日本語で誰かを力づけるときに「頑張れ」と言うけど、この言葉を解体すると”頑(かたくな)に張れ”。
背筋を心をピンと張りなさい、と。
なんか命令形ぽいし、好きになれない言葉かもしれない。
僕はかつてアメリカに住んでいたことがあるけれど、「がんばれ」を英訳すると「Do the best」とか「Work hard」となる。あまり言われたことがないし、このふたつの言葉を発せられたら、ちょっとプレッシャーを感じそうだ。
では、僕は当時、どんな言葉に力をもらってきたかというと、「Good luck(幸運を祈る)」だとか「Best wishes(成功を祈る)」、「Take it easy(気軽にね)」あたりだろう。「頑張れ」とは、ちょっと違う。
僕が「頑張れ」という言葉を好きになれない理由は、そんなアメリカ生活での体験もあるけれど、時にこの言葉が人を追い込んでしまうと感じることにもある。というのは、すでに頑張っている人に対して「頑張れ」って言っても、何のエンパワメントにもならない。むしろ「私は、もっとがんばらなきゃいけないの・・・?」と追い込んでしまいかねないのである。
実際に、東日本大震災を経て、被災者に「頑張れ」とエールを送ることは無配慮ではないかという指摘もあったようだ。
その点「Good luck」や「Take it easy」は、すでに頑張っている人にも有効で、かつあまりプレッシャーを与えずに人びとを勇気づけることができるのではないか?「頑張れ」というのは実に便利な言葉だ。それゆえ、つい口から出てしまうけど、僕は極力注意して使うようにしたい。
このように、ふと使ってしまう日本語に対して疑問を持つのは、実に意義深いし、かつ言葉を紡ぐことを生業にする人間として面白く感じる。
僕らの心やカラダが満たされる、奮い立たされる言葉ってなんだろう? それを追求するのは、greenz.jpという「ほしい未来は自分の手でつくろう」と挑戦する人びとを勇気づけるメディアの副編集長として大事な仕事かもしれない。そう、真剣に思う。
このコラムを読んでいるみなさんは、今までどんな言葉に勇気づけられてきたのだろう? ぜひSNSやコメント欄で教えてくれるとうれしい。
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