地元がこんなに素敵なのに、高校を卒業したら、みんな市外に出て行ってしまう。
もっと、みんなが自分の自慢できるような地元にしたい。大学進学で一度は出ても絶対帰ってきたくなる、ワクワクするような場所にしたい。
私はそんな思いを胸に、「どうすれば魅力的な地元になるのか」と考えていました。
その答えは、私自身の小学校、中学校、高校と、学生時代に経験したことにありました。小さい頃から人を楽しませること、企画することが大好きで、近所の人たちを集めて小さな運動会を企画したり、新聞をつくったり、ドラマの撮影にチャレンジしたり、高校生のお店を開店したり。
とにかく、ワクワクするような“企て”によって、地元への愛着が深まっていきました。
そうです、その「ワクワク」と「企て」こそが、私の地元愛の原点だったのです。
同じような経験を地元の子どもたちに経験してもらいたい。
そして、大人たちを巻き込んで、もっとおもしろいことにチャレンジしてもらいたい。
大人たちは、大人たちで、地元で働くという選択肢を、もっと広げてもらいたい。
さらに、八幡浜に訪れる人たちが、この場所からいろんな刺激を受けてほしい。
ならば、そんな思いをギュッと詰め込んだ場所をつくろう! そうして生まれたのが、「コダテル」という“ヒミツキチ”づくりでした。
空き家だった民家をリノベーション。子ども、大人、市外からの来訪者の区別なく、ワクワクできるような“ヒミツキチ”づくり。今回は、そんな「コダテル」でつくりたい未来について、発起人の私が自らご紹介します。
コダテルの運営を行っているMIGACT(ミガクト)の代表を務めています。コダテルを拠点に、地域に根ざした様々な事業を展開しています。
個人が自由に企てられる社会を
私は、1983年愛媛県八幡浜市向灘地区に、みかん農家の長男として生まれました。
小さい頃から「人を楽しませること」、「企画をすること」が大好きで、小学校時代には、近所で運動会を企画、中学校時代には、独自で作成した新聞の配布やドラマ撮影、高校時代には、商店街活性化を目的にした高校生のお店「AKIND(あきんど)」を開店しました。
このような経験がきっかけで、地元への愛着が深まり、大学卒業後、帰郷し地域金融機関に勤める傍ら、八幡浜を元気にすることを目的にした「NPO法人八幡浜元気プロジェクト」を起ち上げることに至りました(現在、同法人の代表)。
また、活動は八幡浜市内に留まらず、greenz.jpのライター、ローカルWEBメディア「KITONARU(きとなる)」編集長なども務めています。
転機が訪れたのは、2016年の夏。当時の私は、勤めていた金融機関から愛媛県庁に出向し、同年開催の「えひめいやしの南予博2016」実行委員会の事務局に所属。観光プログラムの開発支援などをするため、日々住民グループの方と膝を突き合わせながら関わっていました。
そうした中、「アイデアがあるのに、動き出せない」、「企画をどう練り込み、社会から共感を得ればいいのか分からない」など、多くのグループや個人の抱える、もどかしい課題に接したのです。私は、住民グループに向き合えば向き合うほどに、「もっと個人が自由に企てられる社会をつくる必要性」を感じはじめ、私自身もそれに主体的に取り組んでいきたいと思うようになりました。
そして、2017年5月末に金融機関を退職。現在、フリーでNPOなどの中間支援に関わる傍ら、地元八幡浜に、子どもも大人も企てられる秘密基地「コダテル」をつくる決意をしました。
子どもも、大人も、旅行者も!それぞれの“ワクワク”を実現できるような、使う人が“育てる”場所にしたい
どんな場所にしようか、と考えた時、一番最初に思い浮かんだワードが「ヒミツキチ」でした。みんながワクワクできるような、ヒミツキチ。
そのために、次の3つの機能を提供しようと決めました。
学び場(コラーニングスペース)
何かを学びたい、という気持ちを持った人に、学ぶ場を提供しています。ここでは、学校や会社で教えられる、いわゆる“勉強”ではなく、“生きるための学び”。働き方や、これからの生き方を考えるきっかけになるような知識や経験を身につけられるようなことを中心に、学びのプログラムを企画していきます。
また、子どもと大人の境界線をあいまいに、つながりを意識したスペースにしていますので、子どもたちにとって、生きた教材として大人たちがいる、という環境をつくりだしています。地元愛を育む仕掛けづくりもここからです。
働く場(コワーキングスペース)
フリーランスをはじめ、複業やパラレルワークなど多様な働き方に対応するワーキングスペースを提供しています。仕事の打ち合わせや商談にも利用でき、それぞれの利用者の知識・経験、仕事を共有することも可能です。
また、コラボレーションや、新しい事業の起ち上げなど、人と人の幅広い交流をめざしています。講習会や、交流会、コラボイベントなど、人と人をつなぐ空間的役割も。
交流の場(コラボキャンプ)
八幡浜の外から訪れる人と、八幡浜の人をつなぐ拠点の役割も担っています。講演会、講習会、宿泊機能も持たせることで、幅広い利用シーンを想定。
お試し移住体験や、ローカルツアーなど、市外の人と地元をつなぐことで、地域活性化につなげる企てが生まれる場を提供していきます。
みんなが“企てる”“育てる”みんなのヒミツキチ!
