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

あなたは同じ服を100日間、着続けられますか!? 中学校教師のJulia Mooneyさんが、毎日同じワンピースを着て教壇に立って教えたかったこと。

突然ですが、あなたは、毎日ずっと何週間も何ヶ月も同じ服を着られますか?

私はというと、きっと無理です。そこには「飽きるから」「破れるから」といった理由の奥に何かがありそうな気がしています。

今回ご紹介するのは、同じワンピースを100日間着続けた教師のJulia Mooney(以下、ジュリアさん)

彼女のシンプルなあり方は、単なるファストファッションへのアンチテーゼではありません。そのあり方は意外にも、他人からの「いいね」が気になり、効率化したはずの時間が消えていくような日々を、変えるきっかけにもなり得るのです。

今日は、そのエッセンスをお届けします。

中学校の教師をしているジュリアさんは、一着のワンピースを毎日着て、破れたら縫い、エプロンを身につけて汚れを防ぎ、100日間続けました。週末には洗濯し、月曜日には綺麗にして着ていたそうです。

なぜそんなことを始めたのか。ジュリアさんは、中学生の生徒たちが見た目を気にしすぎていることに疑問を持ったからだそうです。

毎日違うものを着なければならないと言うルールはどこにもないですよね? 12歳や13歳の生徒たちにとって、服を選ぶことは毎日のことでありイシューでもある。彼らは自分自身を、ブランドや表面的な見え方で定義しようとしているように思うのです。

たしかに、中学生の時の私は友達の目が気になって、「昨日と同じこれでいいじゃない」と言う母に対して「同じ服を2日連続で着るなんて、恥ずかしい…!」とよく喧嘩をしていました。

私が同じ服を着て教室に来るようになってからしばらくして、クラス全体でディスカッションをしました。何人かの生徒は、服のブランドや表面的なことで判断するのはなんとバカげたことか、と熱心に話してくれました。きっと、そんな話ができるのを待っていたのでしょう。

彼女のアクションに、周りの大人たちも賛同していったそうです。彼女のパートナーであるパトリックさんは、同じズボンとシャツを着続けたのだとか。さらにInstagramでは、#oneoutfit100daysというハッシュタグで服装をアップする人たちまであらわれ、ムーブメントに!

「#oneoutfit100days」がつけられたインスタグラム上の写真

ジュリアさんの行動がムーブメントまでに発展した背景には、「あり方」よりも「見た目」が大事だとする文化への反発があるような気がします。

あらゆるSNSで「いいね」をもらうことが良いとされ得るような流れの中で、今一度「自分が大切にしたいものか」ということを基準にする。「ミニマリスト」、というワードはもう耳慣れているかもしれませんが、本当に必要なものだけで生活する生き方を、人々は求めているのではないでしょうか。

効率化して浮かせた時間は、どこへ?

服選びだけでなく、時間の使い方についても「自分にとって大切なことに使いたい」という流れは大きくなっていると感じます。

とはいえ日常生活を思い返してみると、時間短縮できるアイテムや機能を使い、コミュニケーションも効率化させて闇雲に時間稼ぎをしても、その浮かせた時間を何につかっているのか自分でもわからなくなってしまうことがしばしば。

「あれ、何のために効率化したんだっけ?」
そう思うことがよくあります。

ジュリアさんは、服選びに使っていた時間をより自分にとって大切な物事に使うことで、より自分らしくいられるようになっていったと言います。

服を選ぶ時間をなくしたことによって、愛する子どもと過ごすことや、クラスの生徒たち、いつも頑張っている自分のために時間もエネルギーも使えるようになりました。ワードロープを少なくしたことで、時間の使い方を含めてより自分を表現することができていると感じています。

このようにジュリアさんのあり方には、自分が大切にしたいことを見極め、できるだけ時間もエネルギーもそこに注ぎたいという想いがあるのです。効率化するだけでなく、その上でどう時間を使いたいかまで考えてみることが、「自分が大切にしたいこと」をするための一歩と言えるかもしれません。

レストランで映える写真を撮って投稿する前に、一緒にいる人の存在を気にかけてみる。寝る前のSNSタイムの前に、どう時間を過ごしたいのかと考えてみる。

そんな小さなことでも、せわしない日々の中で自分を取り戻すことができる機会になるかもしれません。あなたも、見えない周りの声を少しだけシャットアウトして、自分の声を聞いてアクションしてみてください。

私も自分のワードロープを見つめなおすところから、はじめてみようと思います。

[Via Treehugger]

(Text: 森野日菜子)