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故郷の「心」とつながりたい。返礼品ではなく「共感」で選ぶ新しいふるさと納税「F×G」

あなたは「ふるさと納税」にどのような印象を持っていますか?

「興味はあるけど手続きが面倒そうで億劫…」
「返礼品競争や節税対策ばかりが注目されてちょっと抵抗感が…」という意識を持っている方は多いのではないでしょうか。

自分が生まれ育った故郷や好きな地域に寄附をして応援できるという利点の一方で、返礼品における自治体競争の激化というねじれ現象が疑問視されてもいるふるさと納税。

そんな現状に一石を投じ、「故郷に恩返しをする」「好きな地域を応援する」というふるさと納税の本質を取り戻す新しいサービスが生まれました。

クラウドファンディング型のふるさと納税「F×G(エフバイジー)」です。

2016年10月リリース、「Furusato」×「Government(行政)」の頭文字からとった「F×G」。若者にも興味をもってもらえるようデザインにもこだわりがあります

クラウドファンディングでふるさと納税の本質を取り戻す

F×Gの特徴は、日本初の「クラウドファンディングに特化したふるさと納税」であることです。

地方自治体の首長・職員の取り組み、地域にかける思いや背景を記事化し、起案者である自治体はもらった寄附金の使途を具体的に明示します。 

そうすることで、起案者(まち)の顔が見える、守りたい地域資源が分かる、想いが伝わる。私たちはその使い道への「共感」で寄附先を選ぶことができます。

これまでのふるさと納税は、肉や魚など返礼の品物から気に入ったものを選ぶことがほとんどでした。しかしF×Gでは、クラウドファンディングを介し、そのまちが集まった税金を何に使うのか、どんな未来を描いているのかをきちんと紹介しているため、ビジョンやミッションを理解した上で共感した事業に寄附(ふるさと納税)をすることができます。

節税対策や返礼品をもらうといった経済的メリットだけでなく、都市部にいても故郷や好きな地域と“心”でつながることができるのです。

F×Gの理念はじわじわとふるさと納税やクラウドファンディング、地域活性に興味を持つ人々の注目を浴び、サイトオープンからわずか3ヶ月で寄附総額1,000万円を達成しました。

「離れてしまった故郷と“心”でつながりたい」と思っている人々に届けたい、新しいふるさと納税の可能性とは? F×Gの仕掛人、株式会社サーチフィールドの齋藤隆太さんに話を伺いました。

齋藤隆太
FAAVO/F×G運営責任者。全国各地で講演や講師を務めるほか、内閣府地方創生推進室「ふるさと投資連絡会議」構成員、野村総合研究所「2030年100人の革新者プロジェクト」選出、テレビ東京「ガイアの夜明け」出演など、地方の未来を担う一人として活躍中です。

ずっと地域に根ざしてきた「FAAVO」だからできること

齋藤隆太さんは、地域を盛り上げるプロジェクトの応援に特化したクラウドファンディングサイト「FAAVO(ファーボ)」を手がけてきた方です。

FAAVOが目指しているのは、都市部に住んでいる地方出身者のアクションを誘発して地方に住む人とつなげ、誰もが当然のようにUIターンができる社会をつくること。

一方で齋藤さんは、FAAVOと同じような理念を持っているはずのふるさと納税が、返礼品競争や節税対策などの側面的な視点だけで議論されがちなことや、面倒くさそうというイメージから断念する人が多いことを残念に感じていました。

「都市部と地方の“心”のつながりこそ持続可能な地域づくりの鍵である」と考える齋藤さん。ふるさと納税に共感性やストーリー性を加えることでこれらの課題を解決し、新たな価値を生み出せるのではと考え、F×Gをスタートさせたのです。

FAAVO/F×Gのメンバー。日本でもクラウドファンディングの利用人口は急増しており、使い道が明示された「共感」からの資金調達(=クラウドファンディング)は、確実に市民権を得てきています