私が「コダテル」という場所に期待するのは、ここを利用する人たちが、さまざまな発想でおもしろい使い方をすることです。
私の役割は、企てる・育てる場所として「コダテル」を提供し、見守る。いわば、黒子のようなものです。主役は、ここに集まる人たち。その人たちのワクワクするような時間、ワクワクするような企てにスポットをあて、“照らしたい”という思いこそが、私が「コダテル」をつくる理由です。
人づくり、働き方を、“照らしたい”
人口減少社会の日本。ここ、愛媛県八幡浜市の人口も右肩下がりで、少子高齢化の波が押し寄せています。そこで、鍵をにぎるのが、「人を地域が育てる」という意識だと思います。高校を卒業するまでに、「地域との関係性」をどう持つのか。少子高齢化にあえぐ地方にとっては重要です。
将来の働き方を選ぶとき、「地域に帰って働く」という選択を加えられるよう、「コダテル」では、長期的な子どもたちの能力開発やキャリア教育、居場所や活躍の場づくりの活動を行っていきたいと考えています。
また、多様な働き方を実践する時代を目の前に、自立的で創造的な個人の活動をサポートできる場所(環境)を提供していきます。
空き家の活用に、“光を当てたい”
全国でも問題が顕著化している空き家。平成25年の住宅・土地統計調査によると八幡浜市の空き家率は19.5%で愛媛県下11市のうち2番目に高い率になっています。安全性の低下、公衆衛生の悪化、景観の阻害、地域コミュニティの衰退にわたる問題が発生する状態で、対策が急がれています。
「コダテル」は、地域特性や空き家の状況にあわせて機能を組み替える「空き家活用パッケージ」として始動。今回のプロジェクトの実績、ノウハウや人脈などを駆使し、八幡浜市や他地域の空き家問題を解決できるものになると考えています。
空き家をリノベーションして、ヒミツキチ「コダテル」がオープン!
八幡浜市向灘地区にある築70年ほどの木造2階建ての古民家。それが、みんなで企てる、ヒミツキチ「コダテル」の第1号です。しばらくの間、誰も住んでいなかった家をヒミツキチとして活用するために、リノベーション工事を行いました。
この古民家、玄関から出ると、八幡浜港が一望できる、ロケーションが抜群の場所にあります。天気が良い日は、外を眺めながらボーッとできる、本当に気持ちの良いところです。
クラウドファンディングに挑戦中。さらなるコダテルの拡充を目指しています
当初は、補助金や自己資金での改修を考えていましたが、予想していなかった問題が発生しました。なんと、古民家の1階の床を外してみたら、水漏れや柱の補修など、追加の工事が必要になったのです。このため、当初考えていた予算をオーバー。総額900万円を超える規模になってしまいました。
そこで、現在クラウドファンディングに挑戦しており、空き家を改修するための資金のうち80万円をみなさんの力をお借りしています。
コダテルはオープンしていますが、特に予算が不足し、後回しにせざるを得なかった「宿泊スペース」の改修費用・備品購入などの拡充にも使わせていただきたいと考えています。
みんなの心に宿る“企て”を起こす応援をしたい
今回のプロジェクトは、“場所”(ハコ)が完成して終わりではありません。
子どもたちから大人たちまで、普段は出会えない人と人とが交わり、心を掻き立てるような“企て”を起こす空間・コミュニティをつくるのが「コダテル」です。
この新しい拠点から、みんなの心に宿る“企て”(コト)を起こす応援をしていくことが真の目的です。
私は、「コダテル」に関わるすべての人を“照らせる”存在になりたいと思っています。みなさんも、「“ここ”から“企て”」てみませんか?家や職場とは違う新しい空間とコミュニティに身を寄せてみると、不思議と心が掻き立てられていきますよ。
– INFORMATION –
ワクワクするような“企て”がいっぱい詰まった
“ヒミツキチ”「コダテル」をつくります!
https://faavo.jp/ehime/project/2466