環境への負担が少ないとして昨今注目されつつある電気自動車ですが、みなさんはその仕組みを知っていますか?
電気自動車はEV(=Electric Vehicle)と略されるように、外部からバッテリーに充電される電気の力によってモーターを動かし走る車のことを指します。
エンジンでガソリンを燃料する車と比べると、走行中に排気ガスを排出しないため環境に優しい電気自動車ですが、その充電には急速充電でもおよそ30分、普通充電では8~11時間ほどかかってしまうのが現状です。
ところが、そんな常識を覆す新しい電気自動車がドイツで開発中とのこと。その名も「Sion」、ドイツのベンチャー企業である「Sono Motors」が産み出した、太陽光による充電が可能な電気自動車です。
「Sion」はその見た目からもわかるように、車のボンネットや屋根、そしてサイドにソーラーパネルがあしらわれています。
このパネルは特殊なカーボネードでできており、ハンマーで叩いてもそう簡単には割れないのだそう。このソーラーパネルによって生み出される電力により、太陽の力だけでも1日最大30km程度走行することができるため、ちょっとした通勤や家族の送迎に必要な電力はこれだけで賄うことができます。
さらに「Sion」の車内には、「breSono」と呼ばれる苔からできた独自の空気清浄フィルターが装備されており、湿度調整や空気中のゴミの除去、騒音軽減などの役割があるのだとか。特別な手入れなしで、車内を常にクリーンな空気で満たしてくれるというのだから驚きです。
「Sono Motors」メンバーの一人であるJona Christian(以下、ヨナさん)は「Sion」の開発に至った経緯について次のように語っています。
ドイツでは多くの車が日中、何をするわけでもなくただ路上に停められています。停車中にも電力を生み出すことができる車があったら、とても便利なのではないかと私たちは考えたんです。
とはいえ、気になるのはそのお値段。ソーラーパネルに、植物を用いたフィルターなど、消費者の感覚からするといかにも高額そうなパーツや設備が施されている「Sion」ですが、最大航続距離が250kmの「Extender」が本体で16,000ドル(約180万円前後)。ベーシックモデルで、最大航続距離が120kmの「Urban」は13,000ドル(約150万円前後)と良心的な価格設定です。
私たちの車は少し大きく、テスラのようにスポーティーではありません。ですが、私たちのゴールは”ベストな車“をつくることではなく、家族連れにとって”十分な車“をつくること。そして、彼らにとって最適なスペースと収納がある車をつくることなのです。
と話すヨナさん。
「Sono Motors」は、クラウドファンディングサイト「indiegogo」でおよそ30万ユーロ、日本円にして役3,700万円の資金調達に成功しており(2016年9月時点)、今年のプロトタイプ試運転に向けて現在準備を進めているそうです。
まだまだ普及率が低いといわれる電気自動車ですが、「Sion」のような都市生活にフィットする電気自動車は今後人々に受け入れられていくのでしょうか? 今後の動向が楽しみですね!
[via CO.EXIST,SION,indiegogo,NISSAN Innovation that excites]