ふるさと納税が一定の認知をされ、その本質が改めて問われている今こそ、返礼品拡充以外の成功実績を出すことが求められていると思います。

ふるさと納税を通して、その地域のことをもっと理解しファンになるという流れが生まれると、自治体の返礼品も“想い”を充足させてくれるようなものに重点が動いていくかもしれません。

このような仕掛けは、ずっと地域に根ざしてクラウドファンディングを行ってきたFAAVOだからできる、いや、僕たちにしかできないという自負があります。

齋藤さんが手がけてきたFAAVOは、現在、全国60地域の地方自治体や金融機関、新聞社など、さまざまな団体と協働しながら1000件超の資金調達をサポートし、達成率70%以上、トータル支援金約5億円超という実績をあげています

何がもらえるかではなく、何のために使うのか

では、理念が近いというFAAVOとF×Gの違いは何なのでしょうか?

いちばんの違いは、F×G の起案者はすべて自治体であること。そして、一般のクラウドファンディングのように「支援」という扱いではなく、税金控除のある「寄附(ふるさと納税)」という扱いになることです。寄附なので、税金控除の対象になり、実質2000円で自治体から特産品などのお礼の品を受け取ることができます(※)。

F×Gでは、これまでに5自治体の6プロジェクトが公開されてきました。

例えば、恐竜のまちとして有名な福井県勝山市は、まちのシンボルである巨大恐竜モニュメントの頭が落ちてしまったことを受け、修復のための寄附金を募りました。このプロジェクトは、勝山の地元住民や都心部にいる勝山出身者、全国の恐竜ファンなどから多くの共感を呼び、745万円の寄附金を調達しました。

F×Gでは、まちのために自治体と住民が一丸となって立ち上がっている姿を知ることができるうえ、自治体が起案者だからこそ、まちを盛り上げるための政策に寄附という形で直接関わることもできるのです。

多くの共感を集めた福井県勝山市のプロジェクト「ホワイトザウルスの新たな誕生=リ・ボーン作戦」。寄附を募るためのプロジェクトは、自治体の取り組みや頑張りを市民に直接アピールする機会へと直結します

※)寄附額のうち2000円を超える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除されます(寄附者の給与収入と家族構成で上限があります)

本気で取り組んでいる自治体の努力を伝えたい

F×Gのもう一つの特徴は「地方自治体職員の顔や想いが見えること」です。寄附を募るプロジェクトページには、使途の明示だけでなく、自治体担当者の顔写真やコメント、まちを盛り上げるための活動レポートなどが掲載されています。

ふるさと納税は自治体が自らの力で資金を得ることができる唯一の手段。だからこそ自治体側の想いをきちんと伝えた上で寄附金をもらうという流れを大切にしたいと齋藤さんは考えています。

ふるさと納税の制度が飛躍的に伸びている影で、一生懸命に施策を検討したり、返礼品の収集や事務作業に汗を流す公務員の努力をたくさん見てきました。そういう地域のために奮闘している人々にもっと目を向けたいと思ったんです。

人知れず頑張っている職員さんに表に立ってもらうことで、情熱をもった公務員がまちにいることを知ってほしいし、単純にその地域がもっと魅力的に映ると思いました。

FAAVOの運営を通してたくさんの地方自治体の職員と関わってきた齋藤さん。地域を盛り上げるための頑張りや努力を間近で見てきたからこそ、自治体の顔をオープンにすることに強い使命感を持っています

サイト内の読み物コンテンツでは、首長の素顔が垣間見えるロングインタビューを掲載。今後は自治体メディアのプラットフォームを用意し、地域情報発信の場も提供していく予定です

「モノ」ではなく「ヒト・コト」への共感は連鎖する

しかし、F×G(ふるさと納税)を手がけるにあたっては、まだまだ課題が多いのも現実。手続きが面倒くさそう、仕組みが分からないという心理的障壁は大きく、一歩を踏み出してもらうためにどうすればいいのか、摸索し続けています。

