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「ソーシャルデザイン」ってなんですか? greenz.jp編集長・鈴木菜央による「ソーシャルデザイン進化論」【第1回】

9月末についに完成した「ソーシャルデザイン白書2016」。greenz.jpを寄付で支えてくださる「greenz people」にだけお届けしていますが、読者のみなさんにも一部をお見せします!まずは編集長・鈴木菜央が書き下ろした第1章「ソーシャルデザインの歩み」をお楽しみください◎

第1章 ソーシャルデザインの歩み

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今では当たり前に使われている「ソーシャルデザイン」という言葉。けれども ほんの数十年前まで、ソーシャルデザインは一般には浸透していない概念でした。 そして、そんな新しい概念だからこそ、私たちは今もこの問いに、向き合い続けています。

「ソーシャルデザインって何?」

この大きな問いの答えを探すべく、まずはみなさんとともに、過去の旅へ。 greenz.jp 編集長・鈴木菜央が、時代の渦中から見続け、体感してきた「ソーシャルデザインの歩み」を振り返ります。

ソーシャルデザインが、社会と密接に関わり合いながらいかに変化し、成長していったのか。その足あとを辿り、踏みしめることで、改めてソーシャルデザインの現在地を確認したいと思います。

ソーシャルデザイン進化論

ソーシャルデザインはどこから来て、どこへ行くのか?

こんにちは、greenz.jp編集長/NPO法人グリーンズ代表の鈴木菜央です。

本章では、「ソーシャルデザイン」という考え方、概念について、現時点で僕に見えている風景を整理して、ソーシャルデザインの成り立ちから現在に至る歴史を振り返ってみたいと思います。

今回は試みとして、ソーシャルデザインを事例ごとに論じるのではなく「ミーム(meme)」に分解し、論じてみたいと思います。ミームとは、例えば習慣や技能、物語といった、人から人ヘコピーされる、人類の文化を進化させる情報のこと。「文化的遺伝子」とも言われます。遺伝子が生物を形成し、特徴を次の世代に受け継ぐように、ミームは文化を形成し、特徴を受け継ぎます。

しかし、それは前の世代の完全なコピーにはなりません。少しだけ変異します。これが進化です。ミームに注目することで、それぞれの事例が影響を受けた事例について考えたり、ミームがどんなふうに進化してきたのか考えることを通して、ソーシャルデザインがより理解できるのではないかと考えました。

なお、文中ではミームは【】で囲むこととします。プロジェクト名に続くカッコ内の数字はプロジェクトの開始年です。本章では、それぞれのプロジェクトについて細かく説明をする余裕がないため、活動の詳細はgreenz.jpで検索するなどしてください。また、本章では、基本的に日本国内のことについて語っています。活動の開始年、内容なども、日本国内におけるものです。

ソーシャルデザインってなんだろう

はじめに、「ソーシャルデザイン」について改めて考えてみます。現在、僕の見えている範囲での代表的な定義を紹介しましょう。

社会的な線題の解決と同時に新たな価値を創出する画期的なしくみをつくること
ー「ソーシャルデザイン』(グリーンズ/朝日出版社 2012)

人聞の持つ「創造」の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動>
ー「ソーシャルデザイン実践ガイド』(寛裕介/英治出版 2013)

strong>ソーシャルデザインとは、ひと言で言うと、単なる利益追求ではなく、社会貢献を前提にしたコトやモノのデザインのことである。
ー「ソーシャルデザインの教科書』(村田智明生産性出版2014)

上記3冊の本を通して「ソーシャルデザイン」の定義の共通点を見つけるとすれば、こんなふうにまとめることができます。

・デザインする対象は(モノやカタチだけじゃなく)“社会”である
・社会をつくるのは(政治窓や専門家でなく)一人ひとりの個人である
・(社会を”変える”よりも)社会の課題を解決したり、より良い社会を“つくる”ことである
・そして、そのための”考え方”である

この前提を持って、まずは2016年現在から過去を振り返り、どのように「ソーシャルデザイン」が生まれたのか、僕の視点を通して語ってみたいと思います。

第1章「ソーシャルデザイン進化論」のコラム連載はこちら

【第1回】「ソーシャルデザインってなんだろう?」(11/14公開)
【第2回】「ソーシャルデザインはどこから生まれた?」(11/15公開)
【第3回】「ソーシャルデザインはいつ多様化した?」(11/16公開)
【第4回】「greenz.jpが生まれたのはどんな時代?」(11/17公開)
【第5回】「東日本大震災をきっかけに、何が生まれた?」(11/18公開)

「ソーシャルデザイン白書2016」を読みたくなった?

この記事でご紹介している「ソーシャルデザイン進化論」ほか、ソーシャルデザインの過去・現在・未来を1冊にまとめた『ソーシャルデザイン白書2016』は、People’s Booksチームが、これまでの以上の苦難を乗り越えて手がけた本です。「気になる、読んでみたい!」という方は、これを機に「greenz people」に参加してくださると嬉しいです。そして、本を手に取りながら、一緒にソーシャルデザインについて考えませんか?

『ソーシャルデザイン白書2016』の目次

■第1章 ソーシャルデザインの歩み
ソーシャルデザイン進化論 by 鈴木菜央(greenz.jp編集長)
■第2章 ソーシャルデザインの現在地
暮らし×ソーシャルデザイン by 増村江利子(greenzシニアエディター/シニアライター)
選択×ソーシャルデザイン by 赤司研介(greenzシニアライター)
未来へ残す言葉×ソーシャルデザイン by 磯木淳寛(greenzシニアライター)
自分らしさ×ソーシャルデザイン by 池田美砂子(greenzシニアエディター/シニアライター)
スタディ×ソーシャルデザイン by 兼松佳宏(greenzシニアエディター/シニアライター)
移住×ソーシャルデザイン by 平川友紀(greenzシニアライター)
パーマカルチャー×ソーシャルデザイン by 鈴木菜央(greenz.jp編集長)

■第3章 ソーシャルデザイン 未来への仮説
対談:暮らしの未来[わたなべあきひこ×徳永青樹×増村江利子] by 石村研二(greenzシニアライター)
対談:言葉の未来[島田潤一郎×磯木淳寛] by 新井作文店(greenzシニアライター)
対談:スタディの未来[中原淳×兼松佳宏] by 兼松佳宏(greenzシニアエディター/シニアライター)
対談:日本の未来[鎌田華乃子×鈴木菜央] by 村山幸(greenzシニアライター)


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greenz peopleご入会と本が届くタイミングについて

11月30日までの入会で、12月15日頃にBooksをお届けします!お早めにご入会ください◎