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ethique(エティーク)のシャンプーバーを使ってみた。地球に優しい固形シャンプーとは

多くの方がほぼ毎日しているであろう、シャンプー。香りや使い心地など好みもあるものですが、”固形シャンプー”をお使いの方は少ないかもしれません。

今回は、私たちの暮らしにも地球にも優しい固形シャンプーをご紹介します。満を持して日本発売となった「エティーク」です。

英語では「シャンプーバー」と呼ばれている

実は、一般的な液体シャンプーの70〜90%は”ただの水”であることをご存知でしょうか。液体であるがためにボトル容器を必要とし、残念ながら空になったボトルはプラスチックゴミとして海洋汚染につながります。さらに、水の腐敗を防ぐための薬剤が添加されたり、トロッとした質感のために(森林破壊の原因とされる)パーム油が使われることもしばしば。

それならシャンプーから水を取り除けばいいと考えました。だって、シャンプーはお風呂で使うものであって、お風呂場には水がたくさんあるんですもの!

そう語るのは、ニュージーランドから来日した固形シャンプー「エティーク」開発者であり、同社代表のブリアン・ウエストさん。生物化学を学んでいた大学生の頃、環境破壊に心を痛めたことをきっかけに、化学の知識を活かして固形シャンプー”シャンプーバー”を手づくりし始めたそう。

はじめは自宅のキッチンでつくってみたんです。ほとんどの化粧品やシャンプーが大量のプラスチックゴミを出し続けて、こんなにも環境破壊が進んでいるんだから、ゴミの出ない商品をつくって、この世界を救いたいと思いました。

インターネットでもシャンプーバーを販売したところ、各地からほしいという人が続出。ユーザーたちの好反応を得て、2012年には事業に拡大し「Ethique(エティーク)」社を設立。起業時のクラウドファンディングでは、わずか10日間で20万NZドル(約1,500万円)を達成しました。

そのとき、自分たちは正しいことをしているんだと実感し、自信につなげることができました。

社名はフランス語でエシカル(環境や社会への負担がなく論理的であることの英語)を意味しています。

きっと皆さんも気になる使い心地。早速試してみました!

読者の皆さんの中には、”固形のせっけんシャンプー”を使ってゴワゴワの髪になった経験のある方もいるかもしれませんが、それは、せっけん成分によってアルカリ性を帯びた髪がきしんだため。その点、主要成分がココナツオイルやカカオバターといった天然素材で、石けんではない、シャンプーであるエティークなら心配なさそうです。

気になる使い心地を試すため、わたしもエティークのシャンプーバーとコンディショナーバーを使ってみました。髪を濡らした後、シャンプーバーを手に持って、4〜5回髪の表面を直接滑らせ、あとはいつも通り泡立てて使います。


(具体的な使い方はブリアンさん自ら同社の短い動画で解説もされています。)

この記事を書いてる時点ですでに1週間ほど使っていますが、髪がゴワつくことは一切ありません。それどころか頭皮はすっきりとし、使うたびに髪に潤いが増すように感じています。

実はわたくし、髪にも環境にも優しいシャンプーを求めるあまり随分と長い間いろんなシャンプーを試し続けているのですが、エティークのおかげで、自分に合うものを探し続ける旅から卒業できそうな気がしてきました。

エティーク誕生秘話を聞いてみた

使い心地も良く、環境にも徹底的に配慮されていることはわかりましたが、具体的に「エティーク」はどれほど環境問題に効果的なのでしょうか?

エティークのシャンプーバー1個は350mlの液体シャンプー3本分、コンディショナーバーは1個で5本分に相当します。つまり両方を日々使うことで、プラスチックボトル 8本の削減に成功したことになります。

当初わたしたちは、2025年までに1,000万本の削減を目標にしてきましたが、この2年半で大きく市場を広げられたこともあって、間もなく達成することが確実になりました。今はすでに1億本の目標に切りかえています。

近年世界中で問題視されているプラスチックゴミは年間800万トン。中でもシャンプーやコンディショナーの容器だけで、なんと年間800億本という凄まじい量が出ることも教えてくれました。多くの人が日々繰り返す生活習慣であるだけに、積み重ねる結果が大きな違いを生むんですね。

エティークの日本発売に合わせて来日された、ブリアン ウエストさんにお話を聞きました。

社会課題は、水とプラスチックだけじゃない

実は以前から、水資源の保護とプラスチックフリー(プラスチック不使用)をうたう固形シャンプーは他社からも発売されているのですが、「エティーク」の独自性は、他の社会課題も考慮していることにあるといいます。

✔️ プラスチックフリー
✔️ パーム油不使用
✔️ 動物実験なし
✔️ 動物性不使用(ヴィーガン)
✔️ リビングウェイジ(地域活動も可能な生活水準に適切な賃金)
✔️ フェアトレード(原材料の生産者などに対した公正な取引)
✔️ 収益の20%を動物保護団体へチャリティ

環境や社会に配慮する消費者の懸念事項をすべてクリアした、徹底的なサステナブル。それも、日本では未発売のアイテムも含め、すべての製品において同じだそうです。

専用ケース「バーコンテナ」は底辺に水切りがあり蓋付き。耐水だが素材は竹、さとうきび、コーンスターチで、生物分解に優れたプラスチックフリー。

オイルペーパーに包まれリサイクルインクを使用した紙製の箱に入ったシャンプーバー。梱包までもが徹底したサステナブル。

社会課題の解決に貢献したい人の増加を証明するかのように、近年のエティーク社は急成長を遂げています。複数のグローバルメディアに掲載後、著名人たちがSNSに投稿したことで爆発的に拡大。取扱店はニュージーランド国内だけで約300店舗、オーストラリアで500店舗、さらにアメリカ、アジアへ進出後、2019年2月から日本での発売も開始されました。

日本で発売されるのは、シャンプーバーが4種類(写真上)のほか、コンディショナーバーが2種類。1個で平均4〜5ヶ月間分は使用可能。

創設者のブリアン・ウエストさん(左)と創業時から関わっているというマネージャーのジェニー・チエウさん(右)。さすがお二人ともツヤツヤ!

何を考えて、何のために、買うのか。

海外では同社のシャンプーだけでなく、フェイス、ボディ、シェイブ、ベビーやペット用までと、48種類に及ぶ全てのアイテムをブリアンさんが考案されています。新商品のアイデアはどんなときに思いつきますか? と聞くと、即座に「どんなときも、いつだって考えてるわ!」と楽しそうに笑うブリアンさん。頭の中には常に、どんな素材の組み合わせで実現できるかという15個以上のネクストアイディアがあるんだとか。

環境問題は地球に暮らすみんなで取り組むべきことなので、どんな人も快適に使えることが大切です。色んなニーズを考えているうちにたくさんの種類ができました。

大切なことは、何も考えずに買い物したりせず、本当にそれが必要なのかどうかと考えること。どれを選ぶか、買った後は再利用できるか、車やバイクに考えなしに乗るか、公共の乗り物で行くかを比較することなど。そうやって考える人たちに寄り添える会社でありたいと思っています。

ブリアンさんはにこやかで優しいながらも、世界を良くしたいという情熱に溢れたかっこよさがありました。

今日あなたはなにか社会課題にチャレンジしましたか?毎日使うものを考え直す、そんな小さな変革の第一歩を踏み出してみてはどうでしょう。

(撮影協力: 上山 翔)