そういう齋藤さんもF×Gを手がけるまではふるさと納税に手が出ない若者の一人でした。はじめの一歩を踏み出せない人の気持ちが分かるからこそ、クラウドファンディングを介することで敷居を低くして、若い人たちにも地方とつながっていく良さを体験してみてほしいのだと語ります。

多少面倒に感じても一度試してもらいたい。そのために、共感したものへの支援とリターンという、クラウドファンディングの価値あるセット体験をふるさと納税でも活かしていきたいです。

F×Gを通してまちのリアルな状況や政策を知ってほしいし、より一層そのまちに興味を持ち、調べる、行ってみる、などのきっかけにしてほしいと思います。

これからは「誰もが関われて、変えられる、オープンガバメントであること」が重要になってくると語る齋藤さん。1718の全自治体(2016年10月時点)がクラウドファンディングを実施している状態にすることが目下の目標です

宮崎市の若草通りをクラウドファンディングの聖地にする

じつは齋藤さん自身、F×Gのリリースと同時期に家族で東京から故郷、宮崎に移住しました。地方への本気度を示してサービスに説得力を持たせるため、まずは自らが地域に根ざす決意をしたのです。

地元が嫌いで18歳で東京に飛び出し、寝食惜しまずに働いてきた齋藤さん。2010年に地元で起こった口蹄疫に心を痛めたものの、東京からは何もできない無力さを初めて感じました。そして2011年の東日本大震災。皆が故郷との絆を見直す中で、都市部にいる地方出身者が地元と離れていてもつながりを保てる仕組みがないことに気付き、FAAVOを立ち上げました。

そのなかで地域を盛り上げるべく奮闘しているたくさんの人々と出会い、嫌いだったのは「宮崎という場所」ではなく「田舎を言い訳に何も選択してこなかった自分」だったことに気がつき、地元や地域への意識が変わっていきました。

そして今回、自分で選択した「宮崎に住む」という道。だからこそ思いきり充実させて、宮崎にいるからF×Gが成長できたという成功体験をつくり、地方の新しい働き方のロールモデルになりたいと語ります。

地元・宮崎の海。娘が生まれたことで大切なものを見つめ直したという齋藤さん。自分のなかに変化が起こったとき、どんなまちに住むのか、誰の近くに住むのか。後悔なく選択できるよう、若い人にも色々な場所にアンテナを張っていてほしいと考えています

サテライトオフィスのある宮崎市の若草通りを、本気で日本一のクラウドファンディングの聖地にしたいです。クラウドファンディングの聖地=チャレンジの聖地ですから、失敗に寛容で、「この商店街に来れば何かしらのチャレンジができる」と、人が集まってくる場所を目指します。まずはそれを大成功させ、若草の名を全国に響き渡らせたいですね。

今までプライドを持ってまちづくりをしてきた先人たちに敬意をはらいつつ、次の世代がやりやすい形でつなげていく。僕らは、上と下の世代、どっちの意見も分かる存在としてバトンを渡す蝶番(ちょうつがい)のような存在でいたいです。

サーチフィールド宮崎オフィスのメンバー。齋藤さんを含めUターン2名、Iターン4名、地元雇用1名で、若草通りを名前のとおり若い力が芽吹く場所にしたいと意気込みます

プライベートでは、宮崎県での起業を支援する「宮崎スタートアップバレー」の共同代表も務める齋藤さん。若草通りだけではなく、宮崎県自体を世界で一番チャレンジしやすいまちにすべく動き出しています

あちこちでふるさと納税の本質が問われている今、「共感」や「応援」という原点を見直し取り戻すことは地方自治体の急務とされています。これからのふるさと納税の在り方として、F×Gはその先端を走る手段のひとつになるでしょう。

共感から選ぶ新しいふるさと納税の形「F×G」を、皆さんも一度、体験してみませんか?