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大事なのは、自分で決めること。廃棄食品を提供するイギリスのスーパーマーケットは、モノのやりとりを超えた関係を生み出す

みなさんは、自宅で賞味期限切れの食品を発見したら、迷わず捨てる派ですか?
それとも、まだイケるかどうかチェックしてみる派ですか?

私はクンクンしてみたり、ちょっと味見したりして、大丈夫そうなら気にせず食べちゃいます。だって、もったいないですから!

以前、greenz.jpでご紹介したイギリスの「Bristol Skipchen」というレストランでは、廃棄食品を使った料理を提供していましたが、そのレストランが始まったきっかけとなったのが、「The Real Junk Food Project」。イギリス人のAdam Smith(以下、アダムさん)が世界から食品廃棄を終わらせるために、2013年に立ち上げたプロジェクトです。

今回は、その「The Real Junk Food Project」が新たにスーパーマーケットをオープンしたそうなので、早速ご紹介します!
 
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倉庫に集められた、種類豊富な廃棄食品たち。

このスーパーでは、賞味期限が近づいているなど様々な事情でメーカーや小売店では販売できなくなった食品を集め、利用者に提供しています。

イギリスにはすでに「Community Shop」という廃棄食品を販売している、生活困窮者限定スーパーもありますが、「The Real Junk Food Project」のスーパーは何が違うのでしょう?

まずこのスーパーでは、貧しい人だけでなく、誰でも利用できるということ。そして「Pay As You Feel」(あなたが払いたいように払ってください)と呼ばれる仕組みを導入し、なんと値段は利用者が決められるということです。しかも、お店のお手伝いなど、ボランティアで対価を払う形でもOK!

このスーパーの利用者のKirsty Phodes(以下、カースティさん)は、

カースティさん ここは生活が苦しかった私たち家族の生命線です。この場所のおかげで、私たちは食べ物に困らないどころか、生後7ヶ月の赤ちゃんの粉ミルクまであり、もう完璧。

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「The Real Junk Food Project」によって救われた食品たち。まだまだ十分に食べられそうです。

とはいえ、「そんな古い食品を提供して大丈夫なの?」という心配された方もいるのでは?

まず、法律面。実はこのプロジェクトでは、食品を“提供”はしているけど“販売”はしていないといいます。「Pay As You Feel」のしくみで利用者から得られたお金は、プロジェクトへの寄付という扱いとなり、法的な問題はクリア。

もうひとつの心配は安全面。もちろん「The Real Junk Food Project」では、見た目やにおいなどで食べられるかどうかを判断して提供していますが、それを食べるかどうかはあくまでも利用者の判断に委ねられています。つまり、自己責任。

アダムさんは、「そもそも食品が食べられるかどうかをメーカーやスーパーにコントロールされていいの?」という問いかけをしています。つまり、このプロジェクトの根底に流れているのは「自分で決める」というメッセージです。

そんな「The Real Junk Food Project」は、これまでレストランカフェビストロケータリングブティック、そして「Fuel for School」などの活動を展開。わずか3年で、プロジェクトが立ち上がったリーズ地域だけでも毎日2〜10トンもの食品廃棄をストップすることに成功しているそうです!
 
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ほら、スイーツだってあるよ!

そしてその成果は、食品廃棄を減らしたことと、飢えた人のお腹を満たしただけではありません。“利用者”が“協力者”へ変化するという魔法がおきているのです。

金銭で貢献できない人びとは、掃除や食品の運搬、陳列などの時間と労働力で貢献するほか、食のワークショップを開いてアイデアを共有する場面も。
 
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世界中に増え続けるサポーターたち

かつて、オーストラリアでシェフをしていたアダムさんは、日々職場で食べられる食品が捨てられることに心を痛めていました。そしてある日シェフの職を捨て、世界中から廃棄食品をなくすため、故郷イギリスへ帰り、「The Real Junk Food Project」を立ち上げたのです。

アダムさんは言います。

このプロジェクトの本質は、金銭的なやりとりを超え、みんなが得意なことで貢献できる機会を提供し、時間をかけて人を大切にしていくことなのです。

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アダムさん

日本でも、すでにフードバンクなどの団体が、食料廃棄と貧困という問題に取り組んでいますが、もし、日本にもこんな人を大切にするスーパーがあったら、私たちの生活にどんな豊かさをもたらしてくれるでしょう。

モノのやりとりを超えた、信頼やつながり、ひとりひとりの活躍の場がそこにあるかもしれませんね。

[Via Independent, Inhabitat, the guardian, The Real Junk Food Project, The Real Junk Food Project Facebookページ, Armley Junk-tion Facebookページ, EcoWatch]
(Text: 菊地葉子)