最近みなさんは、いつ自然と触れ合いましたか? 昨今、自然が少ない都市部での緑化運動が広まり、ビルの屋上に森のような空間が広がったり、アーバンファーミングで野菜やバジルを育てる人も増えている様子ですよね。
このような緑化運動が広まっている背景には、日々忙しく過ごす都会の人々が、ちょっとした時間に自然にふれてリフレッシュしたいというニーズがあったのではと思います。
そんななか、ロンドンの東部にあるデザイナーや若手起業家が集まる、Shoreditch(ショアディッチ)という街には、ある不思議な温室が登場しました。
今回ご紹介するのは、2016年9月7~27日まで開催されたLondon Design Festival 2016の期間中にできた3つの温室「MINI Living “Forests”」。
こちらの温室、ただ植物を育てるためだけのものではありません。通勤・帰宅途中に、人々が気軽に立ち寄り、一息つけるような都会のオアシスとなっています。
見た目はまるで農家にある温室のようです
3つの温室には、それぞれテーマが設けられています。
1つ目は「CONNECT(つながり)」。廊下の脇には木製のベンチがあり、人々が座っておしゃべりを楽しむことができます。部屋の真ん中にはテーブルもあり、食事をとることも可能。
2つ目は「RELAX(リラックス)」。外の世界から離れて、落ち着いた時間を過ごせる場所です。フロアは地面から少し高い場所に設けられており、中には鉢植えやつる草が。これらは緑化だけでなく、騒音軽減にも役立っているのだとか。
高い天井からは、きれいなつるが伸びています
3つ目は「CREATE(創造)」。こちらは、座って仕事をできる場所です。オフィスや自宅の書斎でなく、自然あふれる空間だと、いいアイデアがひらめきそう。内部には電源ポートも用意されているので、集中して仕事に取り組むこともできます。
これらの温室を建てたのは、デザイナーのAsif Khan(以下、アシフさん)と自動車メーカーのMINI。
アシフさんは、ショアディッチの街に起業家やデザイナーが集まり活力が増す一方で、お互いが交流できる市民の居場所が減っていることを感じ、自宅でもオフィスでもない、人々が集える「第三の居場所(サードプレイス)」を生み出すべく、このプロジェクトを立ち上げたのだとか。
温室をデザインしていくうえで、アシフさんは日本の、ある言葉にインスパイアされたと話します。
日本には、「森林浴」という言葉があります。この言葉が意味するのは、音・香り・地面の感覚など、五感を研ぎ澄ませながら森林の空気に浸ることです。
その言葉に触発された私は、多くの観葉植物を集めて、それらを公共空間と個人の空間を分ける間仕切りとして活用してみることを考えました。
「MINI Living “Forests”」という空間を共有することによって、長年ショアディッチに暮らしている住民、最近の引っ越してきたばかりの若い人々、そして観光客がつながることのできる場所になってほしいですね。
アシフさん
グリーンズのオフィスがある東京都渋谷区には、東京ドーム11個分の敷地面積を持つ代々木公園があり、平日も休日も広い世代の人々が集います。私たちは、緑あふれる空間に身を置くと、自然と心がオープンになり、人とつながることができるのかもしれません。
みなさんも、自然と触れ合う街歩きに出かけてみませんか。そこには新たな出会いが待っているかもしれませんよ。