一般家庭向けの広告や、街を歩く際に目につくことも増えてきたソーラーパネル。徐々に普及が進んでいるものの、「仕組みがよくわからない!」「お金がかかりそう..」など、まだまだ身近に感じられない方も多いのでは?
その理由のひとつは、パネルの無機質で、どこかよそよそしい見た目なのかもしれません。特に細部までこだわった一軒家だと、せっかくの外観が台無し‥‥と思ってしまう方もいるのではないでしょうか。
そんな「美しい見た目のものを使いたい」という方にオススメしたいソーラーパネルを見つけました。設置されているのは、デンマークの学校「Copenhagen International School(以下、CIS)」。デザインと発電の効率性、その両方を追求した美しいソーラーパネルをご紹介しましょう。
明るくユニークな色に仕上げられたソーラーパネル。でも実は光の吸収率が低下してしまうので、色素を使っていないのだとか。
その代わり、10年以上の研究により発見された、特定の光しか反射しないフィルターを使用。他の光は反射されることなくパネルに吸収され、効率的に電気をつくることができます。
そして驚きなのが、ソーラーパネルが屋根ではなく、校舎の正面に余すところなく設置されていること! その数は1万2000枚、設置面積は6048平方メートルにおよび、建物に設置されたものではデンマーク最大級の規模をほこります。
ソーラーパネルの発電量は年間300MW/h、学校の消費電力の約半分を賄います。これは、デンマークで一軒家の一般家庭70軒世帯の年間使用電力に匹敵するそう。(出典元)
このソーラーパネルを設置した「CIS」は、環境に優しい設備をつくるだけでなく、学校に通う生徒が環境への問題意識をもつきっかけをつくることも目的にしています。
実際に、発電量や使用量などのデータを見ることがきるモニターを使用して理科や数学の授業を行ったり、校舎正面にソーラーパネルを設置することで、生徒が太陽光発電を日常的に目にすることができています。
「CIS」の学長であるJennifer Weyburn(以下、ジェニファーさん)は、今回の設置について、以下のように話しています。
ソーラーパネルを校舎に設置したのは、生徒たちに環境問題を身近なこととして感じ、学んでほしかったからです。それは、本校の教育においてとても重要なことなんです。
私たちが持続可能な環境、そして未来について考えることを促してくれる新校舎をうれしく思っています!
「CIS」が10年以上という期間をかけてでも、ソーラーパネルのデザインにこだわったのは、子どもたちにクリーンなエネルギーを身近に感じ、環境の持続可能性を真剣に考えてほしかったから。
良いデザインは、一瞬で人に訴えかける力があります。
伝えたいことがあるとき、「内容がよければ自ずと伝わる」と思ってしまいがち。しかし、言葉やデザインを工夫することで、より身近な人とわかりあえるだけでなく、ひいては社会に影響する波及力をもつかもしれません。
[via CIS,CIS-THE NEXT 50 YEARS,C.F. MØLLER,Facebook,EcoWatch,EPFL,Kadvacorp.com]
(Text: 菅原沙妃)
(編集: スズキコウタ)